マネジメント

丸亀製麺「うどんにカエル混入騒動」の教訓。危機管理において絶対にやってはいけないこと(2ページ目)

先日、丸亀製麺がテイクアウト用の商品にカエルが混入していたと発表。事件発覚の発端は、当該商品の購入者によるTwitterへの投稿でした。SNSなど個人の情報発信力が高まっている今、企業の危機管理において重要なこととは。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

絶対に現場だけの判断では動かない

危機管理において重要なポイント

画像はイメージ

まず基本は「危機管理は現場任せにしない」ということ。

飲食店や物販店のような多数の現場店舗を持つ企業では、本社がクレームなどのトラブル別対応策を具体的に定めマニュアル化します。

例えば、「髪の毛が入っていた」「虫が入っていた」などの場合、どのように対処・報告するかを事細かに明示するのです。かつ、今回のようなマニュアル掲載事例とは異なるケースが起きたときには、必ず本社に連絡して対応を仰ぐ、または対応を本社に一任するなどのルールを徹底することです。

今回の件で、クレーム後に3時間だけ閉店してその後すぐフルメニューで営業を再開したというのは、先にも申し上げた通り恐らく店舗内で他に混入がないかチェックした上で問題なしと判断し、クレームにはおわびと商品交換などで対応し営業を再開した、ということに間違いないでしょう。

現場はどうしても売上優先でものを考えがちであり、利用者の感覚を忘れた対応に走ることがあります。ですからマニュアルでその点をカバーしつつ、イレギュラーケースでは絶対に現場だけの判断では動かないことを徹底する必要があるのです。

一方、丸亀製麺の本社の対応ですが、今回のケースでは事態の大きさへの認識が甘かったといえます。Twitterにあげられた映像の衝撃性から判断すれば、事に気が付いた段階で即刻コメントを出すべきでした。「社内調査及び保健所のご協力もいただき、現在事実関係を確認中です。何か分かり次第、迅速に報告します」程度のコメントすらないと、当該企業が事件を黙殺しようとしているのではないかとの疑念を抱かせ、余計なバッシングを呼び起こすことにもなります。

それと、今回のように騒ぎが大きくなった場合は、会見を開いて説明と質疑に応じることで、食の安全に対する自社の姿勢を明確に示す必要もあるでしょう。

いずれにせよ、今はマスメディアだけでなく、あらゆる個々人が世間に対して強い発信力を有する時代であるとの認識を持つことが不可欠です。その上で企業は、トラブル対応、クレーム対応を現場任せにすることなく、会社として極めて慎重に対処する必要があるでしょう。本件は多くの企業への教訓でもあると考えます。

>次ページ:丸亀製麺が公開した「サラダミックス」の製造工程
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