2022年夏ボーナス、前年比6.10%増、78万1140円
日本経済新聞社が実施している賃金動向調査の中で、2022年夏のボーナス調査(4月19日時点、中間集計)の結果が発表されました。上場企業と日本経済新聞社が独自に選んだ有力な非上場企業を対象とし147社の回答から、大企業の2022年夏のボーナス事情をみてみましょう。2022年夏のボーナス回答・妥結状況。全体の支給額平均は78万1140円で2021年夏比6.10%増。 調査対象の企業は、上場企業と日本経済新聞社が選んだ有力な非上場企業で回答462社のうち集計可能な147社のみで算出(出典:日本経済新聞社賃金動向調査、2022年4月19日時点。加重平均、増減率と前年比は%、▲は減)
2022年夏ボーナスの全業種平均は78万1140円。2021年夏比6.10%増で、4年ぶりに増加となった。コロナ禍の影響で2021年夏は前年比3.82%減、2020年夏は前年比5.03%減と、いずれも前年夏から比べて大きく下げていましたが、2022年夏はなんとか増加に転じたというところです。
とはいっても、支給額では2020年夏の実績80万7835円には及ばず、まだコロナ前の水準には戻ってはいません。
製造業8.22%増87万円、非製造業1.01%減54万円
製造業は前年夏比8.22%増となりました。2021年夏の前年比は3.85%減、2020年夏の前年比5.45%減と大きく落ち込んでいたのが、2022年は8.22%増と大きく伸ばしました。平均支給額は87万899円と全体の平均より9万円近くも高くなっています。一方、非製造業は前年夏比1.01%減の54万6040円と、全体の平均より23万5000円ほど低くなっています。2021年夏の前年比3.58%減、2020年夏の前年比は2.70%減でしたから、減少の幅は減ってきたというところです。2022年夏のボーナスは製造業が好調、非製造業もマイナスとはいえ前年からの減りは少ないといったところです。
業種別支給額トップ3は造船、食品、化学
業種別の支給額をみると、支給額が一番高額なのが造船で96万7583円で前年比14.29%も増えています。2021年夏の調査では5位で85万1640円でしたが、2020年は1位で89万8875円でした。造船はもともと高額支給の業種ではありますが、その年の業績に影響されやすい業種でもあります。
2位は食品で94万9945円、3位は化学で94万7571円となっています。続いて、機械、電機が92万円台。90万円を超えるのは、この5業種でした。2021年は90万円を超える業種は、医薬品、精密機械、建設でした。見事に入れ替わっています。2021年のトップだった医薬品は、今回の調査では社数が少なかったためか、調査結果にでていません。医薬品は毎年支給額が多い(2021年115万2019円)ので、実質のトップは医薬品かもしれません。
増加率トップは、鉄鋼22.88%増
増加率のトップは鉄鋼で、22.88%増の83万829円でした。2021年の前年比は18.16%減と大きく落ち込んでいたのが、今年は回復しました。前年はコロナ禍で需要が落ち込んでいましたが、今年は各社業績が好転し、支給額も伸びています。他に増加率が高かったのは、化学が16.80%増、造船は14.29%増となっています。いずれも、2021年は前年比で化学が9.64%減、造船は7.71%減でした。昨年減った分を取り返しています。
増加率トップは工作機械の牧野フライス製作所で2.7倍!
会社別での増加率をみてみると、トップは牧野フライス製作所で、増加率167.59%、前年より約2.7倍でした。工作機械の会社でコロナ禍で設備投資が止まっていたのが再開し、2021年度の受注は過去最高だったとのこと。
増加率トップの鉄鋼業では、東京製鉄が57.81%増の126万2500円となっています。2022年3月期単独決算の税引き利益が前期の5.4倍などと業績が好調で、過去最高の支給額となりました。
2022年の夏ボーナスは、コロナ禍の影響が落ち着き前年より増えた企業が多いようです。ただし、ほとんどの企業がウクライナ情勢や円安の影響がこの夏のボーナスには反映されていません。やっと上向きとなった2022年夏ボーナス。来年のボーナスがまた減少に転じないよう期待したいところです。
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