実際、現役時代に仕事中心に時間を使ってきた方であれば、忙しくて趣味をする時間がなかったかもしれません。また、お金がかかる外出は「たまに」で十分ということであれば、老後は家の中で過ごすことが多くなってしまうでしょう。
シルバー人材センターって何?詳しく聞いてみました
そんな方が「少しでも収入を得たい」「体を動かして健康を維持したい」「地域の方々に喜ばれたい」などを望むなら、地域で見かける「シルバー人材センター」への会員登録を検討してみてはどうでしょう。今回は、シルバー人材センターについての詳しい内容を公益社団法人富山市シルバー人材センターの松田事務局次長に教えていただきました。
公益社団法人富山市シルバー人材センターの事務局次長松田さん
松田事務局次長:シルバー人材センターは、原則として市(区)町村単位に置かれている、都道府県知事の指定を受けた公益社団法人です。公益社団法人とは、不特定多数が恩恵を受けるような公益性の高い事業を行う非営利の民間組織です。
シルバー人材センターは、「自主・自立、共働・共助」の理念に基づき、働くこと、生きがいや健康づくり、地域社会に貢献するなどの目的を持った60歳以上の会員に対して、臨時的かつ短期的な就業またはその他の軽易な業務に係る就業を提供しています。また、仕事の紹介だけでなく、ボランティアやサークル活動などの参加機会を提供して、人と人とをつなぐ活動もしています。
全国シルバー人材センター事業協会の「2022(令和4)年度全国統計」によると、全国の市区町村に設置しているシルバー人材センターの数は1340団体、会員数は68万1739人です。このうち男性は約45万人、女性が23万人です。
シルバー人材センターで働く目安は「月に10日程度」
――シルバー人材センターに登録できるのはどんな人ですか?松田事務局次長:シルバー人材センターに登録する方は、原則60歳以上の健康で働く意欲のある方です。しかし、実際に富山市で会員登録されている人々の平均年齢は74歳です。
理由は、2021年4月に高年齢者雇用安定法が改正され、従業員に対する70歳までの雇用を確保することが努力義務となりました。多くの企業は、65歳までの定年引上げや、70歳までの継続雇用制度を導入しています。その影響により、シルバー人材センターへ登録する方は、70歳以降の方がメインになっているのです。
――シルバー人材センターで紹介される仕事と報酬の目安を教えてください。
松田事務局次長:シルバー人材センターで紹介する仕事は、高齢者にふさわしい「臨時的な仕事」(1日だけの仕事あり)や「短期的な仕事」(月に10日程度)です。
収入の目安は平均して4万~5万円ほどですが、常用雇用ではありません。毎月一定の収入を必ず得るというよりは「空いた時間を有効に使う」「生活にメリハリをつけて人と交流する」などの目的を軸に働きたいという方が適しています。
シルバー人材センターの仕事の受注から報酬の流れを確認しよう!
――シルバー人材センターの仕事の受注から報酬のお支払いまでの流れを教えてください。松田事務局次長:受注から報酬のお支払いまでの大まかな流れは3ステップです。
1ステップは「仕事の受注」です。官公庁・企業・個人などの依頼主(発注者)から仕事の依頼があり、請負または委任、あるいは派遣という形態でシルバー人材センターと契約を行います。
なお、「請負・委任」とは、依頼主(発注者)から指揮命令を受けずに、会員自らの裁量で作業を行います。「派遣」とは、依頼主(発注者)から指揮命令を受けて作業を行います。
2ステップは、「就業機会の提供と仕事の完成」です。シルバー人材センターが受注した仕事を、希望する会員に紹介します。会員に了承をもらい、決められた納期までに作業を完成してもらいます。
3ステップは「会員への報酬(配分金・賃金)の支払い」です。シルバー人材センターから会員の作業実績に応じた報酬(配分金・賃金)を支払います。