その際、まずはハローワークの「生涯現役支援窓口」を訪れてみてはどうでしょう。「生涯現役支援窓口」とは、高齢者に特化した再就職を支援するサービスを行っている窓口です。
今回は、富山労働局職業安定部職業安定課の山下課長補佐に、高齢者の方が「事務職に就きたい」場合、どうしたらその可能性が高くなるかについてお伺いしました。
高齢者が「事務職」で働くにはどうしたらいい?
――高齢者の方で、長年の経験と知識を活かすために事務職に就きたいという方は多いように思います。しかし、実際は介護補助、店舗スタッフ、清掃スタッフなどの作業的な仕事が多いようにも思いますが「事務職」で働くことはできますか?山下課長補佐:事務職には、一般事務、営業事務、経理事務、医療事務、総務事務など種類はたくさんあります。高齢者の方で、長年の経験と知識を活かすために事務職に就きたいという人は、現役時代の経験や強みを整理して「推しポイント」を見つけておくとよいでしょう。高齢者の方は短時間勤務になりますが、時間内で効率よく仕事ができるとなれば、企業にとっても魅力的に映るでしょう。
ーーもし具体例があれば教えてください。
たとえば、経理経験が長く知見がある方であれば、会計士との折衝、役所対応、銀行交渉などのポジションでの採用が考えられるケースはあるでしょう。
ーーやはり、事務職に就くには、何かしらのエキスパートでなくてはダメなのでしょうか。
山下課長補佐:そうですね。確かに「経理事務」という枠そのものは、それなりの経験がものを言うかもしれません。しかし、それ以外の「補助的な事務作業」「座り仕事」などを場合によっては作り出すことができる場合があります。
たとえば、ハローワークには、さまざまなニーズに合わせて、正社員、パートなどの雇用形態の求人が集まります。求人でなかなか決まらないものに対しては、企業側の求人を受け付ける「求人部門」と求職者に就職先を紹介する「職業相談部門」がそれぞれの要望をすり合わせマッチングにつなげるよう工夫しています。
その際に、フルタイムの求人の作業を細分化して「事務補助」「座り仕事」として作業を抜き取り、高齢の求職者の望む仕事を作ることができます。タイミングがあったり、パソコンスキルが必要であったりするので、必ずご紹介できるとは言い切れません。しかし、職業相談の際に、要望をしっかり伝えていただくことで、ハローワーク側で企業に働きかけることが可能になります。
――求職者が「事務職に就きたい」という要望を伝えることから始まるのですね。それ以外に心得的なものはありますか?
山下課長補佐:事務職希望の方に限ったことではないのですが、高齢の方々は「自分は何もない、大したことしてこなかった……」などと仰いますが、相当のご経験を積んでいらっしゃいます。自信を持って、次の3つのことに取り組んでほしいと思います。
●自己分析と強みの把握
自分の経験やスキル、強みを再確認しましょう。特にこれまでのキャリアで培った専門知識やリーダーシップスキルは大きな強みになります。また、自分が働きたい時間や条件についても明確にしておきましょう。
●高齢者向けの就業支援プログラムを活用
各地域や自治体には高齢者向けの再就職支援プログラムがあります。これらのプログラムでは、再就職に向けたスキルアップ講座や職業紹介サービスを提供しています。必要に応じてハローワークの担当者からご提案がありますが、その際は積極的に活用しましょう。
●年齢に対するポジティブな姿勢
「年だから、何もしてきていない」というのではなく、自分の年齢に対してポジティブな姿勢を持ちましょう。たとえば、経験豊富であること、柔軟な対応力があること、安定した労働力であることなどを認識するとよいですよ。