家事

50歳からのズボラ家事「10」の提案……何を捨てれば楽になる?

50歳からのズボラ家事についてお話しします。若い頃とは体力も気力も異なってくる50代。「やらねばならぬ」家事を背負い込んでくたびれ果てていたりしませんか? この先の「人生の残り時間」を意識しながら、家事内容を精査、棚卸ししてみてはいかがでしょう。

藤原 千秋

執筆者:藤原 千秋

家事・掃除・子育てガイド

人生見直し「ズボラ家事」……「10」の提案!

50歳からのズボラ家事

50歳からのズボラ家事

一生を24時間として換算する「人生時計」という考え方があります。70歳を寿命として計算してみたところ50歳手前の筆者はいま「午後4時24分」と出ました。結構いいところまで来ていますね……。

さて日々の暮らしと「家事」とは切り離し難いものですが、なるべく真面目に生きようとしている人ほど、手を抜かずきちんと家事をされているのではないでしょうか。しかし人間できることもやれることも限りがあり、その内容は家族の年齢や状況によって実は年々変化していくと同時に、家事を為す本人も老いて疲れていきます。

このまま漫然と惰性で「やらねばならぬ」を背負い込み、それでくたびれ果てているのなら、「人生の残り時間」と天秤にかけて、その内容を精査、棚卸ししてみるのも一手ではないでしょうか?

「きちんと手間暇かける」の対義語は「ずぼら」。

人生見直し、ズボラ家事。以下家事周りを20年以上調査、執筆、実施してきた筆者からの10のご提案です。
 
<目次>
 

⒈ 捨てない

どんなに家事をしない人でも唯一行っている(ことの多い)家事といえば「ゴミ捨て」。ですが、つまるところ「ゴミを捨てる」という行為自体が面倒臭い家事の代表格だったりします。

そこでまずはこのゴミ捨ての負荷軽減、頻度を落としましょう。でも家がゴミ屋敷になってはいけませんので、「捨てない」ためにゴミになるものの総「量を減らす」、ゴミの出ない買い物をすることを意識しましょう。つきつめれば買ったものは食べてウンチになるかいずれゴミになるかの二択なのです。
 

⒉ 掃除しない

床に落ちたものを拾って誤食する恐れのある乳幼児や子ども、ペットがいない限りは、「毎日」していた掃除をもう「2日に一度」に減らしても実害はさしてないと割り切り、掃除の回数を減らしましょう。

歩くだけで床拭きできる足裏にモップのついたスリッパを履いたり、手の届くところにハンディ掃除機を置いておき、煎餅の食べかすが明らかに落ちた時だけこそっと吸い取る、といった「ズボラしぐさ」を極力身体に定着させるのもいいでしょう。また水まわりには「吹き付けるだけ」「発泡させるだけ」といった洗剤や洗浄剤を適宜取り入れるのも一手です。
 

⒊ 片付けない

片付けをして扉のついた収納に何かものをしまうと、そのものが目につきにくくなり気持ちスッキリするという点で非常に有効なのですが、しまいこんだら最後、そこに何が入っていたのか思い出すことすら難しくなってしまっているなら本末転倒です。

片付けられないもの、普段から目に触れさせておかなければいけないもの、目に触れさせておきたいものはすなわち必要性が高いものの証。そういう大事なものと、それ以外の忘れてしまうものとを、捨てるか捨てないかは別にして一度「片付け」ではなく「仕分け」してみるのがおすすめです。
 

⒋ 上らない

家事(掃除)のアクションで「(高所に)上がる」というのは大げさでなく命取りになります。健康な暮らしのための家事で生命が脅かされるのは目的から逸脱しており無意味です。

住まいの高窓、天井、換気扇、エアコン、照明といった箇所のメンテナンスと掃除はできるだけしないで済むような照明選びやウインドウトリートメント選びを心がけ、機会があれば変更、入れ替えを行います。予算が許せばプロに外注するのもよいでしょう。やはり餅は餅屋です。
 

