3人子育てが「しんどい」……
「3人目だし育児もおてのもんだろう」とパパはベテラン扱い。ワンオペ育児から抜け出すには?
■相談者
まゆさん(仮名)
24歳/正社員
■家族構成
夫(37歳)・長女(4歳)・長男(2歳)・次男(0歳)
■相談内容
19歳で出産してから、2歳差で3人出産しました。妊娠が分かったときから「3人目だし余裕やろ。妊婦生活も育児もおてのもんだろう」と言われていましたが、3人目を妊娠したときのつわりが一番辛く、仕事も1カ月お休みました。出産後も2時間おきに泣く第3子、弟が生まれて気持ちが落ち着かなく不安定な長男、パワフルに遊ぶのが大好きな長女がいて、睡眠時間もまともにとれません。「どこが余裕に見えるの!?」と思いながらも毎日育児に追われています。
「子育てがしんどい、子どもを3人を育てるのは大変だ!」と吐くと、「母親失格だ」とか「なら産まなければよかったのに」と言われてしまいます。しかし何人目であっても子育てはしんどいです。子どもは可愛いだけではありません。なぜ、母親になったら何もかもを犠牲にしないといけないのでしょうか。
育児にあまり参加してないせいか、子どもたちもあまりパパにはなついておらず、お腹が空いたり眠たくなってぐずっているときはパパではどうにもなりません。共働きが当たり前な世の中なのに、どうして子育ては母親がして当たり前なのですか。夫に協力してもらうにはどのようにしたらいいのでしょうか。
アドバイス1:「もう無理」のサインを物理的に残す
まゆさん、ご相談いただきありがとうございます。0歳、2歳、4歳の3人のお子さんを育てていらっしゃるとのことで、本当に目まぐるしい日々をお過ごしのこととお察しします。体自体の疲労はもちろんですが、周りに訴えているのに分かってもらえないという精神的な辛さも大きいのではないでしょうか。「どうして子育ては母親がしてあたりまえなのか」について、子育ては夫婦でともに進めていくことが理想ですが、実際には母親に比重が偏っているケースが多いですよね。私はこれまで様々な国に住んだことがありますが、その国々と比べても、日本はとくに母親が背負うものが大きいのが分かりますし、かつての3歳児神話(子どもが3歳になるまでは、母親が子育てに専念した方がよいという考え方)がなお根強く残っていると感じています。
たしかに3歳まではとても大事な時期ですし、母親の存在も大切です。でもだからと言って、父親が育児を担わなくていいとは言っていないのに、そう解釈されてしまっているというのが日本の現状です。男女の働き方は大きく変わったのに、子育てへの認識はまだまだです。
「夫に協力してもらうにはどのようにしたらいいか」ということですが、「○○やって」と頼んでやってくれるのであればいいですが、おそらくはそれで解決せず、大変ではありつつも、身を削ってなんとかこなしているのですよね。
まゆさんにまずやってみてほしいのは、言葉で「無理」と言うだけでなく、それを見える形で残しておくということです。仕事でもいえることですが、なんとかこなしてしまうとそこに仕事が残らないため、「なんとかなったんだな」と周囲に思われがちです。まゆさんは、子育てのベテランというレッテルを貼られてしまっている分、周りから「なんとかなる」と思われてしまっているので、「なんとかならない」という状況をもっとわかりやすく訴える必要があります。
言って伝わらないのなら、可視化して見える形にするのです。やりきれないタスクを視覚的に残すというのはご主人に気づかせるひとつの方法だと思います。「ムリ」と言いつつやってしまうのではなく、「ムリ」という結果をそのまま残しておくわけです。
アドバイス2:相手のやり方を受け入れる
そして、任せたら、相手に完璧を求めないことも大事になります。アメリカの研究では、ママが完璧にやる派だと、パパは手を出さない傾向が強まり、ママが完璧でないと、パパが子育てに関わる頻度が増えたというデータがあります。これは、タイプの違うでこぼこコンビが結婚したということではなく、求められるものが高くなると、手を出しづらくなるということです。
友達関係や仕事仲間に当てはめるとイメージしやすいと思いますが、ソツのない完璧主義の相手と一緒に何かに取り組むのは気が張るものです。相手が完璧だと、自分がやる際にものすごく高いハードルを求められている気がしたり、何をどこまでやるのがいいのかわからなかったり。一方で一緒に取り組むのが気楽な友だちや同僚もいますよね。両者を比べると、気持ちよく取り組めるのは明らかに後者です。そこを目指し、相手のやり方を受け入れることはとても大事なことです。
家庭のことはママの方が経験値も高いことが多いので、ついあれこれ気になりますが、そこで相手にも同じレベルのものを求めてしまうとお互い気持ちよく取り組めません。任せたものは受け入れるという姿勢は大事になります。
アドバイス3:もめるくらいなら外に解決策を
本来であれば、夫婦なのだから“協力”という表現自体が適切ではなく、自然にお互いを気遣えて、家庭が回れば最高です。しかし現実は言わないと伝わらないということも多いもの。でも中には、「言える雰囲気ではない」「持ちかける余地がない」とそれ以前のことで悩んでいる方もいます。
もし、家事を置き去りにしてもダメ、「やって」と言ってもダメ、夫に伝えること自体がストレスになる、こうなったら外に委ねることが賢明です。その一歩として、まゆさんは家電はフル活用しているでしょうか?
家族5人分で大変なのが食事と洗濯。とくに食後の後片づけや洗濯物干しは時間がかかる家事なので、食器洗い機と洗濯乾燥機は時間セーブのために導入をおすすめします。もちろん高い買い物ではありますが、まゆさんの心身が参ってしまったら、元も子もありません。もめるくらいなら外に解決策を求めるのも賢いやり方だと思います。そして、もしこれに際し、ご主人が渋るようなら、「じゃあやって」と委ねてみてほしいです。
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