先日シルバー人材センターの方に、シニアに人気の仕事を伺ったところ「事務職」という回答が返ってきました。屋内で座ってできる作業ということ、事務仕事に就いてきたので慣れている点が理由のようです。
しかし、実際は清掃や介護補助、店舗スタッフ、剪定や除草などの割合が多く、事務職は少ないそうです。今回は、高齢者が多く就業する業種を確認したあと、シニアが事務職で働くための方法を考えてみましょう。
高齢者の就業率が高い産業1位は「卸売業、小売業」、2位は「サービス業(他に分類されないもの)」
総務省統計局の「統計トピックスNo.138」では、高齢者が多く就業する業種を確認することができます。●「主な産業別高齢就業者数及び割合(2012年、2022年)」 2022年の結果で、高齢者の就業者が最も多い産業は次のとおりです。
・1位:「卸売業、小売業」127万人
・2位:「サービス業(他に分類されないもの)」105万人
・3位:「医療、福祉」104万人
・4位:「農業、林業」101万人
・5位:「製造業」90万人
このうち、2012年と比べて大きく就業率が伸びた産業は、「医療、福祉:2.7倍」「サービス業(他に分類されないもの):1.6倍」「卸売業、小売業:1.3倍」です。
この調査では、高齢者の就業者が多い産業のランキングが確認できますが、残念ながらそのうち事務職に就いている人の割合は確認できません。しかし、卸売り、小売業やサービス業などの産業からは店舗スタッフや接客などの仕事、医療、福祉からは介護スタッフなどの仕事が多いとイメージできるのではないでしょうか。
高齢者が「事務職」に就くには?
高齢になってから体に負担の少ない事務職に就きたいと思っても、店舗スタッフ、接客、介護スタッフ、清掃員などの求人が多く、なかなか事務職の求人はみつからないかもしれません。働くときは「事務職を希望する」という方は、以下の方法で検討してみるとよいでしょう。●再雇用してもらい、同じ会社で事務職での仕事を続ける
今まで会社で事務職だったという方は、再雇用してもらい、同じ会社で事務職の仕事を続けるとよいでしょう。また、もし今まで事務職ではなかったという人も、事務職を希望すれば配属となる可能性もあります。人事担当者に、事務職に就く場合のスキルなどをあらかじめ確認して、身につけておくようにしましょう。
2021(令和3)年に施行した「高齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)では、定年後から70歳までの就業機会確保の努力義務が提示されました。
そのため、会社によっては、今までの実績を評価して、嘱託社員やパート、バイトなど多様な雇用形態で継続的に働ける可能性があります。慣れた環境で働けるのであれば、体に負担がかかることもなく、安心して働けるでしょう。
●ハローワーク・求人サイト・シルバー人材センターで事務職の求人を待つ
公的機関であるハローワークは各市町村に設置されています。家の近くで仕事を探すときに利用するとよいでしょう。ハローワークでは、高齢者向けの求人も多数扱っていますし、かつ就業支援相談も受けられます。事務職を希望していること、今までのキャリアを伝え、これから事務職に就くにはどうすればよいかなどのアドバイスをもらいましょう。
同様に、民間の求人サイト、シルバー人材センターなどの窓口も活用して、幅広く探すようにしましょう。
●在宅ワークを探す
今まで事務経験が長く、パソコンは自在に使えるという方は「在宅でできる仕事」を見つけましょう。
たとえば、WEBデザインやホームページ制作、WEBライティング、画像や動画の編集、翻訳や通訳、テープライタ-などは、自宅で作業ができます。
仕事をもらうためには、スキルを習得して磨く必要がありますが、「興味がある」「好き」という方であれば、長い老後に向けてチャレンジするとよいでしょう。