現状に満足してないから挑戦する
――そんな海江田を演じて、彼の生き方から感じたことはありますか?大沢:海江田はとても頭がいい人だと思います。潜水艦のデータはもちろん、海底の地形もすべて頭に入っているし、先々のことまで想定し、完璧にシミュレーションしている。加えて交渉術にも長けているし、読心術もできる。何もかもお見通しで非の打ち所がない男なんです。
僕は本能の赴くままに生きているので、海江田のようにはなれない。でも、もし彼と同じような頭脳があったら、彼のような行動をする可能性はなくはないと思いました。
――作品の中で、海江田は常人では思いもつかない挑戦をし続けています。大沢さんも作品ごとにチャレンジしている印象があり、そこは海江田と通じるものがあると思いました。
大沢:僕の場合はスリルが好きなんです。でも海江田は常に問題意識を持って挑戦をしている。そこが違いですね。おそらく現状に満足していないんでしょう。満足していないからこそ、殻を破るような挑戦をしようとしてしまう……。でも、そういう点では僕も海江田のような一面があるかもしれません。
現状に満足していたら、僕は役者の仕事をやっていないかも。肉体的にも精神的にも負担は大きい、とても大変な仕事ですから。でも何か問題を感じていて、その問題を突破できると思えたら、今回のような大胆な企画に飛び込むこともあります。 ――問題を突破するために挑戦をするのですね。
大沢:海江田がやろうとしていることとは次元が違いますけどね。彼もさまざまな問題を抱えていて、問題解決の最終手段が潜水艦を奪うことだった。政府も動きますし、部下も道連れにするほどのある種の犯罪、テロ行為です。でも、そこまでしなくてはいけないほど、彼の中では深刻な問題があった……。やはり人は何かに突き動かされると思いもよらない挑戦をしようとするのかもしれません。
――海江田役がハマっていましたが、彼とは友達になれそうですか?
大沢:なれないですよ(笑)。あの人、無口だし、連絡くれなさそうじゃないですか? 僕はとてもフレンドリーなナイスガイなので、海江田とは真逆ですね(笑)。
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