努力が実って、旨味がぎゅっと詰まったドラマに!
――ドラマ『拾われた男』を、それぞれご自身がご覧になっていかがでしたか? 感想を聞かせてください。仲野
自分の出演作について、褒めるのも何ですが、めちゃくちゃ面白いなと。「これ面白いよね!面白いよな!面白いって言っていいよね!?」とか、ひとりでソワソワしちゃって(笑)。井上監督にすぐ感想を伝えましたね。
あと、実は撮影が結構ハードで、俳優だけでなく、スタッフさんも毎日すごく頑張ってくれていたので、現場で「この努力が実ってくれ。面白くあってくれ」と願っていたんです。その努力が作品に集結して、素晴らしいドラマに仕上がっていたので、本当にうれしくて。旨味がぎゅっと詰まったドラマになっています。 伊藤
私は3話からの出演なので、1話と2話は、読者の皆さんと同じく視聴者として鑑賞できました。「これが、まっつんの過去!」と思うと興味深かったり、あと舞台となる時代の世界観の懐かしさだったり、キャストの皆さんの魅力的なお芝居に拍手を送りたくなったり、いろんなシーンで気持ちが高まりました。
それと主演として出ずっぱりの太賀さんが、撮影現場でいろいろなものと闘いながら演じている姿を見ているので、素敵な作品に仕上がって、その作品に出演できて、本当に幸せなことだと思いました。
いくつになっても冒険と挑戦を続けたい!
――お二人とも出演作が続き、オファーが絶えない状態だと思うのですが、依頼を引き受ける決め手はなんでしょうか?仲野
いちばんは、自分がワクワクできるかどうかですね。企画、脚本、共演者、監督など、「これは楽しそう」「やりがいがありそう」と思える作品に出演していきたい。一緒に仕事をしたいと思っていた監督の作品に呼ばれたら出演したいですし、脚本が素晴らしくて、これは絶対に演じたいと思うこともあります。
伊藤
タイミング次第で、「面白そうだからやりたい」と思っても、他の仕事の都合で出演が叶わず悔しい!ということはあります。私は基本、声をかけていただいた仕事は全部やりたいんです。いまだに仕事がない時期のことが頭をよぎって「せっかく呼んでいただいたのだから」という気持ちが勝っちゃうんです。
だから、作品の選び方など、今勉強中で、マネージャーさんと相談しながら進めています。でも、やっぱり基本は「声をかけていただいた仕事は全部やりたい!」と思っています。 ――将来について、俳優としてどうありたいと考えていますか?
仲野
やりたいことはたくさんあります。僕の場合は、俳優として、知らない場所に行ってみたいし、今まで感じたことのない気持ちになってみたい。年を重ねていくにつれて、挑戦的になっていきたいですね。決して守りに入らず、冒険する気持ちを持ち続けたいです。
伊藤
ルーキーであり続けたいです。素敵な作品に関わらせていただいても、自分の演技に“100%満足”みたいな気持ちにはならないことが、この仕事を続けていくために大切なことだと思うんです。ずっと「はじめまして」の気持ちでいたいし、ずっと緊張していたいです。
あと太賀さんと一緒で、もっといろいろな経験をしたい! まだ経験していないジャンルがたくさんあるので、死ぬときに「やったことのない役があった」という後悔をしたくないし、40、50、60歳になっても、今と同じ気持ちで走っていきたいです。
(取材・文/斎藤 香)
仲野太賀(なかの・たいが)のプロフィール
1993年、東京生まれ。2006年に俳優デビュー。ドラマ、映画、舞台など様々なジャンルで活躍している。ドラマ『ゆとりですがなにか』(2016/日本テレビ)、スピンオフ「山岸ですがなにか」(Hulu)、『今日から俺は!!』(2018/日本テレビ)、NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(2019/第二部)『コントが始まる』(2021/日本テレビ)。映画では『那須少年期』(2008)で初主演。『淵に立つ』(2016/ヨコハマ映画祭最優秀新人賞)、『南瓜とマヨネーズ』(2017)、『泣く子はいねぇが』(2021)、『あの頃。』(2021)『すばらしき世界』(2021/毎日映画コンクール最優秀新人賞、ブルーリボン助演男優賞、日本アカデミー賞優秀助演男優賞)。近作は、連続ドラマ『初恋の悪魔』(7月16日スタート/日本テレビ)、映画『ぜんぶ、ボクのせい』(8月11日公開)『ある男』(秋公開)。伊藤沙莉(いとう・さいり)のプロフィール
1994年、千葉県生まれ。2003年にドラマでデビューし、数々のドラマや映画、舞台などで活躍。ギャラクシー賞テレビ部門個人賞、ブルーリボン助演女優賞、エランドール賞新人賞な ど多数受賞。近年の出演作に連続テレビ小説『ひよっこ』(2017)、『全裸監督』(2019、2021)、TV アニメ『映像研には手を出すな!』(2020)、『いいね!光源氏くん』(2020、2021)、『ミステリと言う勿れ』(2022)、『拾われた男 Lost Man Found』(Disney+・BS プレミアムで配信&放送中)、映画『タイトル、拒絶』(2020)、『ボクたちはみんな大人になれなかった』(2021)、『ちょっと思い出しただけ』 (2022)、『映画ざんねんないきもの事典』(声の出演/2022)、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(日本語吹替版/7月29日公開)、『女優iの憂鬱/COMPLY+-ANCE』(9月2日公開)など。8月7日より舞台『世界は笑う』(作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ)に出演。主演ドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」(NHK)が8月20日放送。ドラマ『拾われた男』
2022年6月26日よりディズニープラスで見放題独占配信。原作:松尾諭・著「拾われた男」(文藝春秋刊)
監督:井上剛
脚本:足立紳
出演:仲野太賀/伊藤沙莉/鈴木杏、伊勢志摩、北村有起哉、要潤、安藤玉恵、前田旺志郎、北香那/松本穂香、岸井ゆきの、片山友希、大東駿介、塚本晋也、六角精児/夏帆、松尾諭、柄本明、ベンガル、綾田俊樹、末成映薫、井川遥/風間杜夫、石野真子/薬師丸ひろ子/草彅剛
制作・著作:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社/株式会社NHKエンタープライズ
(C)2022 Disney & NHK Enterprises, Inc.
【あらすじ】
売れない役者の松戸諭(仲野太賀)は、自販機の下に落ちていた航空券を拾ったことをきっかけに、モデル事務所社長の山村(薬師丸ひろ子)と出会います。そして、役者を目指していた諭は彼女の事務所に所属しながら、レンタルビデオ店で働くことに。同僚に恋をしたり、オーディションに落ち続けたりしながらも、戦争映画に出演するチャンスを得て、ゆっくりと俳優業が動き出します。そんな中、諭は、レンタルビデオ店に新人アルバイトとして勤務することになった結(伊藤沙莉)と出会い、他の同僚女性とは違う、不思議な魅力を感じていました………。