「昇進して」昇給する人、「昇進しなくても」昇給する人

仕事の役割と責任が伴う昇進が実現した時、その職の重さに対して見合う給料が支払われることが理にかなった処遇である。一部例外はあれど、多くの人は昇進すれば昇給もセットでついてくることが多い。

一方、昇進しなくても昇給が実現する人もいる(年次に伴い定期的に給料が上がることは、この場合は昇給とはみなさないことにする)。上司が部下を昇給させる時、その大前提となるのは、昇給しなければならない理由があるということだ。たとえば、部下の貢献によって大きな仕事を受注できた時である。会社を儲けさせたことが、誰の目にも明らかであれば、上司はその貢献に見合う報酬として昇給させることがある。

成功報酬による一時的なボーナスではなく、本人の基本給を上げるのが昇給であるから、上司にとって部下を昇給させるのは、実は部下を昇進させることよりも難しいことがある。就業規則で社員の勤務成績に基づいて昇給・降給をすることを明記していても、一度上げた給料を下げることは社員の士気に大きな影響を与えるため、会社というものは昇給に対してとても慎重なのである。

そのような背景がある中で、昇給が実現するかどうか、それには本人の会社への貢献度や将来に対する期待など、総合的な判断となることは間違いない。一方、これ以外にも例外的な昇給が実現することがある。それは、本人が会社を辞めるかもしれないとの懸念がある場合だ。会社としては、今その社員に辞めてほしくない。昇給することで本人の退職を思いとどまらせたいとき、昇進の伴わない昇給が起きることがある。

会社から見て、どうしてもやめてほしくない社員が対象となるから、そう簡単にこのような状況を作り出せるわけではないだろう。ただし、実際には昇給が実現したことで、会社から高評価を得たと考え、退職を思いとどまる人もいることから、この昇給が一定の効果をもたしていることも否めない。
 

「昇進」「昇給」には仕事ぶり以外にもあらゆる思惑が絡んでいる

社員の昇進や昇給は、社員本人のモチベーションを高めるだけでなく、会社の発展にも大切な取り組みであることから、事業が成長し、社員満足度の高い将来性のある会社では、公平で大胆な昇進や昇給が実現していることが多い。

これまで見てきたように、昇進・昇給が実現する背景にはいろいろなケースがある。会社にわかりやすい形で貢献した社員であることはやはり大事であり、それは大きな売り上げをもたらしたり、重要顧客を増やしたりという方法もあるし、チームプレイに徹していることも評価されるに違いない。仕事は複数の仲間が連携して作り上げることも多いため、スタンドプレイで成績がいいだけでは、必ずしも昇進や昇給は実現しない。ただ、その他にも、上司の思いや人材流出抑止などさまざまな背景も関係しているのが実情なのである。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。