子供の教育

毎日ガミガミ言ってばかりを卒業!生徒3000人以上を指導した塾講師が危惧する「効果のない叱り方」TOP5

むやみに叱っても効果がないのはわかっているのに、わが子を毎日叱ってばかり……。今回はそんな方に向けて、つい言いがちな避けたい叱り方と、ではどう言えばいいのかというポイントをお伝えしていきます。

西村 創

執筆者:西村 創

学習塾・個別指導塾ガイド

子どもを毎日のように叱ってしまう。しかも、そのわりには叱っても効果がないと感じている。そんな保護者の方も多いのではないでしょうか。それは叱り方が悪いのかもしれません。今回は、つい言いがちな避けたい叱り方と、ではどう言えばいいのかというポイントをランキング形式でお伝えしていきます。
言えば言うほど逆効果!? 子どもに効果のない叱り方

言えば言うほど逆効果!? 子どもに効果のない叱り方

 

第5位:過去を引き合いにする叱り方

「この前も、それで失敗したでしょう!」という叱り方です。

今まで穏やかに注意したり冷静に諭したりしてきたのに、一向に改善されずまた同じ失敗をしているのを見ると不満が爆発してしまいますよね。

しかし、大人と子どもの時間の感覚は違います。大人にとって1カ月前、1週間前は「最近」のことですが、子どもにとっては、数カ月前のずいぶん前のできごとのような感覚です。また、何度言っていることでも、重要なことだと思っていないと「以前にも注意された」という意識が薄い場合もあります。

ではどうすれば良いのでしょうか。

こういう場合、過去ではなく、未来に意識を向けることが大切です。未来といっても遥か先のことではありません。

「今回の失敗をくり返さないためにできることは何か」ということを、親が一方的に決めて言い聞かせるのではなくて、子どもに考えさせるのです。子どもに考えさせることによって、「親が何か言っている」という受け身の姿勢から、「自分がどうにかしないといけない」と主体的に受け止めて考えるようになります。

とはいえ、子どもが出す改善案は、大人から見ると無理がある場合も多いもの。そうした場合はいったん「なるほどね」と受け止めた上で「こうするともっと良さそうじゃない?」と提案してみてはいかがでしょうか。

大人でも、自分で考えて腑に落ちたことでないと、これまでの行動を変えるにはなかなか至らないでしょう。子どもも同じです。親主体ではなく、子ども主体で改善策を考えさせてみることをおすすめします。
 

第4位:価値観を否定する叱り方

ここでいう価値観とは「物事のとらえ方、どんなことに重きを置くかという考え方」のことです。

子どもとはいえ、幼稚園に入る頃にはもう、その子なりの価値観をもつようになっています。血のつながったわが子であっても、自分の価値観とはギャップがあります。生まれた時代も親子で異なりますし、子どもの価値観が自分と異なるのは当然です。

それなのに「そういう考えだからダメなんだ」「そんな考え方では、この先何をやっても失敗するよ」などと言ってしまうと、その子の可能性を狭めてしまいかねません。

私が子ども時代を過ごした昭和と令和の現代を比べるだけでも、常識とされている価値観は大きく転換しています。歴史を見ても、時代ごとに価値観は変わっていくものです。 前の時代で「善」とされていたことが、つぎの時代では「悪」になり得るのです。わが子が大人になる頃には、今の多くの常識的な価値観は、きっと非常識なものになっていることでしょう。

親であれば、自分がこの世からいなくなった後も、わが子が新たな時代の荒波の中で、しなやかに自分を生かしながら、人生を主体的に生きてほしいと願っていますよね。

頭ごなしに価値観を否定せず、「その考えでいくと、どうすればいいと思う?」「そうするとこんなことになりそうだけど、その時はどうしようか?」など、現時点でのベストな方法を子どもに考えさせましょう。子ども自身に改善策を考えさせることで、いずれ自分で考えて行動する子になっていきます。
 

第3位:感情的な叱り方

「何度言ったらわかるの!」という叱り方です。もちろん、怒りたくて怒っている人はいないでしょう。親がわが子に一切感情的にならずにいることは、現実的には無理なものです。

期待していれば期待しているほど、大事に思っていればいるほど、感情的になるのは当然です。感情を出すことで、こちらが本気だと伝わる場合もあるでしょう。

ですから、ときには感情的に叱ることがあっても良いと私は思います。

ただ、感情的に叱ることが日常的になると、子どもがそれに慣れてしまって効果が薄くなります。あくまでも「本気を伝える」ために、“たまに”にとどめましょう。

また、感情的に叱ったあとは一転、「こうして怒ったけれど、ここでひとつ提案だよ」などがらっと調子を変えて伝えると、子どもは意外と素直に聞いてくれるものです。
 

第2位:他人と比べる叱り方

「〇〇ちゃんは△△クラスに上がったんだよ。それに比べてあなたは……」という叱り方です。具体的な誰かの名前を挙げて比べることで子どもを発奮させるつもりだとは思いますが、たいていは逆効果です。

親の理想に近づけるために誰かを引き合いに出すのは、子どもの反発心をかき立てます。反発しない場合は、子どもの自信を打ち砕きます。

比べられると自分が否定された気持ちになります。しかもそれを、いちばん認められたいと思っている親からされると、切ない屈辱感を味わうものです。

他人と比べるのであれば、「これは6年生の問題なのに、小5で解けるなんてすごい。6年生よりできているね!」というように力を認める状況で使いましょう。また、「去年はあんなに苦戦したのに、今では簡単にできるようになったね」など、わが子の過去と比べる方が、やる気を引き出せます。
 

第1位:抽象的な言い方で叱る

「何をやらせても続かないなあ!」
「いい加減、そのマイペース過ぎる性格どうにかしてほしいんだけど!」

このように、範囲が広すぎる叱り方をされた子どもは、何をどう直せばいいのかわかりません。わからないどころか、人格否定につながります。人格否定になってしまうと、子どもの自己肯定感を下げて、親の期待する理想像からますます離れていきかねません。

子どもの行動を変える叱り方は、逆です。どういう状況で、どうするとダメなのか、その子の理解度に合わせて理由を説明しながら諭すことです。性格や能力を全否定するのではなく、できるだけ具体的に直すポイントを指摘して、それをどういうやり方であれば直せるのかを説明するのです。

一回言ってわからないようであれば、言い方を変えて再度伝える。それでもわからないようであれば、また言い方を工夫してまた伝える。――このくり返しです。子どもの行動を変えるのは、本当に大変な挑戦です。でもあきらめずに、わが子に響く言い方を模索していただければと思います。


いかがでしたでしょうか。

さまざまな言い方を紹介しましたが、子どもに思いを伝えるのは本当に難しいもの。言いすぎて反省したり、まったく伝わっていないとむなしく感じる場面は、これからもあるでしょう。

でも子どもは、親が思うよりも意外と理解しているものです。たとえ、今はわが子への言葉が響いていないように見えても、いずれ理解されるときがきます。親の期待する理想像とは違っても「こんな自分の生かし方もあるのか」と感心させられる日が来るかもしれません。

教育とは、一向に成果が見えない中でも、辛抱強く、試行錯誤しながら働きかけ続けるものだと私は思います。そういう意味では、私たち大人も、子どもに教わり続けるものなのかもしれません。一緒に悩みながら、失敗しながら、これからも子どもに働きかけていきましょう。

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