インターネット上で得る情報が偏ってしまうのは、「フィルターバブル」と「エコーチェンバー現象」が原因であると考えられます。
この記事では、フィルターバブルの意味や問題点、エコーチェンバー現象との違いについて解説します。
我々を孤立させる「フィルターバブル」
フィルターバブルとは、自分自身が作り上げたフィルターにバブル(泡)のように閉じ込められ、それ以外の情報から切り離された状態を指します。Googleなどの検索エンジンは、検索した本人の閲覧履歴や所在地などの傾向に合わせて、ユーザーごとにカスタマイズした結果を表示しています。つまり、自分の観点に合わない情報からは隔離され、見たいものだけを見せられている状態なのです。
これらを、パーソナライズド検索と呼びます。
「Google先生に聞く」という言葉がありますよね。「何かを知りたい時は検索する」という人が多い世の中であるだけに、検索結果は絶対的な情報に思えるかもしれません。しかし、実際は検索エンジンのアルゴリズムがあなただけに見せている偏った世界とも捉えられるのです。
フィルターバブルとエコーチェンバー現象の違い
フィルターバブルは検索エンジン上などで起きることですが、一方のエコーチェンバー現象は、主にSNS上で起きる現象を指します。SNSでは、同年代や同じ趣味を持つ人など、価値観や環境が似た者同士がフォローし合うなどしてつながることが多いです。そのため、SNS内では自分と似た言説ばかり耳に入って来るようになります。その結果、SNSで流れてくる意見や考えは、自分のコミュニティ内のものに過ぎないにもかかわらず、それが真実であり正しいことであると強く信じ込んでしまうのです。
SNSしか見ないでいると、偏った意見や考えに凝り固まり、自分と違う意見や考えがまったく目に入らなくなることがあります。
エコーチェンバー現象について詳しく知りたい人は「エコーチェンバー現象の意味と問題点とは」の記事をご覧ください。
フィルターバブルの問題点とは?
では、フィルターバブルはなぜ問題なのでしょうか。まず、孤立してしまうという点があげられます。
テレビ番組などは、自分1人だけでなく、同じ番組を見ている人は必ず複数存在します。しかし、フィルターバブルは人によって異なる情報を表示させるため、人と人とを分断させるリスクがあります。
次に、フィルターバブルは目に見えないという点です。
テレビ番組のチャンネルを変えたり、新聞や雑誌を選んで読んだりと、選択する意思はユーザー自身にあります。しかし、パーソナライズされた検索エンジンによって表示された結果は、自分自身で選んで表示させているわけではありません。なぜそのような検索結果になっているのか、自分自身でも把握できていないことがほとんどな上、避けようにも避けられない状態といえます。
フィルターバブルの内側にいると、表示された情報がどのくらい偏っているかを知ることは難しいでしょう。
まずは「パーソナライズド検索」をオフにしてみよう
フィルターバブルによるリスクを回避するために、まずは「パーソナライズド検索」をオフにしてみましょう。「シークレットモード」や「プライベートモード」と呼ばれる、検索履歴や閲覧履歴を残さないかつ、それらに影響されないモードです。これらを利用すると、パーソナライズド検索をオフにすることができます。
ただし、ブラウザ上に情報が保存されないだけで、匿名でアクセスできるというわけではないので注意してください。
まとめ
検索サービスを使っている限り、フィルターバブルを完全に避けることは難しいことです。しかし、少なくとも自分が見ている検索結果は偏っている可能性があることは自覚しておくべきでしょう。そして、インターネット以外の媒体から情報収集する意識ももつようにしてください。
【参考記事】
(※1)令和5年版 情報通信白書(総務省)