話し方・伝え方

和を乱したくない日本人必見。同調圧力に負けず自分の意見を伝えたいときの使えるフレーズ5選

ロシアによるウクライナ侵攻が続いていますが、先日、ロシアの国営テレビで女性が反戦の意見を述べたことが話題になりました。周りと違う意見を訴えるには勇気も必要で、なかなか言い出せない人も多いのではないでしょうか。違う意見を述べるとき、どのように言い出せばいいのか。できるだけカドを立てずに自分の意見を言うときのポイントを確認しておきましょう。

藤田 尚弓

執筆者:藤田 尚弓

話し方・伝え方ガイド

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続く中、先日、ロシアの国営テレビでニュース番組の放送中に女性が反戦の意見を述べ、話題になりました。戦時下の国営放送でこのような意見を言うのは、非常に勇気が必要だったと思います。

ここまでセンシティブな話題でなくとも、周りと違う意見を述べるのは難しいものです。周りの意見に合わせてしまう。本当は違うのに、立場上なかなか言い出すことができない。特に和を重んじる風潮が根強い日本では、そのような悩みも多いのではないでしょうか。

周りと違う意見のときは、どのように言い出せばいいのか。できるだけカドを立てないように伝えるためには、どのような点に気をつければいいのか。自分の意見を言うときのポイントを紹介します。
 

同調圧力とは? 日本人は特に屈しやすい 

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周りに合わせるよう、無意識のうちに誘導されていませんか

「周りの意見と足並みを揃えないといけない」。このような、少数派の人が感じる無意識下のプレッシャーを「同調圧力」と言います。

有名な研究としては「アッシュの同調実験」という、古い実験があります。線が描かれたものを見てもらい、同じ長さの線を選ぶといった簡単な問題にチャレンジしてもらう実験です。同じ長さの線を見つけるのは簡単な課題なのですが、周りのサクラの人たちが違う長さのものを選ぶと、参加者もつられて間違った答えを選んでしまうという現象が見られました。

飲みに行ったときに、みんながビールというから1杯目はビールで合わせよう。会議でA案に賛成の人が多いから、自分もA案に賛成した。つい周りに合わせてしまうという経験は、皆さんにもあるのではないでしょうか。

周りの人が違う意見だと自信がなくなって自分の意見を言えなくなってしまう人、周りと同じ意見であることが安心に繋がる人もいます。また「和を乱したくないので、自分の意見を言わない」というのは、協調性を重んじる日本人には特に多い考え方です。

とはいえ、違う意見を言わなければならないときや、いつも周りに合わせてばかりではいられなくなってくることもあると思います。そんなとき、慣れていない人は必要以上に攻撃的な言い方をしてしまうこともあります。どのような点に気をつければよいのでしょうか。
 

職場やコミュニティで違う意見を言うときの3つのポイント

なるべくカドを立てずに伝えたい。そんなときには、以下の3点に気をつけてみてください。

(1)否定しないように伝える
違う意見を言われることで、否定されたように感じてしまう人もいます。既に出ている意見を否定しないように気をつけましょう。「でも、A案だと〇〇ですよね?」といった問題提起をしなくても、違う提案をすることは可能です。

(2)肯定できるポイントがあれば肯定する
多数派の意見で肯定できるポイントがある場合には、その部分を肯定してから自分の意見を言うようにします。「あえて〇〇というところが、新しいと思いました」など、まずは肯定をすることで、安心してもらう効果や心理的反発を抑える効果が期待できます。

(3)強制するようなニュアンスに気をつける
自分の意見が絶対に正しい。〇〇すべきだ。など、自分の考え方を強制するような言い方にならないよう気をつけましょう。正しいことを言うときほど、控えめに伝えるのがポイントです。

どれもちょっとしたコツばかりで、拍子抜けした人もいるかと思います。しかし「なんだか腹が立つ」といった感情は、このようなちょっとした点から生まれます。意識するのとしないのとでは大きな差になりますので、ぜひ試してみてください。咄嗟のときに使えるよう、違う意見を言うときの定番フレーズを覚えておくのもおすすめです。

 

違う意見を伝えるときのお勧めフレーズ5選

違う意見を言われてもショックが少なくなるような、クッションの役割になる枕詞を集めてみました。覚えておくと、いざというときに便利です。

■おすすめフレーズ1. 「個人的には」
「あくまで自分の個人的な意見」というニュアンスが、すでに出ている意見も一般的で肯定もできるというクッションになってくれます。すでに出ている意見は王道だけれど、個人的には別案もいいと思っているというように使いましょう。

例)「個人的には、C案も捨てがたいなと思っちゃうんですよね。理由は……」

■おすすめフレーズ2. 「違う見方をしてみると」
「今出ている案には賛成なのだけれど」という雰囲気を出しつつ、違う案を推したいときにおすすめのフレーズです。批判しているわけではなく、多角的に考えているというニュアンスを全面に出すことでカドが立ちにくくなります。

例)「違う見方をしてみると、B案は長期的にメリットがあるのかなと感じます。例えば……」

■おすすめフレーズ3. 「選択肢を増やすなら」
 既に出ている意見と自分の意見がまったく違う場合にも使えるフレーズです。「選択肢を増やすなら」と言っておくことで、まったく違う意見を言っても否定のニュアンスを減らすことができます。上司や先輩の意見と違うときなどにも使えます。

例)「選択肢を増やすなら、リースにするという手もあると思います」

■おすすめフレーズ4. 「よりよくするためのポイントを挙げるとすると」
既に出ている案に穴があるときに使いたいフレーズです。賛成したいけれど現実問題として難しいケースなど、意外に使う場面が多いかもしれません。「よりよくする」という言い方にすることで、否定のニュアンスを減らすことができます。

例)「よりよくするためのポイントを挙げるとすると、本格的に投資する前に、小規模でのテスト販売をしてみるのがいいと思います」

■おすすめフレーズ5. 「あえて違う意見を言うなら」
すでに出ている意見の良い所を見つけられない。そんなときに使ってほしいフレーズです。「あえて」と言っておくと、正反対の意見を言っても不思議とカドが立ちにくいです。何か考えがあって反対意見を提示しているようにも聞こえるので、攻撃的な感じがしないどころか、思慮深さも感じてもらえます。

例)「あえて違う意見を言うなら、CMはとりやめにしてWeb広告を検討というのはどうでしょうか」
 

少数意見も言いやすい職場に! 全体への声がけも重要

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 違う意見を言いにくい職場なら、環境を変える一言を増やしていこう

A案が多数派だと感じると、B案に賛成の人は意見を言いにくくなるということが起きやすくなります。足並みが揃うことのメリットもありますが、職場では少数意見を言いやすくする配慮も必要です。皆さんの職場は、安心して少数意見が言える雰囲気でしょうか。そうでない場合には、少しずつでいいので以下のようなフレーズを使うようにしてみてください。

「念のため、違う意見も聞いてみたいのですが」
 
このような一言があれば「本当はB案がいいと思うのに」と言い出せないでいる人が発言しやすくなります。意思決定をするときに、違う意見も検討してみるというのは重要です。多様性を認め合う職場にするという意味でも、ぜひやってみてください。
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