20歳代単身世帯の43.9%が貯蓄ゼロ
将来のためにある程度のお金を準備しておくことは、年齢にかかわらず大切なことです。しかし、将来のための金融資産を全く持たない「貯蓄ゼロ世帯」が増えているようです。貯蓄ゼロでは、不測の事態に何も対応できません。家計破綻の一歩前ともいえます。そこで、金融広報中央委員会が調査した「家計の金融行動に関する世論調査(2023年)」より、貯蓄ゼロの実態を見てみましょう。
単身世帯での年収、年齢別の金融資産非保有割合(%)。50%以上を赤、30%以上を青で色付けしている。どの年代でも収入が低いと貯蓄ゼロが半数程度に。「-」は該当者が10未満、データを表示していない(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査2023年)」)
収入にかかわらず、20歳代は43.9%、30歳代34%、40歳代40.4%、50歳代38.3%、60歳代33.3%、70歳代26.7%が貯蓄ゼロとなっています。20歳代では4割ほどが貯蓄ゼロですが、年齢層があがっても、50歳代までは4割近くが貯蓄ゼロとなっています。
「現役で年収300万円未満単身世帯」の半数近くが貯蓄ゼロ!
収入がない世帯では、どの年代でも半数以上が貯蓄ゼロになっています。収入がある世帯を見ると、20歳代の年収300万円未満では45.5%が貯蓄ゼロです。この調査では、20歳代単身世帯の半数近くが年収300万円未満となっていますから、多くの20歳代が貯蓄できていないと考えられます。さらに、年収が上がった「年収300万~500万円」も、貯蓄ゼロが20歳代で31.5%、30歳代で25.2%ですが、40歳代や50歳代でも30%を超えており、年収500万円未満ではどの年代でも厳しい状況になっています。
年収500万円を超えるとどの年代も貯蓄ゼロの割合は減っています。20歳代、30歳代では年収300万円以上、40歳代、50歳代では年収500万円以上が、貯蓄がしやすいポイントのようです。まずは、どの年代も収入が安定しないと貯蓄は難しいようです。
ファミリー層でも年収300万円未満で貯蓄ゼロは多い
2人以上世帯での年収、世帯主年齢別の金融資産非保有割合(%)。50%以上を赤、30%以上を青で色付けしている(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯調査2023年)」)
ファミリー世帯でも、年収300万円未満は貯蓄ゼロの割合が多くなっています。300万円未満では全世代で3割以上、40歳代や50歳代では半数近くになっています。年収300万~500万円では50歳代までは3割から4割が貯蓄ゼロです。年収500万~750万円になると、貯蓄ゼロの割合は2割程度です。少しは減っていますが、それでも貯蓄ゼロの世帯が一定数いることになります。
また、50歳代でも貯蓄ができていない世帯がいます。年収500万~750万円でも21.8%が貯蓄ゼロ。年収750万~1000万円でも17.8%が貯蓄ゼロとなっており、収入が増えれば全世帯が貯蓄できるというわけではなさそうです。
年収1000万円超えのファミリー世帯でも貯蓄ゼロあり
年収が増えると貯蓄ゼロ世帯は減っていくものの、年収1000万円以上のファミリー世帯でも、あらゆる世代に一定数、貯蓄ゼロ世帯がいることが分かります(20歳代は対象人数が少ないため、大きな数字となっているようです)。高収入でも支出が多く、毎月の収支が赤字という世帯もあります。年収300万円未満でも半数以上が将来に向けて貯蓄をしています。貯蓄をする意思があるかが大切だと言えるでしょう。
所得アップと先取り貯蓄が、貯蓄ゼロ脱出の道!
このように見てみると、貯蓄ゼロとなる理由は2つあると言えるでしょう。1つ目は、低収入。やはり年収300万円未満では大半が生活費に消えてしまい、将来を見据えた貯蓄まで回らないのでしょう。収入が低すぎる場合、会社で許可されているのであれば副業をしたり、転職を行ったりして収入アップができればよいですね。
2つ目は、収入が増えた分だけ使ってしまう状態。高収入でも貯蓄ゼロの世帯がいることからも分かります。高収入でも支出が多ければ手元にお金は残りません。まずは先取り貯蓄などで、将来や老後に備えつつ貯蓄をすることを習慣にしましょう。