亀山早苗の恋愛コラム

嫁とは「使うのが当たり前」の存在なのか?前時代的な夫と義母に奴隷の扱いを受け続けて

結婚とは、いったい何だろう? 生活の保障を得るためだけのものなのだろうか? 家族になったとたんに本音を露わにした夫は、まるで妻を「奴隷」のように使うのだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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このままでいいのだろうか。結婚はしたものの、想定外の結婚生活に悩んでいる女性がいる。結婚とは、いったい何なのだろう。生活の保障を得るためだけのものなのだろうか、と。
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結婚したとたん、自分の居場所がなくなった

職場の先輩からの紹介で、8歳年上の男性と3年前に結婚したキヨミさん(38歳)。交際期間が半年と短かったのは、彼女自身が少し結婚を焦っていたからだという。

「それに尊敬する先輩からの紹介だったので、相手の人間性を疑わなかったところもあります。だけど男友だちの目から見る彼と、私から見た彼とでは違うんでしょうね。夫は確かに、友人からは信頼されているし、社会人としても立派なのかもしれませんが」

長男だが義父母と同居する必要がなかったのも、彼女にとってはラッキーだと思っていた。ところが同居する必要がないだけで、面倒をみなくていいわけではなかった。

「結婚してから徐々に夫は本音を出してきました。ある日、『今日、お母さんが歯科に行くらしいから送っていってあげて』と言われたんです。は?と思いました。結婚を機に仕事はやめたんですが、パートとして働き始めてもいたし、その日もパートが入っていた。仕事があると夫に言うと、『パートなんだから休めるでしょ』と。しかたなく、パート先に電話を入れました。車で義母を歯科に送り、治療が終わるのを待って家に送り届けました」

それ以来、マッサージに行くから、美容院に行くからと週に何度か連絡が入るようになり、彼女はパートを続けられなくなった。

「義母は特にどこか具合が悪いわけではありません。以前は自転車であちこちでかけていたようですが、私が『嫁』としてきたからには『使うのが当たり前』だと思っているみたい。夫からそうしていいと言われたのかもしれません」

キヨミさんは先を見据えて専門学校にも通おうと思っていたのだが、義母の「お抱え運転手」としての仕事が忙しく、自分の自由な時間は削られていった。

「これはおかしいと夫に言ったこともあるんですが、『きみはもう家族なんだから』と夫に言われて。納得はできませんでしたが、抗うこともできなかった」

仕事を辞めてしまった以上、飛び出してもすぐには生活が成り立たない。
 

夫まで甘えて依存状態に……

その後、夫の対応はさらにひどくなっていく。

「私が風邪をひいて寝込んだときも、『精神的にたるんでるんじゃない?』と言われました。冗談交じりだったけど、私は傷ついた。その日、夫は実家で食べてくるわと出かけてしまい、私は高熱の中、ひとりで水分をとりながらうなっていました」

しばらくして夫が風邪をひいたときは大騒ぎだった。

「熱があるとはいえ38度くらいですよ。それなのにトイレに行くのに肩を貸せと言い出して。夫は大きいので私は支えるのが大変でした。おかゆを作ったら、ひとさじずつ食べさせてほしい、と。甘えるなと思いました」

それでもやってしまうのが、彼女のやさしさであり、それが相手を助長させる元となる。昨年、夫はコロナに感染、幸い軽症ですんだのだが、そのときも妻に感染させてはいけないという配慮はいっさいなかった。

「家で待機せざるを得なかったんですが、夫の部屋の前に食事を置くと怒るんですよ。ちゃんと部屋までもっていって食べさせないと。医療者が使うような強力なマスクを買ってつけて、なんとか看病を続けました。今だって夫が帰ってきたら、玄関先で私がアルコール液を手に吹きかけないと入ってこない。スプレーは置いてあるので自分でやればいいんですがやってくれないんです」

甘えが高じて完全に依存状態。にもかかわらず、妻を大事にはしないという典型的な前時代的亭主なのだ。

「子どもがほしいと思っていましたが、今はこの状態で子どもをもつのは不可能だと思うようになりました。離婚を決意して、必死で職探しをしています。フルタイムで正社員の仕事が見つかったら、すぐに家を出るつもり。私は夫や義母の奴隷として生きているわけじゃない。3年たってやっと目が覚めました。人は自分のために生きていいんじゃないか、と」

誰かのためだけに生きる人生は、たとえそれが安定しているとしても物足りないのではないだろうか。夫と義母に翻弄される日々はつらかったと彼女は涙ぐむ。

「あれやれこれやれと言われて、嫌だと言い切れなかった私も弱いんですけどね。そういう自分の弱点もよくわかったので、今後は気をつけたいと思っています」

自分を知ったという意味では、結婚もまた、いい経験となるかもしれない。彼女の人生はこれからまだまだ続くのだから。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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