お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

39歳パート、4年前の相談から貯金を増やし1200万円に。来年住宅を購入しようと思います

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、4年前の相談から貯金額を増やし、住宅購入を考えているという39歳のパートで働く女性です。お子さんの1人が私立中学受験を希望しているとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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もし第1子の高校と第2子の中高が私立になったら、と心配しています

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、4年前の相談から貯金額を増やし、住宅購入を考えているという39歳のパートで働く女性です。お子さんの1人が私立中学受験を希望しているとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
貯蓄を増やし住宅を購入します

貯蓄を増やしたので住宅を購入します

■相談者
たんぽぽさん
女性/パート・アルバイト/39歳
九州/借家

■家族構成
夫(会社員/43歳)、第1子(13歳)、第2子(11歳)、第3子(7歳)

■相談内容
4年前に深野先生にご診断いただきました。その節はお世話になりありがとうございました。
https://allabout.co.jp/gm/gc/481338/

当時いただいた「また相談を寄せてください」とのコメントに甘え、またご連絡させていただきました。

現在、第2子が中学受験を希望しています。希望は公立の中高一貫校なのですが、私立の併願も選択肢に入れてあげたいと思っています。今年中に第2子、来年度から第1子が入塾予定です。

大学費用は保険でまかなう予定で貯めているのですが、高校までの私立は想定しておらず。習い事もそれぞれ夢中になってしているので継続させてあげたいと考えているのですが、もし第1子の高校と第2子の中高が私立になったら……と少し心配です。

また、先生にアドバイスをいただいた貯蓄額になりましたので、来年住宅を購入しようと思います。

土地や建築費の値上がり、地域性により当初の予算を大きく上回り、予算5500万円、ローン4500万円と考えているのですが、夫はもう少し予算を上げたいと考えているようです。教育費の懸念があるなか、いくらまでなら無理なく住宅費に充てられるのかご教示願います。

来年度から投資をすることも検討しています。私は今年度で仕事を辞める予定でいましたが、月2万円くらいのペースでも続けたいと考えています。

返済を10年待ってもらうようアドバイスいただいていた両親への借金ですが、両親が高齢かつ、経済的余裕があまりないため、借金額200万円を残して返済しています。残りも住宅購入が落ち着き次第返したいと思っています。

死亡保険は団信でまかなおうと思ったのと、保険の営業の方に、夫は収入が高いので医療保険より収入保障保険の方がよいのではないかと言われ、調べているうちに月日が流れてしまい……共に未加入です。

毎月の貯蓄額は、余った分がそのまま口座に貯まりますのでアバウトです。ボーナスも使い道は特に決めておらず、そのまま貯蓄しています。

長々と失礼いたしました。よろしくお願いいたします。

■家計収支データ
相談者「たんぽぽ」さんの家計収支データ

相談者「たんぽぽ」さんの家計収支データ

■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
数年に1度の支出は、雑費に含めています。ですので、ほぼ全額貯蓄と考えていただいて大丈夫です。

(2)自動車について
駐車場代は住居費に含まれています。ガソリン代7000円、自動車保険1万円、車検7000円、たまにかかる修理費、タイヤ交換代などを月割りして多めに見積もって6000円としました。買い換えは5年後に予算200万円。限界まで乗りたいですが、10年乗っているのでこれくらいでしょうか。

(3)加入保険について
夫/
・生命保険(積立利率変動型終身保険、払込期間13年、最終払込2029年、死亡保障1800万円、2018年時点の解約返戻金約96万円、積立利率1.5%)=毎月の保険料7万5000円

(4)子どもの教育費について
学校費1万5000円、習い事や部活4万円、その他1万円です。

第1子が来年4月から塾代3万円ほど、今年度中に入塾予定の第2子も3万円ほどかと思います。

第1子は今のところ公立高校を希望、塾も3年生になったら、と言っていますが、一番お金がかかる場合を想定して対応できるようにしたいと思っています。

・第1子……公立中学校、高校、大学は私立の可能性もあり
・第2子……中高一貫の公立、私立の可能性もあり。大学も私立の可能性あり
・第3子……よほどのことがない限りは中学までは公立かと思います。

(5)夫の働き方・退職金について
夫のボーナスは来年100万円上がります。定年は62歳。退職金は不明ですが、定年まで働けば1000万円程度とのことでした。

(6)公的年金について
ねんきん定期便が手元になく、不明です。

(7)購入希望の住宅について
戸建てで検討中です。土地と建築費で5000万円、諸経費などその他含め5500万円で考えています。相場はもっと高い地域ですが、利便性などを諦めて手頃な土地を購入予定です。

■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 この先の教育費と大きな出費を、まず確認すること
アドバイス2 希望どおりに住宅購入しても老後資金も問題ない
アドバイス3 保険は早急に見直しを。節税目的なら投資はiDeCoに

アドバイス1 この先の教育費と大きな出費を、まず確認すること

借金返済と並行して貯蓄を頑張りましたね。4年前のアドバイスでは6年後をめどに住宅購入ができるマネープランをアドバイスしましたが、それより2年前倒しの目標達成は、本当に素晴らしいです。そして住宅購入をする前に、再度、ご相談をお寄せいただきよかったです。これから、子どもの教育費が次々とかかってくるタイミングですから、無理のない資金計画を立てることが非常に大事です。

