人間関係

新幹線の車内でチッチッと舌打ち、地団駄を踏む夫に「他人のフリ」をするしかなかった私

気持ちはわからないでもない、それでも残念すぎる夫に「他人のフリ」をするしかなかった。数年前の台風のときの出来事を、40代女性が語った。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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自然災害にはいつどこで、どんなふうに遭遇するかわからない。台風だとはいえ、運行しているのであれば、どうしてもはずせない用で新幹線に乗ってしまうこともあるだろう。結果、閉じ込められる場合もある。
新幹線の車内でイライラをまき散らす乗客がいたら……

緊急停止中の新幹線の車内でイライラをまき散らす乗客がいたら……

 

せっかちな夫がイライラ……

数年前、夫の父親が倒れ「最後のお別れに来てほしい」と義母に言われて、台風が接近する中、無理と承知の上で新幹線に乗ったマイさん(40歳)。

「当時、5歳と3歳の娘を連れて、家族で出かけたんです。もちろん台風が来ているのはわかっていたけど、まだ直撃というわけではなかったし、なんとか行き着けるのではないかというギリギリのところでの選択でした」

ところが案の定、新幹線は途中で止まった。このときの夫のイライラぶりがマイさんには忘れられないこととして記憶に残っている。

「夫の焦る気持ちはわかるんです。だけど幼い子どもたちも一緒なのだから、親としてあまりイライラしているところを見せないでほしい。そう思いました。義母がまた、しょっちゅうメッセージを寄越すんですよ。『まだ?』『おとうさんが危ない』って。それを見るたび、夫が立ち上がってうろうろする。顔もひきつっていく。どう言葉をかけていいのかわかりませんでした」

新幹線の車内で地団駄を踏みはじめ……

マイさんが子どもたちを連れてトイレに立ち、戻ってきたときには夫は座席のところで立ち上がって地団駄を踏んでいた。自分を落ち着かせようとする行為なのかもしれないが、周りの人も妙なものを見るような目で見ている。

「思わず子どもたちを連れて、もう一度デッキへ行ってしまいました(笑)。あんな夫の姿を見たくなかったし、周りの人の目も気になって、身内だと思われたくなかったから」

そう言って彼女は苦笑した。どんなに焦ってもイライラしても、どうにもならないことが世の中にはある。だからといって、その場でマイさんが何を言っても夫の耳には届かないだろう。他人のフリをするしかなかったのかもしれない。

「でもずっと席に戻らないわけにもいかないから、しばらくたってから戻りました。夫は相変わらず落ち着かず、座っていても貧乏揺すりをするし、チッチッと舌打ちばかりする。私、舌打ちする人が怖くて嫌いなんです。思わず、『あなたってそういう人だっけ』と言ってしまいました」

夫はギョッとしたようにマイさんの顔を見た。

>クレーマーのように、車掌に詰め寄る
 
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