夏から秋を経て冬を迎えると、弘前は厳しい寒さと雪に包まれますが、この時期だけの絶景を見られるすてきなイベントが行われているのをご存じでしょうか。
そのイベントとは、弘前公園「冬に咲くさくらライトアップ」。“桜の街、弘前”らしいライトアップは、冬の弘前への観光を盛り上げるイベントとして近年注目が高まっています。
今回は冬限定の絶景、弘前公園「冬に咲くさくらライトアップ」をご紹介します。
<目次>
冬の弘前も美しい! 弘前公園「冬に咲くさくらライトアップ」
弘前は、青森県の西部、津軽地方の主要都市の1つです。江戸時代に津軽地方を治めた津軽氏が弘前の街を作り、弘前城を築城しました。現在の弘前城天守閣は、江戸時代後期に建てられたもの。日本国内に12しかない江戸時代からの天守閣が残る「現存天守」の城の1つに数えられています。 弘前城と城を取り巻く弘前公園は、みちのく三大桜の1つにも数えられる桜の名所としてよく知られており、春になると大勢の観光客が美しい桜を一目見ようと一斉に押し寄せます。
また夏の「弘前ねぷた」や、弘前城と市内中心部に残る洋館などの景観も人気で、春から秋までは街歩きなどをする人たちでにぎわいます。しかしこれまで、厳しい寒さや雪が待ち構える冬は、限られた人だけが訪れる状況でした。 このような状況の中で、2017年にクラウドファウンディングを経て始まったのが、弘前公園「冬に咲くさくらライトアップ」です。弘前公園の周囲をめぐるお濠の凍った水やお濠沿いにある桜の木の枝に積もる雪をさくら色の明かりで照らすことで、冬なのに桜の花が咲いているかのようなシーンを生み出しました。
この試みが好評だったこともあり、現在では冬の弘前観光の目玉として、毎年冬の時期(12月~2月末)に行われるイベントとなっています。
雪で覆われた弘前城のお濠と桜並木がさくら色に
弘前公園「冬に咲くさくらライトアップ」の舞台は、弘前公園の周囲にある弘前城のお濠です。 弘前城をぐるりと囲むお濠の中で「冬に咲くさくらライトアップ」が行われるのは、追手門を中心として市民会館から東側の外濠が始まるまでの南側の外濠(Googleマップ)です。500メートルほどの区間がライトアップされます。日没とともに外濠沿いの桜並木と凍った外濠の水面に向けて照明が当てられると、冬なのにまるで桜が咲いているかのようなさくら色の絶景が目の前に現れます。 「冬に咲くさくらライトアップ」の鑑賞ポイントは、外濠沿いの歩道と弘前公園の市民会館口、追手門口、東側の外濠とつながる南東の角あたり。外濠沿いの歩道からは、桜並木越しに外濠のライトアップが見られます。 外濠を中心に据えて桜並木と外濠のライトアップを見ることができるのは、市民会館口や追手門口、南東側の角。追手門口は、外濠がクランクの形で曲がっているところにあり、弘前公園の玄関ともいえる追手門へのアプローチ途中にあって道幅が広いため、ライトアップが見やすくなっています。 市民会館口は、外濠の幅が狭く、桜並木が目の前に迫っているため、追手門口とはまた違った感覚でライトアップを楽しめます。ただしライトアップを鑑賞できるポイントが車道に面していて狭いため、車の通行には注意する必要があります。 南東側の角はゆるやかにカーブしていて道幅も広いですが、桜並木が手前にないため、外濠のライトアップをメインで楽しむことになります。 ただし南東側の角から望遠レンズで外濠を望むと、圧縮効果により桜並木と外濠が画面いっぱいにさくら色に染まるシーンを捉えることができます。
ポイントにより見え方がそれぞれ異なりますので、歩きながらお気に入りのポイントを探してみるのもいいでしょう。
さくら色“以外の色”にも染まることも
「冬に咲くさくらライトアップ」は、文字通りさくら色の照明で照らしますが、最近ではさくら色以外の照明への変化もときどき行われるようになりました。 別の色に変化した後にさくら色に戻ると、さくら色のライトアップがより印象深く感じます。雪の積もり具合でライトアップの見え方が変わる
