成田凌＆前田敦子がカオスな三木監督作品に挑む！『コンビニエンス・ストーリー』過酷な撮影の裏側とは(2ページ目)

「成田くんが演じる加藤さんの中途半端なキャラクターがすごく好き」

――完成した映画を観た感想を教えてください。
 
成田＆前田：おもしろかった！
 
成田：僕はやはり三木さんのファンなので、三木監督作品の中に自分がいるというのが、とにかくうれしかったです。
 
前田：私は、成田くんが演じる加藤さんの中途半端なキャラクターがすごく好きでした。かっこ悪くないし、マヌケでもないんだけど「なんだろう、この人」みたいな抜け感が、ちょうどいいなって（笑）。女性に翻弄されているように見えるけど、それも定かではない感じも良かったです。
 
成田：加藤は意志がないから。翻弄されているとかではなく、流されているだけなんですよ（笑）。 ――成田さんは、ミステリアスな惠子を演じる前田さんを見て、いかがでしたか？

成田：すごく良かったです。この映画の試写を観たあと、前田さんにも伝えましたけど、惠子という役に、前田さんのルックス、声質、佇まいがピッタリだったんです。
 
前田：よかった～。
 

三木作品は一人ひとりのキャラが魅力的

―おふたりが、『コンビニエンス・ストーリー』の世界観にとてもマッチしていたので、また三木監督作品で共演してほしいです。
 
成田：そうですね。でも、あの三木組の猛者のようなスタッフさんと相対する俳優チームは、覚悟が必要ですが（笑）。とにかく撮影は大変でしたが、よりいい映画にしよう、もっといい映画にしようと高みを目指してやっていて、とても熱い現場でした。僕は現場でずっとハイだったと前田さんに言われました（笑）
 
前田：成田くん、ふせさん（ふせえり／映画プロデューサー　国木田役）のシーン、演技じゃなくて普通に笑っていたよね。
 
成田：笑っていました（笑）。ふせさんが面白すぎて。次に三木監督作に出るのなら、ふせさんたちと横並びで、周囲を翻弄する側に回って、芝居したいですね。
 
前田：でもぶっ飛んだ役もやってほしい。似合いそう！  成田：ファッションもガチガチに決めて演じたい気持ちもあります。でも三木監督作品のキャラクターは、ふざけているように見えて、ふざけている人はいないんです。それぞれが自分の正義を持っていて、一人の人間としての魅力を出しています。ふせさんの演じる国木田も、小道具や細かい仕草で人間味を徐々に出しているのですが、それを飄々とやっているので、ずっと面白いのがすごいです。
 
今回は、面白い人たちに振り回される側でしたが、今度は、面白い側の人もやりたいですね。
 
――成田さん、さすが三木聡監督ファンだけあって、三木ワールドの魅力を分かっていらっしゃる！ 今日はありがとうございました。

（取材・文／斎藤 香）
 

成田凌（なりた・りょう）のプロフィール

1993年、埼玉県生まれ。2014年、フジテレビNEXT オリジナルドラマ『FLASHBACK』で俳優デビュー。その後、ドラマ、映画、舞台と活躍の場を広げている。主な出演作は、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』（2016／TBS）『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd season』（2017／フジテレビ）、連続テレビ小説『わろてんか』（2018）『おちょやん』（2019／いずれもNHK）『逃亡医F』（2022／日本テレビ）。映画『キセキーあの日のソビトー』（2017）『スマホを落としただけなのに』（2018）『愛がなんだ』（2019）『カツベン！』（2019）『窮鼠はチーズの夢を見る』（2020）『くれなずめ』（2021）『ニワトリ☆フェニックス』（2022）ほか。2023年1月上演予定、舞台『宝飾時計』が控えている。
 

前田敦子（まえだ・あつこ）のプロフィール

1991年、千葉生まれ。2005年、AKB48のメンバーとして芸能界デビュー。『あしたの私のつくり方』（2007）で映画初出演。『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』（2011）で映画初主演。AKB卒業後、ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。ドラマ『花ざかりの君たちへ～イケメン☆パラダイス～2011』（2011／フジテレビ）『毒島ゆり子のせきらら日記』（2016／TBS）ほか。映画『もらとりあむタマ子』（2013）『さよなら歌舞伎町』（2015）『イニシエーション・ラブ』『旅のおわり、世界のはじまり』（2019）『くれなずめ』（2021）など。近作は『もっと超越した所へ。』（2022）。
 

『コンビニエンス・ストーリー』（2022年8月5日公開）

監督・脚本：三木聡
企画：マーク・シリング
出演：成田凌、前田敦子、六角精児、片山友希、岩松了、渋川清彦、ふせえり、松浦祐也、BIGZAM、藤間爽子、小田ゆりえ、影山徹、シャラ ラジマ
 

【あらすじ】

スランプ中の売れない脚本家、加藤（成田凌）は、恋人ジグザグ（片山友希）の飼い犬“ケルベロス”に、執筆中の脚本をイタズラされて、怒りのあまり、山奥に捨ててしまいます。しかし、良心の呵責に苛まれ、捨てた場所に戻る途中、レンタカーが壊れてしまい、行き場を失ってしまった加藤。困り果てている中、彼は霧の中に佇むコンビニ「リソーマート」を見つけます。そのコンビニで働く惠子（前田敦子）に助けられ、彼女の夫でコンビニオーナー南雲（六角精児）の家に泊めてもらうことになったものの、そこで加藤は次々と奇妙な出来事に遭遇していくのです。