税金

72歳、女性、遺族年金受給者。ドル札を円に交換すると41万円の為替差益がでそう。確定申告は必要?

お金のこと、難しいですよね。老後の不安から、ますますお金を貯めたい、家計を守りたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。皆さんからのちょっとした疑問にオールアバウトの専門家が回答するコーナーです。今回は、為替差益がでた場合の確定申告についてです。専門家に質問したい人は、コメント欄に書き込みをお願いします。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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お金のこと、難しいですよね。老後の不安から、ますますお金を貯めたい、家計を守りたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。皆さんからのちょっとした疑問にオールアバウトの専門家が回答するコーナーです。今回は、為替差益がでた場合の確定申告についてです。専門家に質問したい人は、コメント欄に書き込みをお願いします。
 

Q:遺族年金を受け取っている寡婦です。ドル札を円に交換すると為替差益は約41万ほどになりそう。確定申告は必要ですか?

「72歳女性、遺族年金受給者です。2011年にドル札8000ドル数回に分けて購入しました。円安のため為替差益が出る状態になったのでドル札を円に交換することを検討しており、為替差益は約41万ほどになりそうです。この場合、来年2024年には、確定申告は必要になりますか?ネットで調べても差益が20万以上なら必要と書いてたり主婦や学生など所得のない人は48万以下は確定申告不要と書いてました。住んでいる市には毎年2月に市民税・県民税申告書に公的年金等は0と申告してます。寡婦控除と基礎控除合わせて69万円の控除となってます。もし差益を得た場合はどうすればいいですか?」(りんごさん)
為替差益が出たら確定申告は必要?

為替差益が出たら確定申告は必要?

 

A:受け取っている公的年金が遺族年金のみであれば、確定申告の必要はありません

質問者「りんごさん」の文面によると収入については、遺族年金と為替差益が41万円ほど発生しそうということがわかっています。そもそも遺族年金については所得税法上、「非課税所得」になるので確定申告をする必要がありません。

一方、ドルを円に交換したときの為替差益は「雑所得」に区分されるので、こちらについては確定申告が必要かどうかを検討していくことになるでしょう。

質問者「りんごさん」の文面によるとそれ以外の前提条件は記載がないので、為替差益以外に所得がないと仮定すると、以下のように計算します。

0円(遺族年金はそもそも非課税)+41万円(質問文の内容から、為替差益の雑所得の金額)

所得金額の合計は41万円となります。ここから所得税の基礎控除として48万円を差し引くことができるので確定申告の必要はありません。

ただし、確定申告が必要ないのは、「りんごさん」がもらっている公的年金が遺族年金のみの場合です。「公的年金等に係る雑所得」以外の所得金額が20万円を超える場合には確定申告の必要、という決まりがあるので、もし「りんごさん」が遺族年金のほかに400万円以下の公的年金等を受け取り、かつ、為替差益で得た所得が41万円ということであれば、確定申告が必要ということになるでしょう。
 

もし遺族年金以外にも、公的年金収入があり、確定申告が必要である場合は、寡婦控除の記載を忘れないようにしましょう

なお確定申告が必要、と判断された場合、確定申告時に、きちんと寡婦控除も適用できる旨も記載しておくことをおすすめします。

というのも、確定申告した内容は、住民税を課される際にも、適用されます。住民税については所得割と均等割というものがありますが、東京都の場合、所得割・均等割とも非課税となるための要件に以下のような決まりがあります。

・障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下の人
 
寡婦の場合は、前年中の合計所得金額が135万円以下であれば、住民税が非課税となります。

質問者「りんごさん」の場合、以下の計算式のように「公的年金等に係る雑所得」の金額が94万円以下であれば、住民税における所得割・均等割ともに非課税となります。

135万円(合計所得金額)―41万円(為替差益による雑所得の金額)=94万円(公的年金等に係る雑所得)

さらに「公的年金等に係る雑所得」の金額からは、受給者の年齢が65歳以上の場合、最低でも公的年金等控除額として110万円差し引けるので、「公的年金等に係る雑所得」が204万円以下であれば、住民税は非課税となるのです。
 

まとめ

結論としては、質問者「りんごさん」の収入が、質問の文面にある「遺族年金」「為替差益」だけであれば、確定申告は不要となります。もし遺族年金以外に「公的年金等に係る雑所得」があるのであれば、確定申告が必要になりますが、公的年金等控除額や寡婦控除の適用を受けることにより、所得税・住民税とも非課税となる可能性が高い、と考えます。

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