現役時代の感覚のまま支出を続けていたら、いずれ老後破綻に?
60歳で定年退職を迎え再雇用となった場合、多くの会社では給料が大幅にダウンします。さらに、年金受給額も現役時代の収入に比べると少なくなる人もいるでしょう。お金というのは「パーキンソンの法則(※1)」どおり、あればあるだけ使ってしまうものです。もし、老後になっても現役時代の収入を得ていた感覚のまま支出を続けていたら、いずれ老後破綻してしまうでしょう。そこで収入が減るであろう年金生活にそなえて、支出を減らし、家計のダウンサイジングをしていく必要があります。そうすることで、長寿時代に立ち向かうこともできるでしょう。
ここでは、家計のダウンサイジングに効果的な3つの見直し方法を解説していきます。
※1パーキンソンの法則
第一の法則:仕事量は与えられた時間を使い切るまで膨張する
第二の法則:支出は収入の額と一致するまで増加する
家計をダウンサイジングするための3つの方法をご紹介します
ダウンサイジング1. 住居費の見直し
持ち家で住宅ローン返済中の人は、金利差1%以上、ローン残高1000万円以上、残りの期間が10年以上なら借り換えを検討してください。インターネット上のサイトなどでも、住宅ローンの借り換えをシミュレーションできます。サイトでのシミュレーションは無料でできるうえ、わからないことがあれば、住宅ローンのプロにチャットや電話で相談できることがあります。借り換え手数料を差し引いてもローン残高がかなり減るなら、ぜひ借り換えを進めてください。
また賃貸住宅に住んでいる人も子どもが独立して家を出たら、コンパクトな間取りに住み替えることをおススメします。年を取ったら家主がシニアに部屋を貸すのを躊躇するようになり、どんどん借りづらくなっていきます。できるだけ早い方がいいでしょう。
コンパクトな間取りだと家賃や光熱費が抑えられるうえ、掃除もラクになるので一石三鳥です。
住み替えの際には、駅や病院の近くで、車椅子でも生活できるエレベーター付き、バリアフリーの物件を選ぶと長く住み続けられるのではないでしょうか。買い物はネットスーパーなら重いものでも家まで持って来てもらえるので、適宜利用するのもいいでしょう。
ダウンサイジング2. 通信費の見直し
今まで通信費の見直しをしたことがない人は、ぜひ検討をしてみましょう。最近、大手通信会社で通信障害がおき、連絡が取れなくなったというニュースがありました。近頃のスマホは1台で2回線使うことができるデュアルSIMに対応した端末も多く出回っています。この機会に異なる通信会社の格安SIMの2枚使いを検討してはいかがでしょうか。
格安SIMは安いものでは月300円以下のものもあります。大手キャリアに毎月何千円も支払っている人にとっては、格安SIMを2枚使っても、大幅に通信費が削減できるうえ、リスク管理にもつながるのです。
ダウンサイジング3. 新聞をやめる
紙の新聞にこだわりがある人にはおススメできませんが、筆者は数年前から紙の新聞をやめてデジタル版日経新聞を読んでいます。デジタル版日経新聞の購読方法は簡単です。楽天証券に口座を開設するだけで、「日経テレコン(楽天証券版)」が利用できるようになり、そこではデジタル版の日経新聞(朝夕刊)、日経産業新聞、日経MJ(流通新聞)、日経地方経済面が無料で読めます。紙の日経新聞(朝夕刊)は1カ月4900円なので、1年で5万8800円もお得です。
最新ニュースも「SmartNews」や「Yahoo!ニュース」などのアプリを使えば、簡単に見られるうえ、クーポンまで付いてるのでさらにうれしいですよね。なかにはチラシが見たくて新聞をとっている人もいますが、チラシは「Shufoo!(シュフー)」というアプリを使えば、いつでも最新のチラシを無料で見ることができます。
このように固定費は一度見直すだけで、削減効果は長く続くので必ず見直すようにしてください。
まとめ
人生100年時代、長生きのリスクといって、本来おめでたいはずの長生きがリスクとして認識されるようになりました。長生きのリスクとは、長生きすることによって定年後の生活費や医療費、介護費用などの負担で老後の資金が足りなくなり、経済的に困窮する事態のことです。それなのに大手都市銀行の普通預金金利は0.001%、定期預金金利は0.002%と超低金利で、100万円を普通預金に1年間預けても税金を引いた利益は8円足らずです。また、インフレが進むとお金の価値が下がるので、銀行に預けておいても安心できなくなくなりました。今後は税制優遇のあるつみたてNISAやiDeCoなどで資産運用してお金にも働いてもらいましょう。
早めに家計のダウンサイジングをはかって、お金の寿命を延ばし、豊かな老後を送りましょう。
文:辻村洋子(CFP(R)認定者・1級FP技能士)
損保会社を定年退職後、ファイナンシャルプランナーに。「お金は人生を豊かにするためのもの」をモットーに、セカンドライフを充実させたい人への家計改善、老後資金の準備、遺言・相続などに関する相談を得意としている。お金の寿命をのばす専門家として相談者の不安や悩み相談を受けている。
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