名所・旧跡

奄美大島の楽しみ方! 世界遺産に登録された自然を満喫しよう

鹿児島と沖縄の間に位置する奄美大島は、手つかずの自然が残る美しい島。島固有の動植物が多数生息する貴重な地域として、世界遺産にも登録されました。美しい自然を全身で体感できる奄美大島の名所をご紹介します。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

世界遺産、奄美大島の豊かな自然を体感しませんか?

飛行機から望む奄美大島

貴重な自然が残る奄美大島。2021年に世界自然遺産へ登録されました(2021年10月撮影)

鹿児島と沖縄の間に位置する奄美大島。手つかずの自然が残り、島独特の貴重な動植物がゆったりと暮らす島は、2021年に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」という名前で世界自然遺産に登録されました。

今回は奄美大島で体感することができる美しい自然の風景をご紹介します。島でしか見ることができない貴重な動物に会えるかもしれませんよ。

<目次>  

不思議な名前の岬で青い海に癒されましょう

あやまる岬からの海の眺め(1)

あやまる岬から眺める美しい海。奄美十景のひとつに選ばれています(2021年10月撮影)

奄美の美しい自然のひとつが、あやまる岬。奄美空港から車で10分ほどの距離にある岬です。

不思議な名前ですが、こんもりと丸い形をしたこの岬の地形が「綾が織りなす手鞠」に似ており、いつの頃からか「あやまる」と呼ばれるようになったとのこと。
あやまる岬からの海の眺め(2)

あやまる岬から眺める海。サンゴ礁が大きく広がっています(2021年10月撮影)

太平洋に突き出た展望台からは、真っ青な海とサンゴ礁を見下ろせます。岬近くの公園内にも展望台があり、海を見下ろせますよ。
 

時間限定! 奇跡の絶景、ハートロック!

ハートロック(1)

自然が生み出した奇跡の絶景、ハートロック(2021年10月撮影)

奄美大島を訪れたら、ぜひ見ておきたい風景のひとつがハートロック

岩場の一角にあるハート型のくぼみに海水が溜まることで現れる美しい風景です。
ハートロック(2)

ハートロックと海。干潮前後の時間しか見ることができない風景です(2021年10月撮影)

ハートロックの中をのぞくと、海水の透明度が高く、小さな魚が泳いでいるのを見ることもできます。

ただしハートロックは、潮が満ちてしまうと海面下に隠れてしまうため、干潮の前後2~3時間しか見ることができません。また、天気が良くないときれいな青色にならないという条件も加わります。

潮の満ち引きは気象庁や釣り・サーフィン関係のWebサイトで確認できますので、ぜひ時間を合わせて訪れてみてください。
 

白い砂浜やワイルドな石が並ぶ海岸も訪ねたい

土盛海岸

カーブの美しい白い砂浜が続く土盛海岸(2021年10月撮影)

奄美大島では、さまざまな海の風景を楽しむことができます。

あやまる岬と奄美空港の中間にある土盛海岸(ともりかいがん)や、名瀬の西側にある大浜海浜公園、島の南部、瀬戸内町にあるヤドリ浜では白い砂浜が広がります。
大浜海浜公園の夕暮れ

大浜海浜公園の夕暮れ(2021年10月撮影)

奄美大島の東側だと朝日と一緒に、西側では夕陽と一緒に海を眺めることが可能です。お天気に恵まれた時はぜひ見てみたいですね。
ホノホシ海岸

石で埋め尽くされたホノホシ海岸(2021年10月撮影)

奄美大島には白い砂浜だけではなく、石が海辺を埋め尽くすホノホシ海岸のような場所もあります。1つの島の中で多種多彩な海の風景を楽しめるのが奄美大島の魅力のひとつといえるでしょう。
 

海を眼下に見下ろせる場所もおすすめ

油井岳園地からの展望

油井岳園地からの大島海峡の眺め。対岸は加計呂麻島(2021年10月撮影)

