さまざまな事情を抱えたシェアハウスの住人たちが、支え合いながら生きていく物語の中、貫地谷さん演じる高柳美穂は、キャバクラ勤務のホステス。ハウスの住人はみんな明るいのですが、美穂はいつも疲れていて機嫌が悪く、他の住人と打ち解けない女性です。でも彼女には人に言えない事情があり……。
貫地谷さんは常に不機嫌そうな美穂の変化を丁寧に演じています。撮影の裏側について、俳優という仕事についてなど、いろいろなお話を伺いました。
大先輩たちに囲まれて甘えたくなっちゃいました(笑)
――『シェアの法則』という作品に引かれた理由を教えてください。貫地谷しほりさん(以下、貫地谷):この映画のエグゼクティブ・プロデューサーの大和田廣樹さんと久万真路監督は、10代のときから一緒にお仕事をしてきてお世話になった方々なんです。だから「やるしかない!」とすぐ前向きな気持ちになりました。
――貫地谷さんの出演シーンはシェアハウス内が多かったですよね。シェアハウスのメンバーとの撮影はいかがでしたか?
貫地谷:とてもにぎやかな撮影現場でしたね。年上の先輩俳優さんたちが多かったので、なんだか親戚の家にいるみたいな感じで(笑)。
最近は撮影現場のスタッフさんも年下の方が増えてきたので、大先輩の俳優さんたちに囲まれて甘えたくなっちゃいました(笑)。みなさん、すごく頼もしかったです。
俳優は雑談が命!
――貫地谷さんの前作『オレンジ・ランプ』に続いて、お母さん役でしたね。貫地谷:そうですね。でも前作は女の子のお母さんだったので距離を縮めやすかったのですが、今度は男の子だったので、最初は難しいなと思いました。どうやって話しかけようかと考えました。
私には子どもがいないので、男の子への接し方が分からないんです。今でも「ちゃんとお母さんに見えたかな?」と不安な気持ちがあります。 ――俳優さん同士の撮影現場のコミュニケーションも、楽しかったり、悩んだり、いろいろなことがあるんですね。
貫地谷:昔、演技レッスンの先生に「俳優は雑談が命だ」と言われたことがあるんです。自然に雑談ができる人が役者を続けていられるのではないかと。もちろん役と向き合って集中力を高めていく方もいると思うので、芝居に関する考え方のひとつだと思います。
でもこの映画の現場は、みなさんずっと楽しくおしゃべりする方が多かったので、演技の先生の言葉を思い出して「なるほど」と思ったりしました。
――演技の先生からの言葉で他に覚えていることはありますか?
貫地谷:「世の中には、いいものがたくさんある。君たちはまだ見る目が養われていないから、50年経ってもいいと言われる名作を読んだり、見たりしなさい」と。役者は広く浅くでもいいから勉強したり、経験したりすることが大事だと言われました。お芝居を始めた頃に習った先生なので、その言葉の影響は大きかったです。
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