Q. 物価が上昇している昨今、老後のお金が足りるのか心配です。できれば安全にお金を増やす方法が知りたいです
「投資は利益が出る反面、損をするリスクもあり、老後が見えてきた今、あえて投資に挑戦するべきではないと思っています。しかし定期預金等に現金を入れていて損はしませんが、昨今の物価高騰により、現金の価値は徐々に落ちてきているのではないか。私達が定年になり収入がなくなったときに、今ある現預金で安心できるのか等、心配は尽きません。物価高騰の現在、老後資金をどのように守ればいいか、少しでも安全な増やし方等があれば教えてください」(じいじさん/男性/55歳)<世帯年収>1200万円
<金融資産>現金預金3500万円、リスク資産100万円
安全にお金を増やす方法はある?
A. 「債券や社債など、金利の高い商品に預けてみるというのも一策です」(深野さん)
投資に前向きでないのであれば、積極的に運用しなくて良いと思います。まだ現役で働いていらっしゃいますし、世帯年収も1200万円ありますので。働いてる間は、さらに貯金を積み増しすることができますし、退職金もあればその分もプラスできます。あとは定年するまでに、家計収支をできる範囲で見直して、少しでも多く積み増しをすることでしょうか。また、安全にお金を増やす方法ですが、いま定期預金の金利が年利0.2~0.3%くらいで、債券の長期金利(日本国債10年)は年利1%近くまで上がってきています。個人向け国債(変動10)だと0.57%ぐらいになります。あるいは、社債を買ってみるという手もあります。今年6月にソフトバンクが個人向けに発行した社債(年限7年)は、利率3.03%でした。
銀行に預金する以外に、こういった金利の高い商品に預けてみるのも、一策ではないでしょうか。2023年度の消費者物価指数は、前年比で3.2%上昇しましたが、仮にソフトバンクの社債を保有していれば、その利息分で上昇した物価の9割ぐらいをカバーすることができます。
今後、債券の金利が1%以上になってくれば、上昇した物価の半分ぐらいをカバーできるかもしれません。積極的に投資をしなくても、こういった金融商品をうまく組み合わせれば、物価上昇に対して過度に心配する必要はないと思います。
※金利については、記事執筆時点の数値になります。
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教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など