奄美大島には、高い場所から海を見下ろせる場所もあります。

南部の古仁屋から山の中に入った所にある油井岳(ゆいだけ)園地からは、加計呂麻(かけろま)島と大島海峡を見下ろす絶景が楽しめます。
高知山展望台からの展望

高知山展望台から大島海峡と古仁屋の街並みを望む(2021年10月撮影)

油井岳園地の近くにある高知山(こうちやま)展望台からは、古仁屋の街並みと海、加計呂麻島を眺めることができます。

古仁屋からは車で20分ほどの距離ですが、国道から横に入っていく道は道幅の狭い区間が長く続きますので、運転には注意が必要です。
ハートが見える風景

ハートが見える風景。巨大なハートの出現にびっくり!(2021年10月撮影)

もう1つ、古仁屋からヤドリ浜やホノホシ海岸に行く途中には「ハートが見える風景」もあります。先にご紹介したハートロックと違って、こちらは時間に関係なく大きなハートを見ることができますよ。
 

島ならではの素朴な風景も訪ねてみたい

ガジュマルの木に守られた田検のバス停

ガジュマルの木に守られているように見える田検のバス停(2021年10月撮影)

自然に満ち溢れた奄美大島には、こんな風景も。

南部の宇検村にある田検(たけん)というバス停ですが、よく見ると大きなガジュマルの木に守られているように見えますね。
古仁屋・トトロのバス停

地元の消防団の有志が造った「トトロのいるバス停」(2021年10月撮影)

もう一つは、トトロのいるバス停。地元の消防署の有志が造ったとのことで、正式なバス停ではありませんが、古仁屋の町の中にあります。いい雰囲気ですね。
 

島のほとんどは森に覆われています

マングローブ原生林

マングローブで埋め尽くされた原生林(2021年10月撮影)

奄美大島は、離島の中では佐渡島(新潟県)に次いで日本で2番目に大きな島なのですが、島のほとんどが森に覆われています。
カヌーでマングローブの森を巡る

カヌーに乗ってマングローブ原生林を見る体験もできます(2021年10月撮影)

島の中部にある住用(すみよう)地区には、国内で2番目の広さを誇るマングローブ原生林があり、原生林を眺めたり、カヌーに乗って海の上からマングローブを見る体験もできます。
マテリヤの滝

エメラルドグリーンの滝壺に流れ落ちるマテリヤの滝(2021年10月撮影)

大和村の山中にあるマテリヤの滝は、深い森の中にある滝。奄美の言葉で「美しい太陽の滝壺」を意味し、エメラルドグリーンの滝壺に向かって水が美しく流れ落ちます。ずっと見ていたい風景ですね。
 

奄美でしか見られない動物たちに会えるかも!

アマミヤマシギ

奄美から沖縄の間にのみ生息する絶滅危惧種のアマミヤマシギ。ネイチャーツアー解散後にひょっこり現れました(2021年10月撮影)

奄美大島が世界自然遺産に登録された理由のひとつが、離島であるが故に天敵がいない状態で独自の進化を遂げた固有種の動植物が多数いるという点でした。

良く知られているのは「アマミノクロウサギ」。これは奄美大島と徳之島にしか生息していません。
アマミイシカワガエル

奄美にのみ生息する絶滅危惧種のアマミイシカワガエル。身を纏う模様から日本一美しいカエルといわれています(2021年10月撮影)

他にも「アマミトゲネズミ」「アマミヤマシギ」「オオトラツグミ」や日本一美しいカエルといわれる「アマミイシカワガエル」など絶滅危惧種にリストされている数多くの貴重な動物が奄美の自然の中で暮らしています。
オオトラツグミ

奄美のみ生息する国指定の天然記念物、オオトラツグミ。これも絶滅危惧種です(2021年10月撮影)