「冬に咲くさくらライトアップ」は、桜の木の枝に積もった雪と凍ったお濠の上に積もった雪が多ければ多いほど、さくら色の照明が映えます。雪がたくさん降った後、強い風が吹かないこと、暖かくならないことなどの条件が重なる時がベストですが、旅で訪れる時にこのタイミングと合うかは運次第。
雪の量が少ない時は、さくら色の照明が薄く見えてしまうこともありますが、夜の街を彩るさくら色のやさしい光は普段見ることができない風景なので思い出に残ることでしょう。
弘前城の追手門や天守閣もライトアップあり
弘前城の外濠がさくら色のライトアップに染まる中、弘前城の追手門や天守閣もあわせてライトアップされています。 弘前城天守閣のライトアップはオーソドックスな白い光。弘前公園に積もった雪とライトアップされた天守閣のコラボレーションは、まさに絵になる風景です。ただし、冬の弘前公園は雪が積もっている場合でも、除雪がされておらず、歩きにくいことがあります。追手門から弘前城天守閣までは距離があり、長い時間雪道を歩くことになりますので、時間に余裕をもっていくことをおすすめします。
冬の弘前の夜は氷点下に! しっかりとした防寒対策を
素晴らしい絶景が楽しめる「冬に咲くさくら色ライトアップ」ですが、冬の弘前の夜は平均気温が氷点下まで下がりますので、しっかりとした防寒対策が必要です。風が吹くと体感温度はさらに下がります。ライトアップが行われる夜間に会場周辺で開いているお店は少ないため、暖を取りにお店に立ち寄ることも難しいです。天候が荒れている時は、タクシーの車内から鑑賞することも検討を。会場から徒歩数分のところにも、弘前市内にも多数のホテルがありますので、「冬に咲くさくら色ライトアップ」を鑑賞する場合は、弘前市内に宿泊するといいでしょう。
桜の街、弘前で行われる冬限定のイベント「冬に咲くさくらライトアップ」を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
寒さの厳しい冬は足を向けにくい北東北の地ですが、津軽鉄道のストーブ列車など、冬しか体験できないこともたくさんありますので、ゆっくりと時間をかけて弘前まで出かけてみてください。
弘前公園「冬に咲くさくらライトアップ」の概要とアクセス
●弘前公園「冬に咲くさくらライトアップ」開催期間:12月~2月末まで
ライトアップ点灯時間:日没~21時まで(一部日にちは22時まで延長あり)
地図:Googleマップ
アクセス:
■弘前まで
<飛行機>
青森空港から弘南バスの弘前市内行き空港連絡バスに乗車し、弘前バスターミナル下車。
<鉄道> 東北新幹線 新青森駅から、奥羽線に乗り換え弘前駅下車。
<高速バス>
首都圏から青森方面を結ぶ以下の夜行高速バス(弘南バス)で弘前バスターミナル下車。
・「パンダ」号 東京駅・バスタ新宿・上野駅発着(1日計3往復)
・「ニューノクターン」号 横浜・バスタ新宿発着(1日1往復)
・「ノクターン・ネオ」号 東京駅・バスタ新宿発着(1日1往復)
■弘前駅、弘前バスターミナルから
弘南バスに乗車し、市役所前バス停または市役所前弘前公園バス停下車。
※夜間の時間帯はバスの本数が少なくなります。特に弘前駅方面の最終バスは20時過ぎと早いため、時間帯が遅くなる場合はタクシー利用をおすすめします。
<車>
・東北自動車道 大鰐弘前インターチェンジから、国道7号線で弘前市内へ。
弘前公園の周辺に駐車場が点在しています。
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【関連サイト】
・冬に咲くさくらライトアップ
・弘前公園「冬に咲くさくらライトアップ」(弘前さくらまつり)
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◇「冬の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで冬の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。