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宮沢氷魚が「これほど制作に深く関わった作品はない」と語る、主演映画『はざまに生きる、春』の魅力(5ページ目)

映画『はざまに生きる、春』に主演している宮沢氷魚さんにインタビュー。発達障害のある画家をチャーミングに演じた宮沢さんに、撮影の裏側から俳優としての未来までさまざまなお話を聞きました。

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド

作品のすべてに関わる映画監督にはなれません!

――先ほど、「ご自身の経験を映画化した葛監督がうらやましい」というお話がありましたが、宮沢さんは、監督に興味はありませんか?
 
宮沢
:ないですね。実は以前、「僕だったらどういう風に撮影するかな」など、監督に興味を持って考えていたことはあるのですが、いろいろな監督さんと仕事をさせていただき、やはり自分には無理だという結論に至りました。
 
自分の役を理解するだけでも時間がかかるし、体力も消耗するのに、監督や脚本を手がけるということは、作品のすべてに関わらないといけない。登場人物全員を理解して、俳優さんに演出をつけるなんて、僕には到底できないと思ったんです。「この役はどういう感情ですか」とか「どう演じたらいいでしょうか?」と聞かれても「わかりません」と言ってしまいそうで(笑)。
 
だから僕はプレイヤーとして映画に関わっていきたいです。
宮沢氷魚

制作側ではなくプレイヤーとして作品作りに関わっていきたいと語る宮沢さん

 

映画『レインマン』と『はざまに生きる、春』の共通点

――今回、屋内透を演じるにあたって参考にした映画などはありますか?

宮沢
:『レインマン』(1988)ですね。発達障害のある主人公(ダスティン・ホフマン)と弟(トム・クルーズ)の関係性が変化していくプロセスを描いた作品です。この映画を見て、人は障害のあるなし関係なく、ひとりでは生きていないんだと思いました。
 
『はざまに生きる、春』の透くんは春ちゃんと出会って、いい化学反応が生まれて、より豊かな時間を過ごせるようになります。やはり人間は、助け合いながらお互いを高め合ってこそ、素晴らしい毎日を過ごせるようになるのではないかと。『レインマン』を見て改めて「やっぱりそうだよね!」という、ひとつの正解を得たというか、確信を持てるようになりました。 ――宮沢さんは透のことを、透くんといつも敬称をつけるのですね。
 
宮沢
:葛監督が、ずっとそう呼んでいたんです。僕のことは「透くん」、桜子ちゃんのことは「春ちゃん」。それに慣れてしまって(笑)。でも自分でも屋内透は「透」でも「透さん」でもない。「透くん」が一番しっくりきます。

>次ページ:宮沢さんが考える俳優としての将来
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