亀山早苗の恋愛コラム

“サレ妻”が立ち直る方法…「たかが浮気で1年もぎゃあぎゃあ言うな」と夫に言われたら

不倫はいけないこと。わかっていても結局、する人はするし、続ける人は続けるのだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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不倫はいけないこと。誰もがそう思っているのに、する人はするもの、やめない人は続けるもの。一方で「恋してしまったのだから、しかたがない」と内心、開き直っているケースも散見される。
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何がいけないのか、夫はわかっていない

夫の不倫が露見し、怒りまくったクミさん(42歳)。発覚したのは1年前。相手は夫の仕事仲間だった。

現在、結婚から10年がたち、8歳と5歳の子がいる。クミさんは正社員として働き、夫は仲間とともに立ち上げた会社で代表を務めている。

「その会社で一緒に働いている女性と関係があったんですよ。私も夫の仕事仲間は全員、知っている。彼女とも面識があったし、うちに遊びに来たこともありました。そういう間柄で浮気なんてします? 夫にも彼女にも腹が立ちました」

クミさんが怒ると、夫は床に手をついて謝った。結婚生活におけるルールを破ったこと、クミさんを傷つけたこと、そしてこんな父親で子どもにも申し訳ないとつぶやいた。

「それは全部、正論なんだけど、夫が本気で申し訳ないと思っているかどうか、私にはよくわからなかった。だって、そんなことは不倫する前からわかっていて当然でしょ。わかっていてやったんだから、それなりの理由があるはずだよねと私は詰め寄りました」

夫は「魔が差した」と言うばかり。魔が差したというのは、どういうことなのかと彼女は問い詰める。人生で自分は一度も魔が差したことなどない。理性で判断できるものではないのか、と。

「ずっと責められて、夫が日に日に疲れていくのがわかりました。それでも私は止められない。ある日夫が、『オレがどうすればきみは満足できるの?』と言ったんです。それは私にもわからない。なぜ、こんなに日々、怒りがわいてくるのかもわからなかった」

責めているクミさん自身がつらくてたまらなかったのだ。
 

自分が侮られていることがつらい

クミさんは考え続けた。どうしてこんなに悲しいのか、どうしてこんなに苦しいのか。

「1年近く考えて、最近、ようやくわかってきたんです。私は、自分がこの家庭で重要な人物だと思われたかった。もっといえば夫にとってかけがえのない人間でありたかった。実際、そうであると信じてもいた。それなのに、夫は軽々と別の女性に手を出した。それは私を貶めることなんですよね。私は屈辱を覚えた。つまりは、バカにされていると感じたんです。だからいつまでも怒りが冷めなかった」

あたかも自分が無視されているような、透明人間として扱われているような、そんな気持ちだったのかもしれない。だが、夫にはもちろん、そんなつもりはない。

「クミを軽く見たわけじゃないと夫は否定しました。だったらなぜそんなことするのよ、と私は無限ループに落ちてしまう。つい2カ月ほど前、夫は『たかが浮気で1年もぎゃあぎゃあ言うなよ。子どもたちの手前、明るい両親でいようよ』と言い出した。私を壊したのはあなたでしょと思わず言ってしまいました。だったら離婚するか、と夫が口にしたので、私はまたびっくりしたんです」

クミさんには、離婚という選択肢はなかった。不倫した夫が離婚を口にするなど、彼女の感覚では言語道断だった。

「だったらオレはどうすればいい、とまた夫に聞かれて。いつまでもぐちゃぐちゃしているのはよくない。やり直すならきちんと仲良くしたい。きみが離婚を選択するなら、それもしかたがない。とにかく今の状況は、誰にとってもよくないって」

確かにそれはクミさんもわかっているのだ。だが自分の尊厳が回復されないから、結婚継続にしろ離婚にしろ、方向性はともかくとしても前に進むことができないでいる。

どうしたら彼女の尊厳が回復されるのか。そこがわからないから、クミさんはつらいし、立ち止まったままなのだろう。

「私の中では時間が止まってしまっている。これではいけないことだけはやっとわかってきました。だけどどの方向に進めばいいのかわからない。私が迷ったり悩んだりしている間に、夫は仕事をし、子どもと語らい、さらにスポーツジムに行って楽しんでいる。子どもたちももちろん進級して、去年より大きくなっている。私だけが置いてけぼりになっているんですね。私がいちばんの被害者なのに」

被害者という意識があるからこそ、彼女は立ち止まったままなのだろう。だが被害者であるのは真実でもある。

「いわゆる“サレ妻”の人たちは、みんなどうやって立ち直っていくんだろう。それが知りたいです。私は身動きがとれないまま、今も立ち止まっているだけ……」

一歩踏み出してというのはたやすい。だが踏み出せない人に、どうやって踏み出せと言えばいいのか。ともに頭を抱えるしかなかった。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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