ちなみに、諸説ありますが「Web3」に関しては小数点は付かず「3」となることが多く、「ウェブスリー」と呼びます(一部「Web3.0」と表記している書籍などもあります)。一部の日本人は、敢えて日本語的に「うぇぶさん」と読むこともあります。
間違えるとちょっと恥ずかしい「Web3」の誤った用法とは(画像はイメージ)
今回は、間違って使うとちょっと恥ずかしい、Web3の用法の間違い例をご紹介します。
「Web3」の間違った用法例(1)「WEBの新技術Web3が登場」
WEBと名前が付いているので、なんとなく新技術っぽい雰囲気を醸し出しているWeb3。Web3は技術の用語ではなく、ブロックチェーン技術の普及によって、GoogleやFacebookなどの大手プラットフォームのような単一のシステムに頼らずにユーザーが持つ端末同士が繋がり、情報を取得したり、発信したりする概念です。Web3は、情報の取得や発信、さらに決済などを、全て分散型で実現するようになる時代を指します。技術の用語ではなく、世界観や時代観を表す用語なのです。
「Web3」の間違った用法例(2)「Web3はNFTやメタバースを支える技術」
メタバースでのやり取りイメージ
ただ、Web3の重要な概念である「分散型で処理をする」という概念では、NFT(非代替性トークン)はWeb3の世界観を象徴していると言えます。
NFTは単一のシステムが、その唯一無二性を証明するのではなく、世界中に分散しているブロックチェーンのノードが、そのデータの唯一無二性を証明することで改竄を不可能に近いレベルまで保っています。
これまでの重厚長大な単一システムが証明する世界から、複数の分散システムが証明する世界、つまりWeb3の世界観を体現する1つの事例と言えます。
「Web3」の間違った用法例(3)「Web3は暗号資産の時代」
Web3はブロックチェーン技術を利用して分散型システムとなっていく世界観を表しています。このWeb3の世界観と、資産性を持つ暗号資産とを、紐付けて考えるのは危険です。暗号資産もブロックチェーン技術を利用した資産性のあるトークン(データ)ではありますが、取引には中央集権的な取引所を通す必要があります。これは、資産性のあるトークンを守り、マネーロンダリング等に利用されないように、監視する必要があるためです。
Web3の世界観である分散化される世界が、全てのサービスにおいて正しいわけではなく、単一システムが情報を守る必要性があるサービスもありますので、「分散化=正義」ではありません。
「中央集権」と「分散」のバランスが重要です。
「Web3」の間違った用法例(4)「Web3はDAOの時代になるよね」
DAO(Decentralized Autonomous Organization:ダオ)という言葉を聞いた事がある人も多いのではないでしょうか?日本語にすると「分散型自律組織」です。組織というと、どうしても「会社」や「団体」を思い浮かべると思いますが、どちらかというとプロジェクトに近い概念で捉えると分かりやすいでしょう。
DAOはブロックチェーン技術を用いて、組織(プロジェクト)の意思決定を行うことが特徴です。ガバナンストークンと呼ばれるプロジェクトの意思決定に関わる投票権に近いものを利用して、一定のルール(必ずしも多数決でなくても良い)で意思決定を行います。
分散型、という言葉だけ見ると、中央集権的でないWeb3の世界観と類似しているキーワードと言えます。しかしながら、Web3は、インターネット上のサービスに対する世界観を示す言葉でありDAOは組織の意思決定の方式を占める言葉であるので、Web3とDAOを同一に捉えるのは少々行き過ぎだと思います。また、DAOの意志決定プロセスには課題も多くあります。
「Web3」の間違った用法例(5)「Web3は自分には必要ない」
「Web3は私には関係ない」と思っていませんか?
今まで意識してこなかった自分の持っているデータの保存場所や自分のIDの保管が分散化されている時代が、きっと訪れるでしょう。
暗号資産、NFT、メタバースなどに関わらなくても、生活に欠かせなくなったインターネットを利用する限り、関わりのあるキーワードがWeb3なのです。
Web3の間違った用法まとめ
Web3に関する誤った用法をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。Web3はインターネットサービスの世界観を示す言葉です。Web3が普及したとしても、インターネットのサービスがすべて分散型になるわけではありません。おそらく、従来の中央集権型サービスと、分散型サービスに棲み分けされていくでしょう。
そのような世界が到来したときは、もうWeb3とは呼ばれていないかもしれませんね。正しくWeb3を理解する一助となれば幸いです。
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