帰省したくない? 正月をこなし、帰省する理由とは
お正月の帰省に「もやもや」するのはなぜだろう?
「今年も、お正月がやってきます……。正直言って毎年の帰省が本当につらいです。夫の実家で召使いのように家事に使われる悪夢の行事です。
それでなくても12月末は仕事がかさんで毎年疲れ切っているのに、長距離の移動。ぐったりしたまま手伝わされる、正月準備。
子どもが体調を崩さないかも、ヒヤヒヤし通し。
自宅に帰ってきた途端、しんどすぎて寝込んで、そのまま毎年仕事始めで、自分の家の中の家事は行き届かずぐちゃぐちゃです。
私、この帰省をいつまで続けなければならないんでしょうか」
「お正月をこなす」ということ
正月が間近にせまる頃ぽつぽつ呟かれる本音。こういうの、まるで他人事には思えない人も少なくないのでは。存外あるあるのぼやきなのでは。「えー、そんなの、帰省なんかしなきゃいいだけのことじゃない!?」
スパーン! 一刀両断。いや確かに、その通り。そうなんですけど、
- そんなにつらいのに、なぜ帰省するの?
- 帰省しないわけにいかないのはなぜ?
- 何よりも最優先すべきことは、なに?
うちらが帰省する理由
つらい身体に、鞭打ってまで帰省をし続ける理由はそれぞれいろいろあると思います。まず純粋に親孝行として。一年の大事な節目を一緒に過ごすことで、離れて暮らす親の寂しさに寄り添い、老いた身体では行き届かない家の不具合を修繕したり、大きな家事を手伝ったりということを、心から「帰省して、してあげたい」と思われている方もたくさんいると思います。
ただ、人にはそれぞれに親がいるので、夫婦の片方の親孝行がなされているときに、片方の親孝行がお留守になってしまう側面が避けがたくあり、えもいわれぬ「もやもや」を積もらせる方もいることでしょう。
一方さして思い入れはないものの、一応「やるべきこと」として自動的に年中行事に組み込んでいるケースもあるでしょう。あるいはこちらは気が進まないけれど「今年”も”帰ってくるのよね?」と規定事項のように親側に言われ、仕方なく……ということもあるかもしれません。
むしろ積極的に「帰らない」理由がない以上は帰らないわけにはいかない、というのがあえていうなら「帰省する理由」ということになるのでしょうか。
そういう、行動の軸が自分ではないところにある動きはおしなべて苦痛なものです。踊りたくないダンスを無理やり踊らされているようなものだからです。
うちらが帰省しないわけにはいかない理由というもの
実は筆者自身には全くそういう考えがないので、以下いささか推測になってしまう点、申し訳ありません。
もしも、「帰省しない、ということができない理由」に、他人(義実家・親戚)からどう見えるか、どう思われるか、どう評価されるか、というのが「怖い」という感情が大きいのなら?
他人からの評価が気になり、良い人、良い嫁だと「思われたい」という理由が軸になっているなら?
そのつらい帰省はいつまでも続けなければならないでしょう。いつまでもです。
たとえ義両親が亡くなったとしても。その後も、空き家になった実家で年を越すのでしょう。
すでにそういうことになっている方も、筆者より上の世代の方には存外多くいるからです。
真面目で優しくて几帳面な方たち。
そしてその「いつまでも」が途切れるのは、おそらく帰省を頑張り続けた、ご自身が身体を壊した時です。
自分以上に優先すべきものがあるのでしょうか
寒い季節は、体調も不安定になりがちです
「憎まされてきた」という言葉が強すぎるなら「忌避すべきものだと、しつけられてきた」。
「自分勝手」「わがまま」「御身大切」を是と言える人は、「変人」カテゴリではないですか?
「私が疲れるから、年末年始の帰省はしたくない」
多分、言ってしまえばそれだけのことなのです。
でもそんなことは、自分勝手でわがままな言い草に聞こえるのだと思います。
優しい方ならそうも考えます。であれば、実の子どもの側だけが単身で帰ればいい、というのも一つの答えです。「義両親は寂しがるだろうな」
お年玉が欲しい子ども(孫)たちも一緒についていっていいでしょう。
とはいえ、名実ともに「子ども」であれば親の決定には逆らえないので、どんなに体調が悪くても連れまわされてしまうものです。
親孝行と親不孝は表裏一体?
じつは筆者自身、40数年前(子ども時代)、親の帰省先で発熱、往診の医者にお尻に注射を打たれて正月三が日を寝込んで過ごしたことがあります。別の年には体調が怪しい状態で帰省し、帰省先もろとも今でいうノロウイルスで全滅した(持ち込んだのは、やはり私)ことも……。
親(じじばば)孝行と親(じじばば)不孝とはかくも表裏一体なのかもしれません。
「義実家のおせち料理を手伝わされる」など、自分の実家との勝手の違いがストレスになることも多々あるかもしれませんが、まあ一種の異文化体験。外国や違う星の文化や習俗だと思えば楽しんだり割り切れる面もあるかもしれません。でも、それはやっぱり体力気力ともに十分あること、余裕があることが前提ではないでしょうか。
「若い衆」ではない子育て世代だから
晩婚晩産化の進む世の中です。一家の「子ども世代」とはいえ実質中年だったりして、ぜんぜん「若い衆」ではなかったりします。そのうえ年末28日まで、夫婦ともぎっちり仕事に追われていたという共働きの生活背景では、冬休みに入った瞬間にすでにヨレヨレです。
さらに手のかかる年代の子育てもしているような、くたびれきった人たちが、寒くて体調も崩しがちな状況で、ことさらに混んだ道や電車での長距離移動を要する「帰省」をするというのは、実質的に無理という判断でも、今時おかしくない。
筆者はそう考えるのですが、いかがでしょうか。
何をおいても自分の健康が全ての物種です。最優先させるべきもそこにあるのではないでしょうか。
親世代の考えや価値観は覆せないかもしれない。あなたへの評価は下がるかもしれない。
でも、あなたがコントロールできるのは唯一、あなた自身。その身体、行動だけなのです。
「行動の軸」を自分自身に置く勇気を、今こそ育ててみませんか。
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