老後の所得確保は公的年金を基本に私的年金も
「自分が何歳まで生きるか」、それは誰にもわかりません。将来は不確実なことばかり。でも、そのわからない将来について、その時々の経済状況や生活水準に応じた年金額を一生涯支給してくれるのが公的年金です。老後の期間が延びる中、現役時代に保険料をきちんと払っていれば、将来は、公的年金からずっと年金が支払われます。これは公的年金が社会保障制度のひとつであり、長生きリスクに備えているからです。公的年金は保険料を積み立てていくものではありません。
公的年金は、社会的扶養とも呼ばれる社会全体の支え合いの仕組みであり、社会保険という名のとおり、「保険」です。高齢になって働けなくなった時だけでなく、死亡時や障害状態になった時など万一の時の給付も行います。
日本の年金制度は、3階建ての構造になっています。老後の所得確保を考えた時、1・2階部分の公的年金は老後の生活費の基本であり土台となっています。3階部分の私的年金は企業年金・個人年金であり、人それぞれの老後生活の多様な希望やニーズに対応する役割があるといえます。
3階部分の私的年金は、企業や個人が掛金を払い(拠出し)、積み立てていく制度です。
企業年金は、企業が福利厚生の一環として導入(掛金拠出)するものであるため、全ての企業にあるとは限りません。会社員等であれば、自分の会社に企業年金があるのかどうか、ある場合はどういう制度が導入されているのか、自分が対象になっているのかなどを確認する必要があるでしょう。
そのうえで、任意に個人で掛金を拠出していく個人年金に加入するか、加入する場合は、どのようなものに加入するのか、掛金額や加入時期などを検討するとよいでしょう。
企業型DC・iDeCo改正~加入要件の緩和でより多くの人がiDeCoに加入できる!
2022年の10月から、私的年金のひとつであるiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入要件が緩和され、さらに多くの方が加入しやすくなりました。それまでは、会社員等で企業型DC(企業型確定拠出年金)の加入者は、企業が作成する規約で認められなければiDeCoに加入できず、ほとんどの人が加入できない状態でした。それが改正により、規約の定めがなくても企業型DCの加入者が、原則iDeCoにも加入できるようになりました。また、それまでは必須だった事業主掛金の上限の引下げがなくても、iDeCoに原則加入できるようになりました。
企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金額(拠出限度額)は、それぞれ図表のとおりになります。 なお、企業型DCで、加入者も掛金を拠出する制度(マッチング拠出)を選択している場合や、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金が各月の拠出限度額を超える場合は、iDeCoには加入できません。
改正事項については、以下のホームページ等でご確認ください。
2020年の制度改正|厚生労働省
それぞれ描く自分の理想の老後。なるべく早めに計画を立て、備えていくようにしましょう。そのためには、公的年金と私的年金(企業年金・個人年金)の違いをしっかりと確認したうえで、長期的に考えていけるよう改正情報などもしっかり把握し、活用していくようにするとよいでしょう。