人間関係

派手色やミニスカでは「世間体」が悪い?妻のファッションについて僕に文句を言われても…

派手な服やミニスカが好きだとか、40代のグレイヘアだとかに、「女だから」「親だから」とか「40歳なんだから」という人がいる。ステレオタイプにのっとった「余計なお世話」である。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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いまだ「世間体」を気にする人は多い。気にするのは、実際に世間体にとらわれている人が、とらわれていない人に圧をかけるから。そのベースにあるのは、「女だからこう」「何歳だからこう」というステレオタイプにのっとった「余計なお世話」である。
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近所の女性に呼び止められて「大丈夫?」

苦笑しながら最近のできごとを話してくれたのは、タダシさん(46歳)だ。

「東京近郊の新興住宅地に住んでいます。ご近所さんも高齢の方はあまりいない感じ。なのになんだかうるさいんですよね。先日、帰宅途中に近所に住む女性に呼び止められて、『お宅の奥さん、いつも華やかねえ』と言われて。どういう意味かわからないから、『はあ』なんて言っていたら、『あんな格好で出歩いて大丈夫? お子さんに影響はない?』と。うちは僕も妻もデザイン関係。それでも僕は会社員ですから、Tシャツにジーンズくらいの“普通の”格好はしていますが、妻はフリーだし、性格上も自由を愛する人なので、常に好きなファッションをしているんです」

タダシさんから見れば、別に他者からとやかく言われるようなファッションではないという。肌を露出するわけでもないしダメージファッションとも違う。ただ、色合いが派手だったり、幾何学模様が激しかったりすることはあるそう。

「でも細身でベリーショートのヘアスタイルを貫く妻には似合っていると僕は思っています。それをそんなふうに言われるなんて心外だった。思わず、『妻のファッションが、何かご迷惑をおかけしましたか?』と言ったら、『ああ、ダンナさんもそういう人なのね』と行っちゃった。そういう人というのがどういう人なのかわからないけど(笑)、何かしらのイメージがあるんでしょうね」

帰宅して妻に話したら爆笑していたという。その後、こういう夫婦のもとで育つ子どもはろくでもない子だと思われるんだろうねと妻は真顔で言った。周りの偏見に子どもを歪められないよう気をつけていこうと夫婦は話したという。
 

妻のミニスカは「あんな格好」なのか?

「うちの妻はミニスカートが好きなんです」

年齢問わず、ミニスカが好きな人ははけばいいだけの話なのだが、それが自分の親には不評なのだとミキオさん(40歳)は言う。

「妻が4歳年上なので、結婚するときから僕の親は反対でした。結婚して10年たった今も、関係がいいとは言えない。でも親は孫には会いたいわけです。だからときおり一家で実家を訪ねるんですが、そのたびに『あんな格好をさせていていいのか』と親が言う。会うときは、妻もわかっているからジーンズをはいていたりするわけです。でもその前に送った子どもたちの映像に映っている妻はミニスカ(笑)。日常を切り取っているから仕方がないんですけどね」

ミキオさん自身は、膝上スカートをはいている妻をなんとも思っていない。特別短いわけでもないし、TPOはわかっているのだからいいじゃないかと考えているそうだ。

「だけど親は40代で短いスカートをはいていることだけで、もう『普通じゃない』と決めつける。そういう決めつけはよくないよと言っても聞かない。まあ、親だけじゃなくて近所でもそう思っている人はいるでしょうけどね」

現在7歳と5歳の子が、今後妻にどういうジャッジを下すのか、そしてそのとき妻がどういう反応をするのかはわからない。

「妻はファッション系の仕事をしていて、独特の感性があるんです。僕はあるがままの妻を受け入れていますが、みっともないとかミニスカをはく年齢じゃないとか言う人もいるでしょうね。それもわからなくはない。だけど何を着るかなんて個人の自由でしょう。他人についてとやかく言いたい人が多い今の世の中、妻にはむしろ50代になってもミニスカでがんばってほしいと思っちゃいます」

華やかに装えば「若作り」と言われ、地味にしていれば「年齢より老けて見える」と言われるのだ。どっちにしろ何か言われるなら、好きなように生きるしかないだろう。

「職場でもそうですよ。グレイヘアにしている40代の女性がいて、僕はきれいだなと思っているけど社内では『染めればいいのに』とも言われている。染めようが染めまいが個人の勝手。いい加減、そういうことを言うのはやめたほうがいいのにといつも思っています」

他人の嗜好に土足で踏み込んだり、噂をしたりする慣習は確かに身の回りにも多いと感じる。他人の自由を許容することができなくなっているのだろうか。

人は人、自分は自分と昔から言われているのに。個性を尊ぶ風潮が強まりそうで強まらないのはなぜなのだろう。ミキオさんはそう言ってため息をついた。
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