Q. 「薬を飲んでいたら献血できない」というのは本当ですか?

【薬学部教授が解説】献血に協力しようとしたら、服薬を理由に断られてしまった!? 薬が原因で献血できないことがあるのは、なぜでしょうか? 一方で、薬を飲んでいても問題なく献血できるケースもあります。その理由と判断のポイントを、わかりやすく解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

Q. 「薬を飲んでいたら献血できない」というのは本当ですか?

献血

献血に協力するために必要な条件とは?


献血して役に立ちたいという気持ちがあっても、飲んでいる薬によっては献血を断られてしまうこともあります。「薬」に関して、献血の条件が異なる理由について、わかりやすく解説します。

Q. 「『薬を飲んでいたら献血できない』というのは本当でしょうか? 薬を飲んでいるときの血液は、健康な血液ではないのでしょうか?」
 

A. 薬によって異なります。自己判断せずに献血会場で相談しましょう

「薬を飲んでいる場合、献血できないことがある」のは本当です。これは、飲んでいる薬が原因で、血液そのものの成分が悪くなっているということではありません。血液自体に問題がなくても、飲んでいる薬の成分が何らかの効果を発揮しうる濃度で、血液中に含まれている可能性があるためです。薬の成分まで輸血によって提供されてしまうと、輸血を受けた人に何らかの薬の効果が表れてしまい、予測できないことが起こる危険性があります。

一方で、どんな薬でも、献血ができないというわけではありません。とても細かいのですが、薬によって、献血できるかどうかは異なります。一概にはいえませんが、
  • 影響が小さい成分の薬……献血当日に服用していても献血可能
  • 比較的速やかに体外に排出され、血液中に残りにくい薬……献血当日に服用していなければ献血可能
  • 血液中に薬が残りやすいものの、あまり影響を気にしなくてよい薬……服薬から一定期間は献血できないが、それ以上の時間が経っていれば献血可能
  • 少量でも影響が大きいと考えられる薬……献血不可
というように、薬の性質によって、判断が変わります。

また、献血には「全血献血」と「成分献血」があります。飲んだ薬の大部分が、血液中の血しょう(血球以外の液体成分)に溶け込んでいる場合、血小板には薬の成分はほとんど含まれませんので、血小板だけを提供するのであれば、薬の影響は考えなくてよいでしょう。

いずれにしても、薬にはたくさんの種類がありますので、服薬中に献血できるかどうかを自己判断するのはよくありません。たとえば、貼り薬は飲み薬と違うから平気だろうと思われるかもしれませんが、貼り薬を使っている場合でも献血できないことがあります。せっかくの善意が無駄になるばかりか、あなたの血液を受け取った人に危険が及んでしまうこともあるのです。

献血して役に立ちたいという思いを生かすためには、「お薬手帳」などを持参して、自分が使っている薬の種類や服用した時間などとともに、当日の体調や病気の状態なども正しく伝えることが大切です。献血会場の担当医にしっかり相談した上で、献血の可否を判断してもらうようにしましょう。
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