お金の悩みを解決!マネープランクリニック/共働き夫婦・DINKS家庭のお金の悩み相談

39歳会社員、貯金950万円。夫の借金と奨学金を3年で完済して家計を改善してきました

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、夫の借金や奨学金の完済をし、貯金を増やしてきたという39歳の会社員女性です。住宅購入を考えているとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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これまでお金で苦労してきて、最近はようやく明るい兆しが見えてきました

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、夫の借金や奨学金の完済をし、貯金を増やしてきたという39歳の会社員女性です。住宅購入を考えているとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
お金で苦労してきましたが、明るい兆しが見えてきました

お金で苦労してきましたが、明るい兆しが見えてきました

■相談者
ねこさん
女性/会社員/39歳
東京都/借家

■家族構成
夫(36歳・契約社員)

■相談内容
結婚時、主人の借金400万円が発覚し、私の奨学金返済残高200万円と合わせて、負債が600万円ございました。3年で完済後、貯蓄に励み、ようやく1000万円目前となりました。

主人は、契約社員で2年後に正社員登用試験を受けるとのことです。正社員登用となれば、年収が50万円ほど上がる見込みです。

私は、派遣社員でしたが、現在の会社で契約社員となり、正社員登用が決まりました(収入は、正社員の収入を記載しております)。

年金の未納期間があり、受け取れる年金額が少ないです(追納できるものは追納いたしました)。また、退職金額も少ないため、老後が心配です。

結婚当初は、私の年収が現在よりも手取りで250万円ほど低く、生活を切り詰めて借金返済に充てていたため、保険に加入する余裕がなく、未加入のまま現在に至っております。

住宅購入を検討しておりますが、ペアローンは組みたくないため、2500万円上限を予算として中古物件を検討しております。ですが、住み替えなどを考えるともう少し予算を上げて利便性の高い物件の方がよいのか、それとも、賃貸のままの方がよいのか結論が出ません。

子どもは作る予定はございません。

上記を踏まえ、相談内容は下記のとおりとなります。
1. 住宅購入をしても問題ないか。
2. 死亡保険(保障内容1000万円)の加入を考えているが、保障内容は足りるのか。
3. 老後にいくら備えればよいのか。

これまでお金で苦労してきて、最近は、ようやく旅行や外食をしたり、明るい兆しが見えてまいりました。

ですが、2人とも非正規雇用期間が長く、低収入のため老後の不安が拭えず、今、お金を使ってよいのかという罪悪感もあります。主人は楽観的なので、お金が原因でけんかとなってしまうこともあり、とても悩んでおります。

深野先生のアドバイスを賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

■家計収支データ
相談者「ねこ」さんの家計収支データ

相談者「ねこ」さんの家計収支データ

■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
旅行・帰省費30万円
ふるさと納税8万円
美容院代年間10万円(夫6万円、私4万円)
耐久消費財20万円(今年はPCを買い換えました。何もなければそのまま貯金)
交際費5万円
脱毛費用10万円(夫が髭の医療脱毛をしたいと言っているため、今年、一括払いで契約予定)
車の維持費35万円(車税4万円、保険9万円、車検12万円、修理など10万円)
予備費10万円
残りは貯蓄

(2)貯蓄について
毎月の貯金については、給与口座に収入から生活費を差し引いた残高が貯まっている感じです。

(3)投資商品について
NISAによる積み立て毎月3万3333円
iDeCo毎月2万円

去年、私はNISAの積み立てとiDeCoを開始しました。夫を説得して、夫分も開始したいと考えております。

(4)家計収支について
繁忙期は残業代がプラス5万~10万円ほどつくので、それらは全て貯金に回ります。残業代はないものとして生活しています。

・高齢の犬がおり、餌代・毎月の治療費がかかるため、雑費に含めております。
・通信費について、インターネット通信費は家賃に含まれております。携帯通信費については、ポイント払いにしているため、現金払いは発生しません。夫婦2人で約2500円/月です。

(5)車について
所有台数は1台です。車両費の1万1000円は駐車場代です。

ガソリン代や外出時の駐車場代は、夫がへそくりから出してくれているため、車両費に含めておりません。その他にかかる大きな費用(車税・車検・保険・修理費用等)は月額計上には含めず、特別費として計上しているため、ボーナスより出しております。

来年、車の買い換えがあります。250万円一括購入を検討しております(主人は370万円の車が欲しいと言っておりますが、説得中です)。

・主人が自家用車を仕事で利用しているため、保険料が高めです。毎年、相見積もりをして、一番安いものを更新しています。
・車が古く、ここ数年は修理代が10万円ほど発生しています。今もカタカタいっているのですぐに買い換えたいですが、主人と意見が合わず、買い換えられていない状況です。

(6)働き方について
夫婦ともに定年は60歳。再雇用は65歳までとなっております。

私は、60歳で定年退職したいと考えております。会社に再雇用制度はありますが、周りに再雇用で働いている方がいないため、同じ会社で働くイメージは湧きません。夫は、できればアーリーリタイアして、どこか田舎へ引っ越したいとのこと。

夫は契約社員のため、退職金なし。正社員となった場合の退職金は不明です。

私の退職金は200万円程度+企業型DCが100万円程度です。私は現在、正社員になったばかりで等級が一番下なので、努力次第では収入を上げることが可能です。収入が上がれば、それに比例して退職金が増えます。