⒌ 屈まない

汚れは低きに溜まるもの。それは物理的な道理ではあるのですが、無理に腰を曲げたり、低いところに頭を屈み込ませるような姿勢を余儀なくされる家事仕事は頭部の打撲や貧血、変な膝痛や腰痛を招きかねないので、この先避けていく方向で調整しましょう。

屈まずに作業のできる柄の長いほうきやブラシなどの掃除道具にシフトさせるととんでもなく快適なことに気づくでしょう。従来の「風呂掃除はとにかくスポンジで」のような思い込みは無理の元です。いまある不快感を無視せず、新情報に心を開いていきましょう。
 

⒍ 香らせない

体調を悪化させる要因はなるべく減らしたいものですよね。その観点でいうと家中の各所で合成香料を香らせすぎるのは悪手。におい問題は周囲への影響も小さくないので一度棚卸しするのをお勧めします。

玄関収納の香料、トイレの香料、入浴剤、シャンプー、洗剤、柔軟剤、防虫剤、住まいの洗剤、食器洗い洗剤、エアフレッシュナー、化粧品、オーデコロン、ヘアスプレー……入り混じり、香り同士喧嘩していませんか。生活臭をむやみにマスキングすると悪臭を複雑化させ私たちの嗅覚は麻痺します。できるだけ住まいは「無香」状態をめざすのが正解です。
 

⒎ 抱え込まない

同時進行やマルチタスクという言葉、いまだに「デキる〇〇」と不可分だという思いがどこかに残っていませんか?

複雑なタスクの抱え込みはすべからくズボラの敵。とにかく、ものごとはシングルタスクでシンプルに。それから一つの道具にやたらと機能を乗せた多機能な家電類もここから先は使いこなすこと自体が負担になりがちなので注意しましょう。ただ自動消火など安全装置が備わった新設備や道具は積極的に取り入れていきましょう。
 

⒏ 人に見せない

SNSやホームパーティーなど人に見せる暮らしで「ばえ(映え)」を意識することは、長らく、いわゆる「家事モチベアップ」のひとつの秘策でした。しかし日々の暮らしは決して劇場ではありませんので、人目の良し悪しを主軸に据えるのは自分自身にも家族にも負担になって当然だし、自然ではありません。

家の中や暮らしは人に見せない、と決めるだけでも気楽になるのでは。他者からの評価も自慢もそもそも家事に必要な要素ではないのです。
 

⒐ 自分でやらない

家庭内で主たる家事担当者、家事現場責任者(=主婦、主夫)になってしまうと土日もなく睡眠時間すらあやしい生活にいまだに陥りがちだったりしますが、「家事現場責任者」は決して公的な役割ではありませんし、固定しなければならないものでもありません。

家族の成長など変化に合わせて担う作業をシフトしていくことは全く悪いことではありませんし、自分の不得意なことを自分以外の得意な人に委ねることはむしろ仕事の場では当たり前。家でも同じです。
 

10. 悪口を恐れない

疲れた、できない、やりたくない、という心の声を、誰かからの叱責や悪口を恐れてねじ伏せてしまい、のっぴきならない状態に陥ってしまう人がしばしばいます。

一年365日、一日24時間、やればやるだけ家事には、やることが生じます。やらないことにいちいち罪悪を感じていると本当は誰も言っていない悪口が自分の頭の中に響き渡ったりします。もしもよその誰かのずぼらぶりを、不真面目だ怠惰だと断罪したくなったら赤信号です。時に「やらない=休む」のも仕事のうちなのは、これまた仕事も家事も一緒なのです。

生活の正解は人の数だけあり、私のずぼらはあなたの精一杯かもしれませんし、その逆もまた真なりです。各々の器を超えず無理を強いず機嫌よく。残りの人生を健やかに、願わくば元気に過ごせますように。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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