定年・退職のお金

80歳代のおひとりさまは、いくら貯蓄額があれば安心なの?【2024年】

「人生100年時代」といわれていますが、それを前提に計画を立てる人は意外と少ないのではないでしょうか。今回は、60歳と100歳のちょうど半分となる「80歳」時点を軸に、いくらぐらいの貯蓄額があればその後の人生が安心なのか考えてみましょう。

舟本 美子

執筆者:舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド

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定年を迎える60歳時点では、10年先の「70歳代をどう過ごすか?」が気になる方は多く、その先のことは「なんとかなる」と楽観的な人、「その先のことを考えると不安は募るばかり」と悲観的な人いろいろです。

「人生100年時代」といわれていますが、それを前提に計画を立てる人は意外と少ないのではないでしょうか。今回は、60歳と100歳のちょうど半分となる「80歳」時点を軸に、いくらぐらいの貯蓄額があればその後の人生が安心なのか考えてみましょう。
80歳代のおひとりさまは、いくら貯蓄額があれば安心なの?

80歳代のおひとりさまは、いくら貯蓄額があれば安心なの?

80歳代以上は医療費支出が増えることを想定して老後にかかる生活費を考えよう

80歳以降の老後生活の不安を解消するには、まずは、どれくらいの生活費が必要なのかを確認する必要があります。総務省の「家計調査報告(家計収支編)2023年」を参考にすると、平均値は次のとおりです。

・65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の1カ月分の消費支出:14万5430円

上記金額と別に、非消費支出の所得税や社会保険料に1万2243円が必要になり、合計すれば、1カ月あたり平均15万7673円が必要ということになります。

この内訳は、65歳以上の高齢者が対象のデータの平均で、保健医療は「5.5%(月平均額7981円)」となっています。80歳代以上になれば、高齢者の中でも医療費支出が大きくなる時期です。もしかしたら、医療費がもっとかかるかもしれないことを織り込んでおくと安心です。

65歳から受け取れる公的年金とその平均的な受給額とは?

原則65歳からは、会社員や公務員だった人は老齢厚生年金と老齢基礎年金、フリーランスや主婦だった人は老齢基礎年金がもらえます。

ご参考として、厚生労働省の「2022(令和4)年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、老齢厚生年金の受給権がある人がもらう老齢厚生年金の平均年金月額は14万3973円(老齢基礎年金含む)、老齢基礎年金の受給権がある人がもらう平均年金月額は5万6316円(受給資格期間を原則として25年以上ある人が対象)です。

老齢基礎年金であれば、原則20~60歳までの480カ月、国民年金保険料を支払った場合の満額は決まっています。しかし、老齢厚生年金の場合は、厚生年金の加入年数、現役時代の年収などが影響して、個人ごとに年金額が異なります。平均的な数値は目安としては参考になりますが、老後の生活を考えるときは、ご自身が実際にどのくらいもらえるのかを調べておきましょう。

おひとりさまが80歳以降に必要な貯蓄額の目安は「1061万円」

80~100歳までにどのくらいのお金が必要になるのかは、以下の計算式で算出できます。

・老後の毎月の赤字額×12カ月×20年間

前述した、単身世帯の1カ月分の平均的な非消費支出を含めた支出15万7673円と厚生年金の平均年金月額は14万3973円(老齢基礎年金含む)を比べるのであれば、「14万3973円−15万7673円=▲1万3700円」。医療費を少し上乗せして仮に赤字が2万円だとすれば、次のとおりです。

・2万円×12カ月×20年=480万円

人生100年時代といっても、全ての人が実際に100歳まで生きるとは限りません。しかし、80歳以降に必要な貯蓄額の目安を考えるのであれば、医療費を含め少し多めに見積もっておいた方が安心でしょう。

●80歳以上のおひとりさまは「介護費用」を忘れず準備!
高齢になれば、徐々に体が衰えてくる頃です。とくに、おひとりさまであれば「もし、自分が動けなくなったら……」を考えると不安なものです。少なくとも、介護費用を準備しておくことで安心感が得られるはずです。忘れず考えておきましょう。

公益財団法人生命保険文化センターが行った「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度」によれば、平均的に要した介護費用や期間は以下のとおりです。

・住宅改造や介護用ベッドの購入などの「一時費用※」:74万円
・実際の介護のため月々にかかる費用※:8万3000円
・介護期間:約5年1カ月(61.1カ月)
※公的介護保険サービスの自己負担費用を含む

・介護にかかる総費用:74万円+(8万3000円×61.1カ月)=581万1300円

80歳代のおひとりさまが安心するための生活費と介護費を合わせた貯蓄額としては「480万円+581万円=1061万円」が目安といえます。

なお、介護費に約600万円とお伝えしましたが、全ての人が介護状態になるとは限りません。元気に100歳近くまで生きピンピンコロリで旅立つ方もいます。

その場合は介護費の600万円は、旅行や趣味などで気分を潤わせる資金となったり、家電の買い替え資金となったりするでしょう。おひとりさまは、自分の老後は自分で決めなくてはいけません。いずれの場合も想定して、80歳以降いくらぐらいの貯蓄額があればその後の人生が安心か早いうちから考えておくとよいでしょう。
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