(7)公的年金について
ねんきん定期便の「これまでの加入実績に応じた年金額」は、夫49万4600円、私58万1200円と記載されています。

■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 生命保険は不要。2年後に住宅購入も可能
アドバイス2 60歳までに4000万円超の貯蓄。老後の心配も不要
アドバイス3 夫婦で共有できる目標を作ることも大事

アドバイス1 生命保険は不要。2年後に住宅購入も可能

多額の負債を3年で完済し、貯蓄も1000万円と、本当によく頑張りましたね。仕事も正社員になられ、家計も安定し、この調子でいけばまったく問題ありません。

夫婦2人の生活でそれぞれ収入がありますから、生命保険に加入する必要はなく、どうしても心配なら共済で十分でしょう。夫婦2人で保険料は4000円ほど。これで必要十分な保障が確保できます。

住宅購入がこれからの目標の1つになるのであれば、ご相談文に書かれているように、予算の上限を決めて、納得のいく住まいを探されるといいでしょう。

仮に2年後を目標とします。現在、毎月16万円の貯蓄と、ボーナスから8万円ほどの貯蓄ができれば、年間で200万円です。2年間で400万円。現在の貯蓄が944万円ありますから、合計1344万円です。ただし、この2年間のうちに、車の買い換えがあります。250万円一括購入を検討しているようなので残りは1094万円となります。

住宅購入では頭金500万円、諸費用を180万円と見込んで、住宅ローン2500万円、つまり物件価格の上限は3000万円です。ローンは25年返済(ご主人名義の場合は63歳で完済)、金利2.0%で計算すると、毎月の返済額は10万4100円になります。

マンションであれば、管理費、修繕積立金が別途、毎月かかります。2万5000円を見込むと、毎月の住居費は13万円となります。これは現在の住居費から4万6000円のアップということです。

マンション購入後は、毎月の貯蓄が16万円から11万4000円となり、年間で136万円ほどです。ボーナスは、現時点ではいろいろな使い道があるようですが、半分の70万円が貯蓄できるように、ご夫婦で話し合ってください。つまり、年間200万円の貯蓄がキープできるように、考えるといいでしょう。

ご主人名義で住宅ローンを借りるのであれば、審査が通りやすくなるように、2年後の正社員は必須だとご主人にお伝えください。

アドバイス2 60歳までに4000万円超の貯蓄。老後の心配も不要

マンション購入後も年間200万円の貯蓄が継続できれば、ご相談者が60歳になるまでの19年間で3800万円貯めることができます。マンション購入後に残った貯蓄400万円と退職金・企業型DC300万円と加えると4500万円。これが60歳時点での金融資産となります。

このとき、ご主人は57歳。現役で働いているはずですから、今と収入が変わらないとしても、安定収入がしばらくは続きます。ただし、ご相談者が60歳でリタイアしてしまうと、毎月の収支はマイナスになってしまいます。その差額を少しでも埋められるような働き方ができれば、60歳時点での金融資産の取り崩しは最小限で済みます。

60歳時点で考えればいいことですが、もしも貯蓄を取り崩さずに生活ができるようであれば、その時に、住宅ローンを一括で繰り上げ返済してしまってもいいかもしれません。おそらく残債は600万円ぐらいになっていると思いますので、一括繰り上げ返済しても、3900万円ほどは残せます。

65歳から年金生活になった時に、不足額を金融資産から取り崩していくことになりますが、それは今後の働き方、収入によって年金額が変わってきますので、実際、どの程度の不足になるかは、現時点で断定はできません。しかし、3900万円残っていれば、足りなくなることはないと思われます。そのために、今から、しっかりと先取りで貯蓄をし、年間200万円貯蓄を心がけていただきたいと思います。

アドバイス3 夫婦で共有できる目標を作ることも大事

最後に、2つアドバイスをいたします。住宅ローン控除が適用になれば、税の控除が受けられますので、ご主人は無理につみたてNISA、iDeCoに加入する必要はありません。現在ボーナスからふるさと納税をされていますが、いずれもご主人の住宅ローン控除の額次第です。ご相談者はいずれも所得税の減税効果がある金額まではOKです。

もう1つは、将来の住まい、生活について。ご主人は早期リタイアして、田舎暮らしを望んでいるとのことですが、現在の給料の2倍を得て、かつそれを15年間継続して全額貯蓄できれば見えてくるでしょう。自給自足の生活で、お金がかかることは一切しないと言うのでなければ、あまりにも現実離れしていると思います。妥協するなら、ご相談者のご実家をいずれ相続し、定年退職後に住むという考え方はあるでしょう。最低限のリフォーム費用は必要ですが、これなら無理のないプランかもしれません。

いずれにしても、ご相談者が手綱をしっかり握り、家計、貯蓄をコントロールし、ご主人にはできるだけ長く働いてもらうことができれば、まったく心配はいりません。マンション購入でもいいですし、定年後の生活イメージでもいいですから、夫婦2人で目標とすることを何か見つけられるといいですね。

相談者「ねこ」さんから寄せられた感想

深野先生に具体的なアドバイスをいただき、保険も老後も大丈夫とのことで、ひと安心いたしました。借金返済後、年々、支出が増加傾向にありましたので、いま一度、気を引き締め、年間最低でも200万円の貯金はキープいたします。60歳以降の働き方についてもぼんやりとしか考えていなかったので、とても参考になりました。主人にも先生のアドバイスを共有したところ、車の購入金額も現実的な金額を理解してもらえました。このたびは、このような貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございました。

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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子
 
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