結婚して人と暮らすことの大切さを知る
――ちなみにこの映画はシェアハウスで暮らす人々のお話ですが、貫地谷さんご自身はシェアハウスで暮らしてみたいと思いますか?貫地谷:20歳の頃だったらできたかもしれませんが、今はどうかな(笑)。私はずっと芸能界の中でもトップクラスの常識人で、本当に“普通を代表する人”だと思っていたんです。
でも年齢を重ねると人は変わりますね。超ノーマルだったけど、ちょっと“クセ”が出てきたと感じるので、今は「シェアハウスで暮らせるだろうか」と思ったりします。とはいえ、結婚して、夫と暮らしてみると心強いし、やはり人との関わりは人間を強くしてくれると思います。
――完成した映画はいかがでしたか?
貫地谷:やっぱり主演の小野武彦さんに尽きます! 芸歴57年で初主演映画ですが、キャリアの年輪がスクリーンに現れていると思いました。映画って大きなスクリーンで見るから誤魔化せないんです。小野さんは実力もキャリアも本物だから、ちゃんと俳優として生きてきた人の力を感じました。 ――この映画では、シェアハウスの大家さん・喜代子(宮崎美子)が事故に遭ってしまい、急きょ、夫の秀夫(小野武彦)が大家さんをすることになるんですよね。最初は住人の気持ちを察することができず、ギクシャクするのですが、徐々に心を開いていく。そのお芝居が本当に自然でさすがでした。
貫地谷:映画を見ていると、「この俳優さんは〇〇劇団出身かな」とか、俳優としての出自が分かるんですよ。それは、自分の中で築き上げてきたものがちゃんとスクリーンに映し出されているからではないかと。映画は人生を映し出すんだと思いました。
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