『天間荘の三姉妹』に出演、のんさんにインタビュー
のんさん主演の最新作『天間荘の三姉妹』は、天界と地上の間にある“三ツ瀬”という場所にある「天間荘」という老舗旅館が舞台です。若女将ののぞみ(大島優子)とイルカのトレーナーをしている妹のかなえ(門脇麦)、大女将である恵子(寺島しのぶ)の元に、謎の女性イズコ(柴咲コウ)に連れられてやってきたのが、たまえ(のん)。たまえは、のぞみたちの腹違いの妹でした。彼女は天間荘で働きながら、自らの生死に関わる選択をする……という物語です。のんさんに『天間荘の三姉妹』の役作り、撮影の裏話から、俳優活動&さまざまなアーティスト活動についてもお話を伺いました。
女優のんを支える「役作りノート」
――『天間荘の三姉妹』について、出演オファーがあったときのことを教えてください。のんさん(以下、のん):映画『この世界の片隅に』で一緒にお仕事をしたプロデューサーの方から、「これを映画化するんだ」と原作を渡されたのが最初です。読んでみたらとても良かったんです。
この作品の鍵になっているのは東日本大震災に遭われた人たちです。これまで、震災で大切な人を失った方たちの思いに寄り添った話は見たり聞いたりしたことはあったのですが、この物語は亡くなった方たちの目線で描かれていることにすごく惹きつけられました。
亡くなった方たちの家族や大切な人たちへの思いはすごく救われるし、止まった時間が動き出すような希望のある物語だと思いました。
――のんさんが演じた、たまえのキャラクターは、どのように解釈して作り上げていったのでしょうか?
のん:表向きは、すごく明るく振る舞う女の子で、何が起こっても「大丈夫です」とやり過ごそうとします。傷ついていても、それを態度に出さないんです。
彼女は現世で両親を亡くし、誰にも愛されない人生を送ってきました。でも三ツ瀬では、家族ができて、かけがえのない時間を過ごすことができたんです。だから彼女は三ツ瀬で幸せに暮らしたいと言うのですが、それは叶わない願いで……。その葛藤を表現できたらと思いました。 ――たまえは生死の間に存在しているという難しい役どころでしたね。
のん:難しい役でしたが、私は、のんとして活動するようになってから、役作りを「ノート」に記して進めるやり方をしているので、それを生かしました。
役の人生の目的を設定して、その目的の障害を書き出していく方法です。そのやり方で「たまえが何を目的にしている人か」と考えたとき「ギフト」を求めている人だと考え、役を構築していきました。
たまえは三ツ瀬で「自分の役割を与えられる」という「ギフト」を見つけました。その役割とは、亡くなった人と現世をつなぐこと。それを得た時に、たまえは一歩踏み出せると考えて、演技に生かしていきました。
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