『湯道』に出演、濱田岳さんにインタビュー!
映画『湯道』は小山薫堂さんが2015年に立ち上げた「湯道」という日本の入浴文化がベース。銭湯を営む家族を描いた心がポカポカするお風呂と家族の物語です。濱田岳さんは、親の残した「まるきん温泉」を愛し、銭湯の仕事に懸命な悟朗を演じています。その濱田さんに、役について、史朗役・生田斗真さんとの共演について、そして俳優の仕事についてお話を伺いました。
柔道、剣道、茶道、華道……湯道?
――茶道、華道のように「湯道」があるという小山薫堂さんの掲げる新たな「道」が映画になった本作ですが、『湯道』の脚本を読んだ時、どのような感想を持たれましたか?濱田岳さん(以下、濱田):最初にお話をいただいた時、小山薫堂さんの「湯道」への本気具合に驚きました(笑)。僕たちにとって、お風呂に入ることは日常の一部ですし、銭湯や温泉も珍しいものではないじゃないですか。
でも、湯に「道」をつけることでハッとさせられる部分がある。柔道、剣道、茶道、華道などは、心技体を整えて行いますが、湯も同じように心技体と整える「道」かもしれない……なんてことも考えました。
この映画の核となっているのは「まるきん温泉」を取り巻く人間模様です。湯を極めるという背景がありつつ、人情がこの映画のベース。そこを大切にしている脚本だと思いました。 ――濱田さんが演じる悟朗は、親から受け継いだ「まるきん温泉」を守っていく次男。自由に生きている兄・史朗との関係性が少々複雑なキャラクターですが、どう考えて演じましたか?
濱田:「まるきん温泉」を自分が継がなくちゃいけなくなった悟朗は、好き放題している兄に対してクサクサした思いを抱いています。でも悟朗は銭湯の仕事が好きだし、イヤイヤ継いだわけではないと思うんです。商店街の人たちは楽しそうに「まるきん温泉」に来てくれるし「みんなのためにいいお湯を沸かしたい」と一生懸命。基本的に人好きな男だと思っています。
――悟朗は、お湯を愛でるように湯加減を確かめますよね。
濱田:温泉が出ているわけではなく、沸かし湯なので、特別な肌触りがあるわけじゃないけれど、お湯に手を入れるのは、“心をお湯に通わせる”という店主としてのお客さんへの心配りだと思います。「まるきん温泉」の湯は「ただ水を沸かしたものじゃないぞ!」という彼の心意気でもあるのかなとも思いました。
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