住宅購入の資金計画を立てる前に、子どもの教育費を整理しておきましょう。第1子は私立高校300万円、私立大学文系で450万円、合計750万円。第2子は中学・高校とも私立も想定して600万円、大学私立文系で450万円で、合計1050万円。第3子は第2子と同様としても1050万円。3人合計して2850万円です。これに塾代や、大学で理系に進んだ場合も想定すると、3500万~4000万円は見込んでおきたいところです。

教育費以外で大きな出費としては、車の買い換えがあります。長く乗るとのことですが、年齢から考えると、あと3回。諸費用を考慮して1000万円とします。

まずは、今後出て行く大きな出費については、覚えておくようにしてください。

アドバイス2 希望どおりに住宅購入しても老後資金も問題ない

さて、住宅購入ですが、1年後と想定すると、その間にも貯蓄を増やせます。現在は毎月40万円の貯蓄ができていますが、今後、ご相談者の収入が減ることを考えると、毎月30万円。ボーナスからは190万円。年間550万円が上乗せできます。現在の預貯金が1200万円ですから、1年後には1750万円になっています。

ここから頭金1000万円、諸費用として300万円。住宅ローン4500万円、金利2.0%、返済期間20年で計算すると、毎月の返済額は22万7650円となります。現在の住居費から約12万円アップしますが、家計収支的には問題ないでしょう。収入が87万円、支出が64万円と増えますが、収支差は23万円ありますから、毎月20万円は貯蓄できるはずです。

住宅購入後の貯蓄は、毎月20万円で年間240万円、ボーナスが100万円増額して290万円から210万円を貯蓄に加えれば、年間450万円貯められます。ご主人の定年が62歳ですから、18年間で8100万円になります。住宅購入後の残りの預貯金450万円を加えて、8550万円。これがご主人62歳までに貯められる金融資産ということです。

ここから子どもの教育費4000万円、車の買い換え費用1000万円を差し引くと3550万円となり、退職金1000万円とすると4550万円。これが老後資金のベースになります。

教育費は、これからその都度支払いがありますので、貯蓄しては教育費に回す、この繰り返しとなり、増えていく実感を持てないかもしれません。しかし、最終的には4550万円は残りますので、安心していいでしょう。さらに計算上、教育費を一括で差し引きましたが、毎月の家計に計上されている6万5000円の18年分、1400万円がありますから、結果的に老後資金としては5950万円ということになります。

老後夫婦2人での生活になった場合、おそらく公的年金だけで生活費をまかなうことが可能でしょう。そう考えると、住宅ローンを5500万円で組んでも1150万円ほど負担が増えますが、それでも老後資金は4800万円ですから、それほど無理はないと言っていいでしょう。ただ、今後の物価高に伴い、教育費の高騰、生活コストの高騰など、現時点では予測できない事態も考えられますので、慎重に住宅選びをなさってください。
 

アドバイス3 保険は早急に見直しを。節税目的なら投資はiDeCoに

気がかりなのは、やはり保険です。前回のアドバイスでも述べましたが、現在の保険金額は1800万円と不足しています。住宅ローンは団体信用生命保険への加入でカバーされますが、万一の際、家族の生活が立ちゆかなくなってしまいます。

前回も申し上げましたが、割安な定期保険で保険金額2000万円、保険期間15年(第3子が大学卒業するまで)で加入してください。保険料は5900円ほどです。さらにご夫婦それぞれ医療保険または、共済に加入してください。保険料は2人で4000~4300円ほどです。現在加入中の保険については、払い済みとして、ここまでの保険料に相当する保障は残します。ただし、解約返戻金が納得できる段階になったら、解約してもいいでしょう。新規加入の保険料との差額6万4000円が浮き、十分な保障も得られることになります。

また、投資については、節税目的であれば、iDeCoの加入がいいでしょう。おそらく住宅ローン控除を受けることになっても、所得税の枠は残ると思いますので、掛金全額が所得控除になるiDeCoがおすすめです。投資先は全世界株式に投資する投資信託1本で十分です。くれぐれも不動産投資に手を出すことのないよう、冷静な判断をしましょう。

まずは、住宅購入の資金計画を立て、購入後もしっかりと貯蓄をし、教育費が不足することのないよう、頑張ってください。貯蓄が1000万~1500万円に戻ったら、ボーナスの一部は家族の楽しみに使うようにしてください。なにより、ご主人がストレスなく働ける環境づくり、健康ケアを考えてくださいね。

また、状況が変わったらご相談してくださって構いません。家族全員の健康を願っています。

相談者「たんぽぽ」さんから寄せられた感想

また深野先生にアドバイスをいただくことができ、大変うれしく思っております。先の教育費、住宅費について不安に思っておりましたが、具体的にアドバイスをいただき、家族の選択肢を広げることができそうで安心いたしました。投資はiDeCoにし、保険もすぐに加入しようと思います。

堅実に、家族で楽しみながら生活できるよう、頑張っていきます。貴重なアドバイスをありがとうございました。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子
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