定年・退職のお金/ファイナンシャルプランナー辻村洋子さんのワクワク老後を楽しむお金エッセイ

最後のお金の貯め時?50代からの老後のお金の貯め方

50代は教育資金がかからなくなる方も多く、最後のお金の貯め時となります。豊かな老後生活を迎えるために、50代からのお金の貯め方・増やす方法をご紹介します。

執筆者:All About 編集部

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長生きリスクに備えるために50代から準備を!

ひと昔前の話ですが、年功序列で給料が上がり、終身雇用が約束されたうえに高金利の時代がありました。現在では、非正規雇用で働く人も増え、低金利が続いています。昔とはお金の常識が変わっているので、老後のお金について、なるべく早いうちに考えておく必要があります。

また、厚生労働省のデータによると1980年の平均寿命は、男性73.35歳、女性78.76歳。2021年の平均寿命は男性 81.47年、女性87.57年と40年間で寿命が大幅に延びています。長生きリスクにも備える必要があるということです。50代のうちに、しっかりと老後のお金の準備について考えておきましょう。
最後のお金の貯め時である「50代」。どうやって貯める?

最後のお金の貯め時である「50代」。どうやって貯める?

 

50代の人が、お金を貯めるには次の3つのことから始めよう

それでは、50代から「お金を貯める方法」について考えてみましょう。お金を貯める早道は、転職、昇進、副業などで収入を増やすことです。が、いくら増やしてもお金というのは「パーキンソンの法則(※)」といって、あればあるだけ使ってしまうものです。

※【パーキンソンの法則】
第一の法則:仕事量は与えられた時間を使い切るまで膨張する
第二の法則:支出は収入の額と一致するまで増加する

そこで、50代の人が、お金を貯めるには次の3つのことから始めましょう。

1. 先取り貯金
先取り貯金とは、毎月のお給料から先に決まった額を貯金していく方法で、最低でも収入の10~20%は貯金に回してください。貯金に回したお金は最初からなかったものとして、残りの金額でやりくりをしていきましょう。

2. 固定費の削減
固定費は一度見直すだけで、削減効果が何年も続くので必ず見直してください。金額の大きいものから見直すといいでしょう。住宅ローン返済中の方は、今は金利がかなり低くなっているので、借り換えを検討してみてください。今返済している住宅ローンと借り換え先の金利差が1%以上、ローンの残金1000万円以上、残りの返済期間10年以上であれば、借り換えをしてもいい目安です。その他に保険、車、光熱費、通信費などの見直しもしましょう。

3. 使途不明金をなくす
家計簿アプリなど利用して、最低でも2~3カ月分の支出は全て把握してください。そしてムダな支出が見つかったら極力なくしてください。
 

50代の人が、お金を増やす方法

次にお金を増やす方法について見ていきましょう。

1. お金を目的別に分ける
お金を目的別に分けるというのは、資産運用の基本ルールです。

●流動性資金
日常やいざというときに使うお金で、半年~1年分の生活費と病気やけがなどの治療費。
⇒普通預金や通常貯金へ入れて、基本的にすぐに使える状態にしておきましょう。

●安全性資金
数年先に使うお金で、旅行やレジャー、リフォーム代、子どもの結婚資金など。
⇒定期預金や個人向け国債などで減らさないように運用していきましょう。

●収益性資金
当面使わないお金で、10年以上先の老後資金、子どもや孫に相続するお金。
⇒余裕のあるお金なので、株式や投資信託、外貨預金などで増やすことも検討していきましょう。

2. 投資を始める
投資の基本は「長期・積立・分散」です。また有利な資産形成をするには「税金をいかに抑えるか」が大事です!

そこで長期間、税制優遇が受けられ「長期・積立・分散」に適した、つみたてNISAやiDeCoを始めませんか?

税制優遇というのは、国から与えられたボーナスのようなもので、国も全面的に国民の資産形成を応援しているのです。確かにつみたてNISAやiDeCoにはリスクがありますが、投資信託の仕組みや運用のポイントをしっかり押さえれば、高いリターンを充分に狙えるし、過去のデータでも長期間運用することでリスクはかなり減り、リターンが得られていることが証明されています。

先ほどの貯める方法で貯まった資金や収益性資金(余裕のあるお金)で、つみたてNISAやiDeCoを始めましょう。毎月決まった金額で定期的に購入していく「ドルコスト平均法」で積み立てていくなら、安いときにはたくさん買えて、高いときには少ししか買えないので、最終的に平均単価が抑えられます。下がったらむしろ「たくさん買える!」とポジティブにとらえることもできるので、精神的にもいいでしょう。

ただし、始める前には必ず勉強が必要です。ぜひ下記サイトを活用して勉強してください。
NISA特設ウェブサイト:金融庁
個人型確定拠出年金ナビ(iDeCoナビ)~イデコ加入ガイド~
 

まとめ

筆者は20代前半の頃、兄から「会社四季報」と「会社情報」の見方を教わり、株式投資デビューをしました。そしてバブルの波に乗って、自己資金を20倍以上に増やすことができました。

その後の長い株価の低迷で、すっかり株から遠ざかり、育児が一段落した後の会社員時代も財形年金、確定拠出年金などで先取り貯金(20%)はしていたものの、安全重視の運用で、退職後によくよく見ると、びっくりするぐらい低金利の運用をしていました。

アベノミクスで株価がどんどん上がっていった頃、もう少しリスクを取って運用していたら結果は全く違っていたでしょう。

今も守り中心で、安全資産80%、リスク資産20%くらいにしていますが、リスク資産の利益率は圧倒的です。インフレリスクを考えて、リスク資産をもう少し増やそうか悩んでいるところです。

50代は教育資金がかからなくなる方も多く、最後のお金の貯め時ともいえるでしょう。

千里の道も一歩から……今から始めても遅くはありません。リスクを必要以上に怖がるのはやめて、豊かな老後生活のために一歩を踏み出してみませんか?

文:辻村洋子(CFP(R)認定者・1級FP技能士・証券外務員一種)

損保会社を定年退職後、ファイナンシャルプランナーに。「お金は人生を豊かにするためのもの」をモットーに、セカンドライフを充実させたい人への家計改善、老後資金の準備、遺言・相続などに関する相談を得意としている。お金の寿命をのばす専門家として相談者の不安や悩み相談を受けている。

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