もちろんこれらの動物は貴重な存在のため、奄美を訪れたとしても気軽に見ることはできません。

奄美大島では、世界自然遺産を将来にわたって維持し続けるという目的で許可を受けた複数の会社がネイチャーツアーを主催しており、このツアーに参加することで貴重な動物を見る機会を作ることができます。

生き物が相手ですので、確実に見ることができる保証は残念ながらありません。しかし、地元のことを良く知るガイドの案内を聞きながら自然の中に身を置くという体験は何事にも代えられない貴重な機会といえるでしょう。

ネイチャーツアーは奄美大島に行く前に予約することもできますし、空きがあれば現地到着後でも予約が可能です。2人以上が参加条件のツアーが多いですが、1人参加OKのツアーもあります。
ネイチャーツアーでジープに乗車中

ジープに乗って、金作原原生林の中へ入るネイチャーツアー。絶滅危惧種の動物たちに会えるかもしれません(2021年10月撮影)

ネイチャーツアーは夜行性の動物たちにあわせるため夜間に開催されます。

ツアーの舞台は多くの貴重な動物が暮らしている金作原原生林。出発地に集合した後、ジープなどの車に乗り込んで間隔をあけて原生林の中の道に分け入っていきます。

動物たちが出現することが多いポイントに近づくと、ツアーガイドが真っ暗な中を懐中電灯1本で周囲を照らしながら探していきます。

ルリカケスなどの鳥は、夜だと電柱の上で寝ている姿が見られることも。
アマミノクロウサギ

ネイチャーツアー参加中に現れたアマミノクロウサギ。この日はツアー参加中に3羽を見ることができました(2021年10月撮影)

かわいらしい姿が人気のアマミノクロウサギも、ネイチャーツアーだと高い確率で見ることができるとのこと。実際に見るとうれしくなります。
 

島内は広いので、移動時間には気をつけて

奄美大島の観光地図

奄美大島の観光地図。観光ポイントは広範囲に点在。空港は島の北部にあるので、移動時間には注意が必要です

奄美大島内の移動手段ですが、島内全域に路線バスが運行されているものの、運行本数が少ない所もありますので、多くの所をまわりたい場合はレンタカーが便利です。

奄美空港は島の北東部にあり、島の中心である名瀬までは1時間程度、島の南部にある古仁屋までは2時間半ほどかかりますので、移動時間には注意してください。
動物横断注意の標識(アマミノクロウサギ)

アマミノクロウサギが描かれた動物注意の標識。他にはアマミトゲネズミが描かれたものも。島を走る時は、動物にも注意を払って安全運転で(2021年10月撮影)

交通量が少ない道路では、動物飛び出しの例も多いようで動物注意の標識も多く掲げられています。安全運転で移動するようにしましょう。

豊かな自然が残り、世界自然遺産にも登録された奄美大島を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

美しい自然の中に身を置くだけでなく、もしかしたら島固有の動物たちにも会えるかもしれませんので、時間に余裕をもって訪れてみてください。
 

奄美大島へのアクセス

地図:Googleマップ

<飛行機>
奄美空港に到着したPeachの飛行機

奄美空港には、日本航空(JAL)グループ、ピーチ・アビエーション、スカイマークが日本各地から運航しています(2021年10月撮影)

羽田、伊丹、福岡、那覇などから日本航空(JAL)グループが、成田、関西からピーチ・アビエーションが、名古屋、鹿児島からスカイマークが奄美空港へ就航。

<船>
名瀬新港に着岸したマルエーフェリー

船の場合、鹿児島から奄美大島まで11時間の航海です(2021年10月撮影)

鹿児島からマルエーフェリーとマリックスラインが名瀬まで運行。鹿児島から11時間。運航日は各船会社に要確認。


【関連サイト】 【関連記事】
「九州の名所」に「名所・旧跡」ガイドで九州地方の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
「日本の世界遺産」に「名所・旧跡」ガイドで日本国内の世界遺産を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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