他人の華々しい活躍が羨ましい……この感情を克服するには?
それは良い話だと感じるのと同時に、代わり映えがしない自分の状況にも落ち込み、正直、他人の職場、環境、転職が羨ましく感じることもあるかもしれない。
このような感情が芽生えたとき、どう向き合えばよいだろうか。ビジネスパーソンの人材育成、研修、コーチングを行なってきた人材コンサルタントが解説する。
まずは「羨ましい気持ち」を受け入れる
人のことを羨む自分が嫌になるという声もあるかもしれないが、実は人を羨む感情を否定すると、ますますその感情が強まってしまうことがある。まずは一旦、自分の気持ちを受け入れるところから始めることが大切だ。自分を責めたり、自己否定したりするのももちろんよくない。自分は能力がない、運が悪いというようなネガティブな感情ではなく、むしろこの機会に、自分のいいところを再評価してみてはどうだろうか。その際に重要なのは、自分自身がどのように成長し、進歩しているかを考えてみることである。他人と比較はしないほうがいいだろう。
その上で、自分の目標を再確認してみてはどうか。目標がはっきりしているとやる気が出るし、達成するまでの道筋が見えれば、行動計画に集中することができる。それにより、他人を羨ましいと思う感情を長く持続させずに、むしろ自分のできることや目標に思いをシフトしやすくなる。
自分自身に厳しくなりすぎていないか
他人のことを羨ましいと思うときは、自分自身に厳しくなりすぎていないか、自らを振り返ってみてもほしい。そして自分に対して優しい言葉をかけてみる。よく頑張った、お疲れさま、ご苦労さんなど、他人からかけられてうれしい言葉を、自分に対しても使ってみるといいだろう。日頃から他人に対してこのような言葉を多用している人は、他人からも同様の言葉をかけられることも多い。普段から他人をもっと労うことを考えてみると、自分が辛いときに行いも返ってくるだろう。言葉は、思いのほかパワーがあるため、試してみるとよい。
「自分の人生」に焦点を当てる
他人を羨ましいと思うときは、自分の人生に焦点が当たっていないことも多い。その結果、自分がすでに持っているものに対する感謝の気持ちを忘れてしまうことがある。例えば、就職や転職をしたばかりの人は、会社の歓迎会や研修があり、モチベーションが高まるような声がけもあるだろう。新しい仕事が始まるのだから、誰もが新人に期待をする。人から期待されるというのは、気持ちのいいものである。
一方、自分がそのような注目や期待を受けているとは思えないとき、他人を羨ましいと感じることがあるのではないだろうか。自分にはあまりパッとしない変わらぬ平凡な日常があり、仕事内容や職場の人間関係は良くもなければ悪くもない。こんなときこそ、現状に改めて有難みを感じてみよう。自分の周りへの感謝を見失っていることが、自分に対する自信を失わせる原因となる。自分に自信がなければ、他人との比較をしがちになり、悪循環にはまってしまう。
春や秋などの季節は他人の就職や転職、昇進がまぶしく見える時期である。他人のことを羨ましいと思ったことをきっかけに、自分自身に労いの言葉をかけ、現状を俯瞰して見えてきた周りへの感謝も意識的にしてみることで、自分の人生にもう一度焦点を当てなおし、自信を取り戻してみてはどうだろうか。