中学受験

どうして”中学受験なんか”するの!?子どものやらされ感「被害者意識」をグッと減らす親の関わりの秘訣

中学受験の勉強のタイムマネジメントは親の役目です。勉強のやらされ感「被害者意識」がグッと減る、子どもへの関わり方の秘訣を事例を取り上げてアドバイスします。

宮本 毅

執筆者:宮本 毅

学習・受験ガイド

最近は通塾の低年齢化も進んでいますが、一般的に小学3年生の2月から始まる中学受験の塾通い。まだ小学校低学年なのに限られた時間のなかで膨大なタスクをこなさなければいけない。でもなかなか効率的に勉強が進まない……。

そんな保護者のお悩みはいつの時代にも共通してあるようです。過密なスケジュールをこなさねばいけない中学受験について、タスクの処理がうまくいかない小学3年生の事例を取り上げてアドバイスします。
 

事例:既習済みの学校の宿題ですら「自宅学習」がはかどりません……

妹と遊びはじめて、なかなか勉強が進まない

妹と遊びはじめて、なかなか勉強が進まない

■相談者:女性・35歳・東京都  
■家族構成:夫(37歳)・本人(35歳)・長女9歳(小3)・次女6歳(小1)

■相談内容:
帰国子女のため英語の「取り出し授業」がある学校に興味を持ち、中学受験をすることに。通塾は小3になってからと少し早めにスタートしました。

中学受験はとにかく勉強量が多く、放課後の時間も限られているため、親としては何事も効率よく進めてもらいたいところ。しかし下校するとまずおやつ、そして妹と遊び始め、学校の宿題すらなかなか手をつけません。ようやく勉強を始めたかと思っても、また妹と話したり、学校であった出来事をたくさん報告してきてくれたり……。親子のコミュニケーションのため話もなるべく聞いてあげたいのですが、学校の宿題が終わらなければ、受験勉強も始められません。

こんな感じで集中力がないため下校してから宿題が終わるまでに数時間かかることも。学校の宿題は既習済みのもので、漢字4文字・計算ドリル1ページ程度と特別多いとは思いません。話は後で聞くから、集中してさっさと終わらせなさい!と一喝しようも、効果なし。「早く勉強しなさい!」と繰り返し言ったところで、親子関係が険悪になるだけです。 
 

できなくて当たり前と“割り切る”ことが大切

大学受験なら18歳にもなって自己管理ができないなんて精神的に幼すぎる、と子どもを責めることもできましょう。しかし中学受験生のコアゾーンは9歳から12歳。勉強のスケジュールを自己管理したり自分を律してマンガやゲームを我慢するなど、高度なことを要求するなんてとてもできない年頃です。

小学生にして自己管理が完璧にできる子がいたら、その子は成績優秀で親がやきもきしたり叱ったりするようなことはないはずです。偏差値70以上の生徒の割合は受験者全体の2.28%です。つまりそんな奇特な子は100人に2~3人くらいといえるでしょう。ですから親御さんはまず、子どもは自己管理なんてできなくて当たり前という視点をもつことが大切です。

赤ちゃんは一人でトイレに行ったり、ご飯を食べたりできませんよね。だから親も「できなくて当たり前」と期待せず、ご飯を食べさせたりオムツを取り替えたりするわけです。中学受験もこれと同様です。できなくて当たり前と思っていることには、イライラしたりしないはずです。

「まだ10歳、11歳の子が自己管理なんてできるはずがない。だから中学校に上がるまでは親が面倒を見るしかないんだ」と割り切ってしまえば、できていなくてもそんなに腹は立たないはず。まずは“割り切る”ことが大切です。
 

子ども自身も決定に参加させて「コミットメント効果」を

では、その上でどうやって受験勉強のスケジュール管理をすればいいのか。それには1週間分のタイムテーブルをざっくり決めて、それにしたがって時間管理をおこなう(おこなわせてみる)のが有効だと思います。例えば、月曜日の17~18時は計算練習、18時半~19時半は夕食、19時半~20時半は算数、火曜日は……といった具合です。

そしてこのスケジュールを立てるときに大事なのは、親が一人で勝手に組み立てるのではなく、親子会議を開いて子どもにも意見を言わせて、ある程度自分で決めさせることです。

これを心理学の分野では「コミットメント効果」といいます。CMでもおなじみの「結果にコミットする」というあれですね。自分でコミットしたことに人は縛られやすいため、子ども自身が決定したスケジュールであれば、したがいやすくなるというわけです。
 

同じ時間を共有することで「被害者意識」を減らす

もうひとつ大切なこととしては、子どもが勉強をしている間は、家族も資格の勉強など何かタスクをこなすということです。受験勉強しているそばでパパがテレビを見ていたり、兄弟がゲームをしていれば、本人のやる気はだだ下がりになり、集中力もごっそりもっていかれるでしょう。

家族みんなが同じような時間を共有することで一体感が生まれ、「私ばっかり勉強をやらされている」「どうして中学受験なんかするの?」といった「被害者意識」もグッと軽減できます。親が横にくっついて勉強をずっと見続ける必要はありません。「同じ時間を共有する」ことが大切だということです。子どもは親を手本にします。

小学生のうちは受験勉強のタイムマネジメントは親の役目です。丸投げしてもできるようにはなりませんが、以上のようなポイントを意識して手助けしてあげていけば、そのうち自分でできるようになって手がかからなくなる日がくるはずです。そしてそれは最初に手を入れれば入れるほど、後がずっと楽になります。何事も最初が肝心です。


【参考情報】
偏差値とは何?偏差値の意味と求め方・計算方法をわかりやすく解説!(栄光ゼミナール)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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