職場でのNG声掛け5選……「最近どう?」「大丈夫?」
ざっくりとし過ぎた質問で相手を困らせてしまっているかも……?
SOSを出しやすくするつもりの「大丈夫?」
ちょっと困ったことがあっても抱え込んでしまう。そんな後輩や部下を気遣って「大丈夫?」と聞いていませんか?言い出しにくいことを言ってもらおう。そんな気持ちで声をかけているかもしれませんが、「大丈夫?」という問いかけは、反射的な「大丈夫です」を引き出してしまう言葉です。
例として、道で滑って転倒した人を思い浮かべてみましょう。痛みがひどく動けないようでしたら「大丈夫ですか?」という問いかけは有効です。「救急車を呼んでください」といった回答が返ってくるかもしれません。
しかし、ちょっとした打ち身のような痛みの場合、私たちは恥ずかしさや迷惑をかけたくないという気持ちから「大丈夫です」と反射的に答えがちなのです。起き上がるのに手を貸してほしいといった状況でも、「大丈夫ですか?」というフレーズはとっさに「大丈夫です」と言わせてしまいやすいことを知っておきましょう。
言い換えのおすすめは、「何か手伝えることが見つかったときは教えてね」です。ポイントは、「何か手伝えることはある?」といった即答をせまるフレーズを使わないこと。その場で答えさせるようなフレーズだと反射的に「特にありません」といった答えを引き出してしまいがち。その場を離れ、あとで思いついたときに気軽にSOSを出せるような声掛けをしておきましょう。
NGフレーズとその言い換え(1)
×「大丈夫?」
〇「何か手伝えることが見つかったときは教えてね」
会話を促したつもりの「最近どう?」
部下や後輩に近況を自由に話してほしい。雑談をして関係を良くしたい。そんなときに「最近どう?」と聞いていませんか?「最近どう?」では、何を聞きたいのかが曖昧過ぎます。気の利く相手なら、とっさに話してもさしさわりのないことを話題にしてくれるかもしれません。しかし、このようなざっくりした聞き方は、どう答えていいか戸惑わせてしまうフレーズだと思っておいたほうがよいでしょう。
部下や後輩には遠慮がありますので、ざっくり話題を振っても、自分のことを話すのには抵抗があります。どんな話題を求められているか、迷ってしまう人もいるでしょう。対策としては、まずはYESかNOでも答えられる質問をするという方法があります。遠慮をしていても、これなら回答がしやすいのです。
NGフレーズとその言い換え(2)
×「最近どう?」
〇「先週のプレゼンは上手くいった?」
答えやすい質問を2~3して、相手が会話に慣れたら、自分の話をしてもらう質問に切り替えましょう。私たちの脳は質問をすると良くも悪くも答えを探してくれます。「なにか不満はない?」といった質問をしてしまうと、わざわざ不満なことを探してしまうこともあります。雑談であれば、なるべくポジティブなことを探せる質問を心がけましょう。自分の話をしてもらう質問でおすすめなのは、「最近あったいいことを教えて」というフレーズです。
NGフレーズとその言い換え(3)
×「なにか不満はない?」
〇「最近あったいいことを教えて」
仕事でのトラブルを事前に防ぎたいという目的で、悩みや心配ごとも聞いておきたい場合でも、「不安なことはない?」といった聞き方はなるべく避けた方がいいでしょう。反射的に「大丈夫です」と答えやすい質問ですし、無意識のうちに不安なことに注目させてしまうリスクがあるからです。
おすすめのフレーズは「なにか改善したいと思うことはある?」です。悩みや心配事がある場合でも「改善」という切り口から考えてもらうことで、ネガティブ思考にさせてしまうリスクを減らせます。
NGフレーズとその言い換え(4)
×「不安なことはない?」
〇「なにか改善したいと思うことはある?」
理解を確認するつもりの「分からないところある?」
部下や後輩に何かを説明したとき、最後に「分からないところある?」と訊いていませんか? 「特にありません」と言われて、説明を理解したと安心してしまう人は、自分の説明下手に気がついていない可能性があります。新しいことを説明されただけでは「分からないところ」に気づけないということもあります。理解しているから質問がないのではなく、理解が曖昧な部分に気づけないので質問できないということも頭に入れておきましょう。
理解を確認するおすすめのフレーズは「一度、1人でやってみて」です。実際にやってみてもらうことで、どこまで理解していて、どこが曖昧なのかを確認することができます。
NGフレーズとその言い換え(5)
×「分からないところある?」
〇「一度、1人でやってみて」
口頭で説明されただけではピンとこなかったところも、やってみることで理解が進みます。これによって質問すべきところを明確にすることができるのです。
絶対にやってはいけないのが「質問がない」イコール「理解した」と思い込んで、再現できなかった部下や後輩を叱ることです。自分の説明下手に気づかず、失敗したのは能力がないせいと決めつけてしまうと、部下は自信も意欲もなくしてしまいます。
「最近の若者はコミュニケーションが……」と決めつける前に
「最近の若者は職場コミュニケーションがとれない」と嘆く人もいますが、もしかするとそれは、上司や先輩の「声掛け」が悪いのかもしれません。「これだから若いやつは」と決めつける前に、質問の仕方を変えて話しやすい状況を作ってみませんか。コミュニケーションには相互作用がありますので、こちらの声掛けが変われば、相手のリアクションも変わります。ぜひ意識してやってみてください。
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