夏休み明けの行き渋り・登校渋り……
夏休み明け、繊細で内向的な性格の長男が原因不明の行き渋り
ここでは、そのようなお悩みを抱え、2カ月かけて解消したご家庭のエピソードをご紹介しながら、心理学的に大切な子どもへの寄り添い方について考えていきたいと思います。
事例:ある日突然あっけなく終わった、「2カ月間の登校渋り」
【相談内容】とても神経質で繊細、どちらかといえば内向的な性格の長男が小1のときのことでした。
2学期が始まってからなかなか学校に行きたがらず、どうにか校門まで送るのですが、そこから一歩が踏み出せない日々が続きました。お友達が「行こう」などと誘ってくれてもすんなり行ける日もあれば、行けない日もありました。
当時の私は、校門で泣く息子を前にどうすることが正しいのか分からず、「どうして行きたくないの?」「嫌なことがあるの?」などと質問責めだった気がします。
息子の話を聞いてみると、小学校やお友達がイヤというわけではなく、「ただおうちの方がいい」という漠然とした理由でした。担任の先生も毎日校門まで迎えに来てくださったり、「お母さんが深く悩んで大ごとだと思うと本人にもプレッシャーになるので、そんなに心配する必要はないですよ!」と前向きな言葉を掛けてくださりました。
毎日毎日泣く息子をいつまで送り届けるのだろうという不安も増し、疲れも溜まってきました。しかし息子を送り届ける日々を2カ月ほど過ごした後、それは突然、あっけなく終わったのです。息子もはっきりとした理由はわからないらしいのですが、漠然とした不安に周りの大人がしっかりと付き合ってくれた安心感から、登校しぶりが終わったのかなと思います。(相談者:40歳女性)
行けないのは「失敗」じゃない、1つの小さな変化は大切なステップ
夏休み明けに学校に行くのを嫌がるという子はとても多いものです。子どもにとっては、夏休みのようなお休み期間中の方が自由度が高い生活を送れますし、お家の方がリラックスして過ごせるので、そういう思いになりやすいからです。とくに内向的・消極的なお子さんは、刺激的な毎日よりも居心地の良さを好む傾向があるため、なおさら夏休み中におうちの方がよくなってしまったのですね。この子も「学校がイヤとかお友だちがイヤというわけじゃない」というように、学校と比較するとおうちの方がいいということです。
子どもたちの中には、性格的に時間をかけて物事に慣れ親しんでいくタイプの子がいます。きっとこのお子さんもそうなのでしょう。夏休みを経たことで一学期に得た経験値がいったんリセットされてしまい、また2カ月という時をかけて慣れていったんだと思います。はっきりした理由はわからなかったとのことですが、まさに「もうボクは大丈夫だ」と思えたからこそ、自然な流れで行き渋りが解消されたのでしょう。
2カ月間不安な日々だったと思いますが、親御さんそして先生方のご対応も素晴らしく、その寄り添いがこの子の不安を解消させたのは言うまでもありません。
ある日突然あっけなく終わった、休み明けの「2カ月の登校渋り」
よって、
- 朝ちゃんと起きられた
- ランドセルを背負えた
- 靴をはけた
- 学校の途中まで行けた
- 校門まで行けた
- 先生の顔を見られた……
性格的に内向的な子は、また新しい場所を前にすると不安を抱えることがあるかもしれません。しかし一度乗り越えた経験は、将来不安を抱えた際の大きな糧になるため、「本当に頑張ったね」「コツコツ努力できてえらかったよ」としっかりとねぎらい、「ボク(ワタシ)は乗り越えられた」という自信を持たせてあげてほしいと思います。
そして、親側の働きかけの中で気づいたポイントをメモしておくのもおすすめです。こういう声かけはいい形で響いたとか、あれをしたのはよくなかった、などの細かなことについてです。行き渋りといっても子どもによってそれぞれ状況は違うため、「我が子の場合」の寄り添い方を知っておくと、今後何かのときに役に立つと思います。
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