大沢たかおさんにインタビュー
――『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』では主演、且つプロデューサーとしてクレジットされていますが、プロデューサーも務めようと思ったきっかけはあるのでしょうか?大沢たかおさん(以下、大沢):プロデューサーという肩書きはありますが、自分としては、出演する作品にできる限り協力するというスタンスです。それは本作に限らず、どんな作品でも自分が関わる以上はできる限りのことをするという気持ちを常に持っています。主演も助演も関係なく、責任を持ってやるという気持ちで臨みました。
――海江田四郎という役について、どう解釈して演じましたか?
大沢:原作漫画を読んだとき、海江田の顔が実にりりしく、いかにも正義感あふれる人物だと思いました。悪者に見えない、世界を救う立派な人。その方が映画やドラマにするときは分かりやすいとは思うのですが、今は昭和じゃない。令和の時代にそういう正義の味方のような主人公が受け入れられるだろうかと考えました。そこがこの原作を映画化する上で、一番難しいポイントでした。
ここ数年、新型コロナウイルスの流行や戦争など、想像の斜め上を行くことが世界で次々に起こって、ヒヤヒヤすることの連続じゃないですか。普通に豊かな生活を送ることさえ難しい時代になりましたよね。そんな時代に映像化する『沈黙の艦隊』とは……と、ずっと考えていたんです。 ――実写化の話があったときから、作品の時代性、海江田のキャラクターについて深く考えていたんですね。
大沢:この作品を見るお客さんに、全8話をドキドキ、ワクワクしながら見てもらうためにはどうしたらいいのかと。海江田を正義感あふれる人物ではなく、正統派とは真逆のキャラクターにしたら、面白いものになるのではないかと思ったんです。
だから、僕は海江田のキャラクターを、お客さんに心理をつかませない、何を考えているのか分からないような謎めいた人物にすることを意識しました。
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