転職のノウハウ

狙い目は、お盆明け「9月」と年明け「1月」? 転職活動にベストなのは何月か、人材コンサルが考察

1年の中で、転職活動をするのにベストなタイミングというのはいつか。なんとなく漠然とタイミングをうかがっている人は、有利なタイミングという考え方があることを知っておくといいだろう。その考え方の一例を紹介する。

小松 俊明

執筆者:小松 俊明

転職のノウハウ・外資転職ガイド

1年の中で転職するのにベストなタイミングはいつか

1年の中で転職するのにベストなタイミング、考え方の一例を紹介

1年の中で、転職活動をするのにベストなタイミングというのはいつか。もちろん、自分が転職したいと突き動かされたタイミングで希望の転職が叶うのがベストだが、なんとなく漠然とタイミングをうかがっている人は、有利なタイミングという考え方があることを知っておくといいだろう。
 

転職したい原因を、転職で解決するか、現職で解決するか

転職タイミングの個人的な事情は一言で言えば、現状への不満である。仕事内容、待遇や評価、そして人間関係への不満が3大転職理由であり、理由は1つとは限らず複数重なることも多い。

これらは、転職しないでも改善できる場合もある。例えば、忙しすぎた職場ではもらっている給料に満足できなかったかもしれないが、仕事が楽になれば給料への不満も軽減されるかもしれない。自分を評価してくれなかった課長や部長が社内異動で変わり、新しい上司からの評価が良くなることもあるものだ。転職を考えたとしても、それを最終的に思いとどまる人がいる理由は、こうした環境の変化によって不満が軽減された場合も少なからずあるだろう。
 

希望のポストに就けるかは、そのポストの空席次第

仕事内容への不満も異動で解決する場合があるが、多くは逆で、不本意な異動やなかなか異動できないことへの不満で転職に至ってしまうことが多い。

例えば海外事業に挑戦したいが、長年国内営業でキャリアを積んでいる人の場合、なかなか部署を異動できるチャンスは少ないかもしれない。国内営業で頑張り、成果も出して信頼も厚い人であれば、上司はそうした会社への貢献度の高い部下を失いたくはないものだ。つまり皮肉にも、信頼度が高く評価も高い社員であればあるほど、本人の希望が通らないことがあるということである。そのような状況が続けば、本人は転職してしまうかもしれないので、優秀な人材に辞められないように、会社として本人の希望を定期的にヒアリングするシステムは必要だ。

また、よくある不本意な異動のパターンとして、自分が担当しているプロジェクトがちょうどこれから大事なときを迎えるというタイミングで担当を外されたというケースがある。もちろん本人の希望に合わなくても、周りがその人の異動を希望する、もしくは異動を止めない場合もあるが、周囲の動きの影響で玉突きで異動が回ってきているパターンもある。

例えば、別の部署で異動や転職する人が発生し、その後任探しが難航した場合だ。まだ異動させるには少しタイミングが早いが、空席ポストにマッチする人物像が他にいない場合、自分に異動の白羽の矢が立つことがある。これは一種のもらい事故のようなものだが、中途採用があまり積極的に行われていない組織に見られがちな出来事である。いる人で何とか会社全体の仕事を回すという発想になれば、このような不本意な異動が発生しやすくなるということだ。

このような形で、会社組織の異動というのは、空席に誰を入れるかという見方をすると考えやすく、上記のような不本意な異動もあれば、逆に、希望のポストに空きがあれば本意の異動が叶うこともある。昇進や昇給を伴う異動は、そのようなポスト自体が少ないがゆえに、難度が高いことが多い。

転職も同じで、転職をしたくてもそのタイミングで自分に適した求人案件がなければ転職は実現しないことに気をつけなければならない。実際、転職活動を始めたけれども良い求人案件とのめぐりあわせがなくて、転職活動をいったん中断する人もいる。つまり、ポストの空き状況次第なのである。このことから、1年の中で転職をするのにベストなタイミングというのも考えられる。
 

転職活動の狙い目は、お盆明けの9月、年明けの1月?

人が会社を辞めるべきタイミングとして、ボーナスをもらった直後がいいという説があり、実際、ボーナスが支給される6月・12月を待って、そこから退職届を出す人は比較的多い。また4月と10月は異動の季節だ。よって、その直後に人が動き出すという説もある。不本意な異動を不満に思った人が転職活動に動き出すからだ。無論、この人たちも、6月・12月のボーナス支給まで在籍して転職していくことが多い。

世間にある程度このような動きをする人がいるということは、各社でこの時期にポストに空席が生まれることを意味している。つまり、求人数が増えるということである。検討できる求人数が増えるのはメリットに違いない。

4月以降、そしてボーナスの支給後の7月から8月のお盆前くらいまで、また、10月の異動後、そして12月のボーナス支給前後までが、転職活動が盛んな時期といえる。多くの人は転職が決まってから退職届を出すことから、企業にポストの空席が生まれることが判明するのは、この時期から1~2カ月後ろにずれたタイミングになる。それを考慮すれば、実はお盆明けの9月、年明けの1月、この短い時期はひそかに転職の狙い目といえるかもしれない。

ポストの空席情報が多くある割に転職活動をする人の数はあまり多くなく、需給のバランスから見れば、この時期に転職活動をしてみることは、思いのほか書類選考の通りが良くなる可能性もある。求人案件あたりの応募者数がピーク時よりも下がっていれば、企業の書類選考の基準が多少なりとも寛容になることもありうるからだ。

この考え方や時期は一例である。何事もタイミング次第で結果は変わる。転職活動のタイミングは個人事情だけで決めるのではなく、世の中に求人案件がどの程度あるか、世の中の人の動きはどうか、志望する業界・企業で動きのあるタイミングはいつかなど、必要に応じて転職エージェントの意見を聞くなどして、自分なりに転職市場の状況を探ってみるといい。採用は需給のバランスで決まるため、せっかくなら自分にとって有利なタイミングで希望する転職を実現したいものだ。
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