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「Web3(Web3.0)」とは? そもそも「Web1.0」「Web2.0」とは何だったの?

Web3またはWeb3.0(ウェブスリー)とは、ブロックチェーン技術を基盤とする新しいインターネットの概念、その利用法です。今後のインターネット社会がどうなっていくかを占う上で重要となる「Web3」というキーワードについて解説します。

福田 正人

執筆者:福田 正人

インターネットサービスガイド

近年注目を集めている「Web3/Web3.0(ウェブスリー)」とは、ブロックチェーン技術を基盤とする新しいインターネットの概念、その利用法です。では、「Web1.0」「Web2.0」とは具体的に何が異なり、どう進化したのでしょうか。

今後のインターネット社会がどうなっていくかを占う上で重要となる「Web3」というキーワードについて解説します。
 

「Web1.0」「Web2.0」の時代から「Web3.0」へ

「Web3.0」とは何?

「Web3.0」とは何?

インターネットはさまざまな技術革新によって進化してきました。その進化の段階は以下のように区分されます。
  • Web1.0
1991年から2004年にかけての、インターネットユーザーの大半がコンテンツの消費者であり、コンテンツがクリエイターから消費者への一方向性であった時代。
  • Web2.0
2004年から現代にかけて続く、情報の流れが一方向性から双方向性になり、ユーザーが作成したコンテンツをSNSやブログ、ウィキペディアなどにアップロードする時代。
  • Web3.0
Web2.0に続くものとして提唱されている概念。この言葉は2014年に暗号通貨イーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッドによって作られました。
 

Web3.0が提唱された背景

この新しい概念が提唱される背景には、現代のWeb構造(Web 2.0)に対する不信感があります。

ギャビン・ウッドによれば、現代のWeb構造は非常に中央集権的であり、情報に基づく富、権力、影響力がGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)等の一部の巨大企業に過剰に集中している現状があります。※Google:Alphabet社、Facebook:Meta社

巨大企業はユーザーの膨大な個人情報を抱えていますが、それが正しく運用される保証はありません。ユーザーが盲目的に巨大企業を信頼することで成り立っているのが現在のWeb社会です。
こうした権威構造から脱却し、より合理的で自由主義的なモデルに移行するために必要なのがWeb3.0という概念です。

Web3.0では、どのような技術を用いてどのようなWeb世界が実現されていくのでしょうか。そのビジョンのひとつが、ブロックチェーン技術を用いた分散型のネットワークです。
 

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは(画像はイメージ)

ブロックチェーンとは(画像はイメージ)

Web3.0を理解するには、ブロックチェーンが何かを理解する必要があります。

ブロックチェーンとは、仮想通貨(暗号通貨)を実現するために開発された技術です。暗号通貨はデジタルネットワーク上に存在する資産。これまでの常識で考えれば、「悪意のある人間がデータを複製・改ざんしないのか」「管理者が自己都合でサービスを終了・改悪しないのか」という疑問が生じます。

従来のシステムは中央集権的であり、管理者の都合による変更や、管理者への不正アクセスを行う人による悪用が可能でした。

一方、ブロックチェーンは、自律分散システムと呼ばれ、全ての参加者が自律して取引履歴をコピーし続けています。サービス提供者であっても記録されたデータの消去や改ざんはできず、参加者が自身の取引履歴を消すこともできません。

分かりやすく言うと、これまでのシステムではリーダーが1つの台帳を所有していたのに対し、ブロックチェーンでは全ての参加者が台帳を所有しており、参加者の誰かが不正に台帳を改ざんしても、その他の参加者に正しい記録が残されているため、事実上改ざんが不可能になるというものです。

ブロックチェーンは今、Web構造を根本的に変革しようとしており、この技術を基盤としてWeb3.0の時代がやって来るといわれています。
 

Web3.0でWebはこう変わる

Web3.0では、ブロックチェーン技術によってデータの分散管理が実現されます。特定のサーバーやデータベースではなく、ユーザーが参加するネットワークがWeb社会の基盤となります。

現状ではプライバシーに関して、一部の巨大企業にユーザーの基本的な個人情報から、検索履歴や行動履歴まであらゆる情報が集約されています。

また、セキュリティに関しても、個人情報がサーバー上で一元管理されているため、サイバー攻撃による情報の流出が危惧されています。

中央集権的構造から分散的構造への移行によって、プライバシーとセキュリティの問題を解決できます。

さらに、サーバーに依存せずにユーザー同士でデータを共有する「P2P(ピアツーピア)ネットワーク」を構築することによって、通信速度の向上や、災害時や途上国で優れた接続性を有する柔軟なネットワークの構築が期待されています。
 

Web3.0によって変わるビジネスや娯楽

■Web3.0によってビジネスはこうなる
Web3.0社会では、分散型ネットワークに参加する1人1人のユーザーが、サービス実現のために協働する形態が実現します。

既存の企業と異なり、地理的に離れたメンバー同士でもプロジェクト単位でチームを組めます。所有者(株主)や管理者(経営者)は存在せず、意思決定はブロックチェーンを応用した議論や投票システムによって行われます。

NFTアートのように、これまで固有の権利が保証されなかったデジタルデータにも資産価値が生まれ、デジタルコンテンツの商取引が活発化します(詳しくは別記事「いま話題の「NFTアート」とは?」参照)。

契約はスマートコントラクト(ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組み)を通して行われ、報酬は暗号通貨によって支払われます。その際に不必要な仲介業者は排除されます。
以上のことを実現する可能性をWeb3.0は示しています。
 
■Web3.0によって変わるオンラインゲーム
Web3.0はビジネスだけでなく、娯楽であるゲームの世界も変える可能性を秘めています。

それが「GameFi」です。これはオンラインゲームとDeFi(Decentralized Finance:分散型金融)を融合させたものであり、オンラインゲームをしながらお金(暗号通貨)を稼ぐというものです。

GameFiにより、プレイヤーはゲームの中でアイテム、土地、アバターなどを獲得し、それを他のプレイヤーと交換したり、マーケットで暗号資産に換金したりできます。他にもキャラクターのレベルアップ、クエストへの参加、トーナメントでの勝利など、オンラインゲームでのユーザー同士のやり取りを収益化する仕組みを持っています。

これを可能にするのがブロックチェーンに基づくNFT(非代替性トークン)です。デジタルデータの所有権を明確化、保証するこの技術によって、デジタルデータの売買が可能になります。

また、ゲーム内のショッピングモールで、ゲームで得た暗号通貨を使ってリアルな商品をオンライン購入するといった使い方も予想されます。現実世界と仮想世界の融合がさらに進むことが考えられます。
 

まとめ

現在のWeb2.0の社会では、ユーザーはネット上で双方向的に情報をやり取りしています。その結果、情報をやり取りするプラットフォームを提供する一部の企業に膨大な情報や富が蓄積されることになりました。

それに対する反発として生まれたのがWeb3.0です。そして、その公平・公正なWebという理念を支えるのがブロックチェーン技術です。当然ながら、理念通りに大企業による支配構造がなくなるかはまだ分かりません。しかし、この技術革新によって私たちの社会が大きく変化することは間違いないといえます。


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