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何かと生活費がかさむ単身世帯。貯金を増やすためには?
おひとりさまは、家賃や水道光熱費などすべての支出を一人で賄わなければなりませんので、生活費が高くなってしまいがちです。しかし、自分が将来、病気や介護状態になったときに、頼れる人がいない場合、老後の備えも早いうちから始める必要があります。すでに貯金をしている方も多いと思いますが、おひとりさまであれば、毎年、結構な額の税金を納めている方も多いはず。節税もあわせて行い、手元に残るお金を増やしましょう。今回は、おひとりさま向けに、簡単に始められる節税対策を紹介します。
おひとりさまの節税対策1:扶養控除・老人扶養控除
扶養控除は、独身だと使えないと思いがちです。しかし、親や祖父母が扶養親族に該当すれば、独身の方でも使えます。また扶養控除を使うことで、税金を安くすることができますのでチェックしてみましょう。扶養控除に該当する扶養親族の範囲には、次の条件があります。
・6親等内の血族、3親等内の姻族である
・納税者と生計を一にしている
・年間の合計所得金額が48万円以下である。収入が給与だけであれば、103万円以下
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていない。または、白色申告者の事業専従者でない
「生計を一にしている」という条件には、同居・別居は関係しません。ただし、別居している親を扶養に入れる場合は、生活費や療養費などを仕送りしている場合が認められます。仕送りした履歴を残すようにしておくようにしましょう。
扶養控除の金額は、扶養親族の年齢や同居・別居などにより、次のような違いがあります。
・一般の控除対象扶養親族:38万円
・同居の老人扶養親族:58万円
・別居の老人扶養親族:48万円
特に、単身者の場合、高齢の親や祖父母を扶養に入れられないかを考えてみてください。たとえば、親や祖父母の年齢が69歳以下で所得金額が48万円以下であれば、扶養控除「38万円」が利用できます。
さらに、年齢が70歳以上であれば、老人扶養親族になり、同居であれば「58万円」、別居であれば「48万円」が控除できます。
その際、親や祖父母の収入は、公的年金等のみであれば158万円以下(所得金額は48万円以下)であることが条件です。
おひとりさまの節税対策2:地震保険控除
一人暮らしで賃貸暮らしの方も、火災保険とあわせて地震保険を検討する場合もあるでしょう。というのは、火災保険だけに入っていても、もし、地震による火災で家財が破損した場合、補償から外れてしまうからです。地震保険に加入した場合は、年間5万円を上限に地震保険料控除の利用できます。おひとりさまの節税対策3:iDeCo(個人型確定拠出年金)
節税効果が高く、老後も得になる節税としてはiDeCo(個人型確定拠出年金)がおすすめです。iDeCoは、自分の年金を自分で準備する制度で、毎月一定額をあらかじめ用意された積立・保険・投資信託などの金融商品で積立します。積立期間は原則60歳までで、60歳以降に、年金や一時金で受け取ります。なお、人によっては、65歳まで掛金を積立できます。
iDeCoには「掛金の拠出」「運用」「受取」のどの時点でも節税できるという特徴があります。今回は、拠出時の節税に的を絞って詳しい解説をします。
iDeCoの掛金の積立は、全額、所得金額から控除できます。納税者が40歳の場合、どのくらい所得税を節税できるのか、試算してみましょう。※復興特別所得税は考慮せず
●iDeCoを行ったときに安くなる所得税は以下の通りです
《課税所得金額(※)が195万~330万円で所得税率が10%の場合》
仮に40歳でiDeCoに加入して、掛金が月額1万円・2万円の場合の節税額
・月額1万円(年額12万円):1年あたりの節税額は「12万円×10%=1万2000円」
・40~60歳まで継続した場合:20年間での節税額は「1万2000円×20年=24万円」
・月額2万円(年額24万円):1年あたりの節税額は「24万円×10%=2万4000円」
・40~60歳まで継続した場合:20年間での節税額は「2万4000円×20年=48万円」
《課税所得金額(※)330万~695万円で所得税率が20%の場合》
仮に40歳でiDeCoに加入して、掛金が月額1万円・2万円の場合の節税額
・月額1万円(年額12万円):1年あたりの節税額は「12万円×20%=2万4000円」
・40~60歳まで継続した場合:20年間での節税額は「2万4000円×20年=48万円」
・月額2万円(年額24万円):1年あたりの節税額は「24万円×20%=4万8000円」
・40~60歳まで継続した場合:20年間での節税額は「4万8000円×20年=96万円」
※会社員や公務員など給与収入の方の課税所得の計算方法は、次のとおりです。
【1】給与収入-年収に応じた給与所得控除額=所得
【2】所得-15種類の所得控除=課税所得金額
節税効果は、課税所得や毎月の掛金額によって変わります。上記の例は、所得税だけの計算ですが、同じく住民税も軽減されます。
たとえば、課税所得金額が195万~330万円の人であれば、所得税率は10%、住民税も10%と考えれば、合計で約20%を納税することになります。
しかし、iDeCoを活用すれば、拠出した掛金の約20%が、翌年の税金から差し引かれ、その状態が60歳まで継続します。
もし、毎月1万~2万円ずつ定期積立をしても、ほとんど金利が付かず、税金も戻ってきません。単純に比較しても、iDeCoの利回りはお得といえます。
おひとりさまの節税対策4:ふるさと納税
ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行い、寄附額のうち2000円を超える部分が、所得税と住民税から控除される制度です。たとえば、年収500万円の独身者が、年間6万1000円の上限範囲で、ふるさと納税を行うと、2000円を超える部分である「6万1000円-2000円=5万9000円」が所得税と住民税から控除されます。
所得税や住民税が少なくなるといっても自治体に寄附するため、実際は税金が寄附金に変化しただけですが、返礼品がもらえるのでお得です。
返戻品は、特産品、日用品、旅行券、家電など、幅広くどれも魅力的ですが、節約を軸にすると、コスメやトイレットペーパーなどの日常生活で必ず使うもの、お米や調味料など日持ちのするものを選ぶとよいでしょう。