定年・退職のお金

おひとりさまの介護離職に潜むリスクと、親が元気なうちにできる3つの準備

元気そうにしている親も、高齢となれば、認知症が始まったり、転倒がモトで骨折したりすることがあります。親の介護のために同居している子どもが仕事を辞めることになる可能性もあります。今回は、おひとりさまの介護離職に伴うリスクと、介護離職しないための事前準備について紹介します。

舟本 美子

執筆者:舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド

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日ごろ、元気そうにしている親も、高齢になれば、認知症が始まったり、転倒がモトで骨折したりすることがあります。実際、「急に介護が必要になった……」という話は珍しいものではありません。

そのような状態は、特におひとりさまの子どもともなれば、会社を辞めて介護をすることになるなど、大きな負担になる可能性が高いのではないでしょうか。今回は、おひとりさまの介護離職に伴うリスクと、介護離職しないための事前準備について紹介します。
介護離職に潜む3つのリスクとは?

介護離職に潜む3つのリスクとは?

介護離職に潜む3つのリスク

突然、親を介護することになると「体力的に難しい」「仕事の責任を果たせない」などの悩みを抱えることがあります。

誰にも相談できず、仕事を辞めてしまう、つまり介護離職をしてしまうケースは少なくありません。ただ、介護離職には、次のようなリスクが潜んでいます。

●介護離職に潜むリスク1:定期収入がなくなり、生涯得られるはずの収入が減る
会社を辞めれば、定期的な収入が断たれてしまいます。

また、自己都合退社であれば受け取る退職金も少なくなってしまうかもしれません。さらに、会社を辞めれば厚生年金を外れるため、将来の受け取るはずの年金が目減りしてしまいます。

●介護離職に潜むリスク2:今まで築いたキャリアが途絶え、再就職が難しくなる
40~50代となれば、今までの経験により、管理職を任されているかもしれません。介護離職してしまうと、今まで築いたキャリアが途絶えてしまうことになるでしょう。

さらに、介護でしばらくブランク状態になれば、前職に戻ることも難しく、新たな仕事を見つけなくてはなりません。しかし、未経験であれば、40歳後半~50歳という年齢がネックとなり、再就職先が限られたものになってしまいます。

●介護離職に潜むリスク3:社会から孤立することでの介護うつになる可能性
親の介護が生活の軸になると、関わりを持つ人が限定的になってしまいます。日々の気分転換がうまくできなかったり、介護疲れなどがあったりすれば、社会から孤立してしまい、介護うつになってしまうかもしれません。

体調を崩しがちになれば、親の介護が終わっても、再就職に向かって行動ができなくなってしまいます。

親を見送った後、子どものおひとりさまにも、間近に迫る老後があるなかで、介護離職は収入面に大きな影を落とします。

おひとりさまが、親の突然の介護に困らないための準備

親が高齢ともなれば、介護が必要になる可能性が高まります。突然のことに困らないよう、親が元気なうちから、できる準備を3つ紹介します。

親が元気なうちにできる準備1:介護にかかるお金を知っておく
介護にかかる費用がどのくらいかかるのかはぜひ知っておきましょう。

生命保険文化センターが行った『生命保険に関する全国実態調査/2021(令和3)年度』によると、住宅改造や介護用ベッドの購入費など、介護初期に一時的にかかる費用の合計が平均74万円。月々の費用が平均8.3万円です。

さらに、介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)は、平均5年1カ月(61カ月)となり、全体のうち、約5割が4年を超えての介護となっています。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html

●親が元気なうちにできる準備2:介護制度について予備知識を持っておく
「親に介護が必要になったら、介護保険を利用する」ということは、大概の方は分かっています。しかし、介護保険とはどんな制度で、どんなことができるのかなど、その制度について事前に理解している人は多くいません。

親に介護が必要になったとき、介護サービスの相談相手であるケアマネジャーと接触を持つことになります。ケアマネジャーは、介護サービス関係の専門用語を噛み砕いて話す方もいれば、そうでない方もいます。

もし、専門用語そのままで話す方が担当になっても「もっとわかりやすく説明してください」と言えばよいですが、初めての介護に混乱していれば、うまく伝えられずストレスを溜めてしまうかもしれません。

そうならないためにも、介護保険制度の予備知識を入れておきましょう。さらに、親が住んでいる自治体の情報も得ておくと安心です。

たとえば、各自治体のホームページに掲載されている介護保険制度の情報に、一通り目を通すだけでも、まとまった情報が得られます。急な介護が必要になっても、どこに連絡・相談するのか、どんな準備が必要かなどをイメージすることができます。
 
●親が元気なうちにできる準備3:親に介護が必要になったときの意向の確認
親に介護が必要になったとき、親がどんな介護を望んでいるのか事前に確認しておくことも大切です。

介護は在宅・施設のどちらが希望なのか、介護のお金はどのくらい準備できているのかなどを確認しておきましょう。

もし、親の希望が施設介護でも、入居費や月々の利用費の安い公共施設は、入居者が一杯でスグに入れない可能性が高いです。

その間、在宅介護をするのであれば、どのくらいの介護サービスを受ければ、子どもが介護離職をせずに介護を両立できるのか、その際、自己負担はどのくらいなのか。さらに、親が準備できている介護資金がどの程度で、毎月の年金でどのくらい負担できるかなど、話し合いをしておくことをおすすめします。

親に介護が必要になったときの意向を確認しておけば、そぐわないことを理由に抵抗され、子どもが振り回されるストレスを避けることができます。
 
■まとめ
突発的な介護は、慣れないコト、先行きの不安などが押し寄せ、感情が乱れるものです。事前に準備を行い、気持ちに余裕があれば、冷静に介護に向かうことができ、介護離職というリスクを冒すことはないでしょう。
 
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