「なんで年下相手に丁寧に話さなければならないんだ……」なんて思っていませんか?
年齢は自分の方が上、でも役職は相手の方が上。そんな関係性では、どのように話すのが正解なのでしょうか。年下の上司・先輩との接し方をご紹介します。
年下上司には敬語で話すのが正解? カジュアルな話し方でもいい?
敬語に関する調査によると、敬語で話した方がいいのか迷ったことがあるという人は7割以上。年下の部下と仕事をすることになった人は特に、敬語で話すべきか迷うかもしれません。年下の上司との会話では敬語で話すのが正解です。フレンドリーに話したり、自分の意見をオープンに伝えたりするのは構いませんが、話し方は敬語で。上司に敬意を示しつつ、へりくだり過ぎないように伝えましょう。
年下上司は年下部下を「協調的ではない」と思っている?
「上司とはいえ年下なんだから、あまり丁寧に話すのはおかしい」と考える人もいると思います。年下の上司は、そんな年上部下のことをどのように思っているのでしょうか。2023年に発表された、年下の上司がコミュニケーションについてどのように認識しているかを調査した研究によると、年上の部下のコミュニケーションは、特にフォーマルなやりとりにおいて、親身ではなく、協調的でないと思われているようです(※)。この研究では、年下上司が年上の部下に対し、丁寧で敬意を払ってコミュニケーションをしていると回答しています。年齢では自分の方が若かったとしても、年上の部下にも自分に対して丁寧に協調的に接してほしいと考える年下上司は多いかもしれません。
皆さんは、年下の上司や先輩に対して丁寧に接しているでしょうか。あまり丁寧に話すのは感情的に抵抗がある人もいるかもしれませんし、へりくだり過ぎても上司に気を遣わせてしまうのでは?と思う人もいるかもしれません。どのようにバランスをとればよいのでしょうか。
尊敬を示しつつフレンドリーに! 適切なバランスを見つけるポイント
たしかに、年下だからといって上司にカジュアル過ぎる話し方をするのはNGですが、過度に丁寧過ぎる接し方は、相手に気を遣わせてしまいます。コミュニケーションには相互作用があります。こちらがへりくだり過ぎることで、相手に横柄な態度をとらせてしまうこともあります。ちょうどいいバランスをとるポイントは「尊敬は示しつつもフレンドリーな態度」を意識して話すことです。話すときには敬語、上司に声をかけるときは、名前プラス役職(例:山田部長)もしくは名前プラスさん(例:山田さん)にします。
丁寧な話し方とフレンドリーさを組み合わせたコミュニケーションスタイルは、職場の雰囲気を良好に保ちますし、信頼関係を築きやすくする効果も期待できます。
基本技として覚えてほしいのは、失礼にならない程度に敬語をくずす話し方です。敬語をくずすといっても、なれなれしい話し方は職場ではふさわしくありません。敬意を示しつつフレンドリーに感じてもらえるような話し方をしましょう。
具体的には、文末に「よ」「ね」をつけたり、会話の中で独り言を入れたりなどの方法・コツがあります。
例)文末に「よ」「ね」をつける
「それが結構大変なんです」
→「それが結構大変なんですよ」
「そういえば聞きました」
→「そういえば聞きましたね」
例)会話の中で独り言を入れる
「C社のデータですね。確か、あったはずだな。会社に戻ったらメールでお送りします」
「それは面白そうな本ですね。帰りに買っていこうかな」
丁寧さの度合いに迷う? トラブル予防の質問とは
会話や態度などで、年下上司にはどのくらい敬意を示せばいいのか迷うことがあるかもしれません。そんなときは、相手がどの程度のフォーマリティを好むか、反応を観察してみるのがおすすめです。カジュアルめなコミュニケーションをとったときと、フォーマルめなコミュニケーションをとったときの反応を比べて、好まれる方に調整しましょう。
例)
「企画書の提出は金曜日で大丈夫ですか?」
「企画書の提出期限は金曜日でよろしいでしょうか」
どの程度丁寧に話した方がいいか、直接聞いてみてはどうかと考える人もいるかもしれません。直接聞くと「あまり丁寧に話さなくてもいい」と言われる可能性が高いと思いますが、本心ではないこともあります。
ただし、「丁寧に話さなくてもいい」という言質をとっておくことで、フレンドリーな態度をとがめられることを減らせるという効果もあります。年下の上司や先輩に丁寧に話すのが苦手という人は、予防線として「どの程度丁寧に話せばいいですか」と相談しておくのもよいでしょう。
感情の問題は「リスペクト」と「サポート」の精神でクリア
「なんで年下のやつに、丁寧に話さなければならないんだ……」と思う人は、もしかすると、年齢に関係なくリスペクトの気持ちを持つことの方が大切かもしれません。若くしてそのポジションにいるのには理由があるはずです。そのスキルや知識をリスペクトしてみると、新しい技術や異なる視点などを、成長の機会として捉えることができます。それも難しい人は、サポートの精神で接してみるのはどうでしょうか。部下という立場かもしれませんが、年上ならではの経験が上司を支えることも少なくないはずです。知識や経験を共有し、サポートしてあげるという考え方なら、抵抗なくいい関係が作りやすくなるはずです。ただしアドバイスをするときは、押し付けにならないよう丁寧に。
このような態度でいれば、職場に個人的な感情や偏見を仕事に持ち込むべきでないと考える人たちにも納得してもらえるはずです。初めは難しいかもしれませんが、ぜひやってみてください。
※:Jeevaratnam, G. A., & Jones, E. (2023). Younger Supervisors’ Perceptions of Intergenerational Communication in the Sri Lankan Workplace. Journal of Language and Social Psychology, 42(2), 217-230.
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