亀山早苗の恋愛コラム

47歳女性、27歳の年下彼氏と交際5年。「同世代の好きな人」との結婚を決意した彼は…(2ページ目)

3年付き合ったら50歳の大台にのる自分に「愛があるから大丈夫」と言った、20歳年下の彼。いつでも別れを意識していたという彼女ではあったが、5年の交際期間を経てその時が訪れると……

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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半同棲は楽しかったけれど

ノゾミさんが根負けして付き合うようにはなったが、彼女はいつ別れてもいいように常に距離を保っていた。

「うちに来たがる彼に、それは週に1度だけと決めたんです。私は彼のママでも妻でもないのだから。私が彼のめんどうをみるのは違うと思った。すると彼は『じゃあ、僕が食事を作るよ』と週末に来て作ってくれたんです。パスタとサラダとスープ。それがものすごくおいしくてびっくりしました。『ね、僕と一緒にいるとバランスのいい、おいしいものが食べられるんだよ』って。ひとりだとどうしても食事を手抜きしがちですが、彼と一緒にいると本当にいつもおいしいものが食べられた」

彼女は音楽や映画、絵画など芸術に造詣が深い。彼は好奇心が旺盛で、芸術に接したがっていたのであちこちに連れ出した。彼の鋭い感性は、彼女の芸術観も変えた。

「同じ絵を観ても、彼の意見が新鮮でした。何に対しても自分の意見をもっているのがおもしろくて、私も彼にぐんぐん惹(ひ)かれていった」

彼に「結婚したい人」が現れた……

そんな時間の積み重ねが5年になった。ここ3年はほぼ同棲といってもいいような状態だ。そんな中で、突然、彼が「好きな人ができた」と言ったのだ。

「いつかこういう日が来るとわかっていた。彼は『僕にとって、あなたは永遠の恋人だと思う』と言うんです。でも若い女性と付き合って結婚したいと思うようになったんでしょう。彼も32歳、当然ですよね。覚悟していたはずなのに体が震えました」

8月31日が彼女の53歳の誕生日だ。この日をもって関係を終わらせようと彼女は決めたという。誕生日を祝ってから友だち関係に戻ろうと言った彼に、彼女はどうせ別れるなら、そんな慰めはいらないと思った。

だが数日考えて、祝ってもらおうと考えを変えた。彼には感謝しかない。せっかくなら、笑顔で別れたいと思ったからだ。

「彼を恨んだり憎んだりする気持ちはまったくないんです。ただ、私の未練は少し尾を引きそう。それだけこの5年間が輝いていたと思うから。でも私は彼を引き止めることなんてできない。彼には幸せになってほしい、彼の意志を尊重するのが私の愛情なんです」

話しているうちに涙ぐむノゾミさん。濃密な5年間は、きっと彼女の今後の人生の宝物になるはずだ。

「友人に言われたんです。『9月になったら、新たな彼を見つけよう』と。そういう考え方もありますね」

彼女は涙目になりつつ、自分を奮い立たせるように笑みを浮かべた。
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