そんな香港の料理を楽しめるお店がここ数年、東京都内で増加。その中から香港&アジアファンの皆さんにおすすめの5店を予算別に紹介します。
※各店の営業時間は事前に公式サイトやSNS、電話にてご確認ください。
カジュアルその1:予算1000~2000円
東京での茶餐廳の先駆けとなった「香港贊記茶餐廳」
茶餐店の人気定番メニュー香港式パイナップルパンのバターサンド(右)とエッグタルト(左)。飲み物はホットとアイスで料金が変わるのも香港らしい
ここ数年で日本でも浸透しつつありますが、「香港贊記茶餐廳」はまだ、茶餐廳を見かけなかった2015年に飯田橋にオープンした先駆け的存在で、香港ファンの間でとても有名なお店です。
香港人オーナーのピーター・チャンさんが幼少期に親しんだ伝統的な茶餐廳の雰囲気を意識した店内は、備え付けのボックス席にメニューをガラスの板で挟んだテーブル、タイルの床、壁に貼られたたくさんのメニューなど、「これぞ香港茶餐廳!」というべき要素が詰まっています。
香港の古き良き茶餐廳の雰囲気を感じる店内
中でも人気は、香港料理の超定番、太めのフォーを牛肉と炒めた「乾炒牛河」(1250円)や細麺にもやしとネギを加えて香港醤油で炒めたシンプルな「鼓油皇炒麺」(1050円)。一見物凄いボリュームですが、意外にあっさりしているので女性でもペロリと食べられます。
人気メニューの「鼓油皇炒麺」(1050円)はシンプルなのにクセになる美味さ!
さらに、この店ならではのユニークなアレンジメニュー菠蘿包サンドにも注目を。菠蘿包のアレンジは、分厚いバターを挟んだ「菠蘿油」(400円)が一般的ですが、ここでは卵にランチョンミートまたはチーズ、コーンビーフ、ハム、サテビーフを挟んだ「有心菠蘿包」(各680円)を揃えています。
中でもランチョンミートと卵は、香港人が愛するコンビ。出前一丁(香港では高級インスタント麺とされている)にトッピングしたり、サンドイッチに挟んだりして親しまれています。
ランチョンミートとタマゴの「有心菠蘿包」(680円)、ホットの「港式鴛鴦」(420円)
ちなみに、菠蘿包はすべて手作り。大量生産ができず数に限りがあるため、売り切れている時間帯があります。
また、店舗は1号店である飯田橋店をはじめ、吉祥寺店と赤坂店の3店舗があり。吉祥寺店と赤坂店では、腸粉(ライスペーパーで具を包んだ点心)やお粥のメニューもあるので、ぜひ試してみたいですね。
店頭に置かれた像はオーナーの趣味の骨董品
香港贊記茶餐廳
■飯田橋店
住所:東京都千代田区飯田橋3-4-1 マンワイビル1階
TEL:03-6261-3365
WEB:https://chankichachanten-iidabashi.jp/
■吉祥寺店
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-14 山水ビル1階(プチロード)
TEL:042-227-1955
WEB:https://chankichachanten-kichijoji.com/
■赤坂店
住所:東京都港区赤坂3-9-12 みすじ通りメトロビル 1階 EF号室
TEL:03-5561-8680
Twitter:https://twitter.com/hongkongcafechk
カジュアルその2:予算1000~2000円
ポップでフォトジェニックな茶餐廳「八十港」
東急東横線「綱島」駅から歩いて1分のところにある「八十港」は、香港人オーナーとスタッフたちの広東語が行き交う茶餐廳。カラフルで活気ある店内には、香港ならではの看板の数々や、タイル風の壁紙を貼った壁、昔ながらのテレビやポットといった日用品など、特徴的なものを集めたインテリアが散りばめられていて、フォトジェニックな空間となっています。
この店のユニークな点は「車仔麺」があるところ。車仔麺とは屋台麺のことであり、麺の種類や太さとスープを選んで好きな具をトッピングする麺のこと。麺は太麺、細麺、ビーフン更には公仔麺(インスタント麺のこと)など7種類からスープは3種類から選べます。トッピングの種類は、21種類あり、料金は450円の麺をベースにトッピングの値段が追加されていく仕組みです。 もちろん、定番の茶餐廳メニューも充実しています。ビーフンをカレー風味に味付けし炒めた「シンガポール・ヌードル」(1050円)や、人気の「雲呑麺」(1100円)、XO醤が香港らしい「XO醤挽肉チャーハン」(940円)、揚げ焼きした香港式フレンチトースト「西多士」(550円)など、麺、米、パンを使った、香港ならではの味がそろっています。 <DATA>
■八十港
住所:神奈川県横浜市港北区綱島東1-6-2
Twitter:https://twitter.com/80shongkong
Instagram:https://www.instagram.com/80shongkong
カジュアルその3:予算3000~4000円
点心つまみに一杯いかが? ふらりと立ち寄りたい「香港バル213」
「点心つまみに一杯どうですか?」をコンセプトに、香港本場の点心を提供するこのお店は、かつて香港に住んでいた日本人オーナーの溢れる香港愛によって、三軒茶屋の細い路地沿いに2018年にオープンしました。「舌と空気感で香港を伝えたい」という想いのもと、スタッフは年に2度ほど香港現地を視察し、現地の味はもちろん雰囲気を体感し再現する努力をしているのだとか。ちなみに、香港で点心といえば朝や午後の飲茶の時間にいただくのが一般的ですが、バルを名乗るこの店では、夜にお酒と一緒に点心を味わえるのが新鮮。 日本人に馴染みのある香港の点心には、エビ餃子「水晶蝦餃」(520円)やシュウマイ「廣東燒賣」(460円)、大根餅「蘿蔔糕」(520円)がありますが、香港ファンの間で人気なのはスペアリブの豆鼓蒸し「鼓汁蒸排骨」(630円)といった、地元では定番でも日本ではそこまでメジャーではない一品。香港らしい濃い目の味付けにお酒が進みます。
ほかにも、エビのライスクレープ蒸し「鮮蝦腸粉」(680円)や、日替わりの冷菜の盛り合わせ「三色冷盤」(1,070円)、中華風のソーセージ「臘腸」(680円)、ネギ生姜ソースが決め手の蒸し鶏「薑葱白切雞」(790円)など、おすすめにはキリがありません。 また、バルを名乗るだけにお酒も本格的。一番人気は甕出し紹興酒。ゆっくり熟成させた深みのある味わいです。ほかにも、紹興酒を甘めのレモンソーダで割ってアレンジしたドラゴン・ハイボールや香港や日本のクラフトビールなどもそろえているので料理に合わせて飲み分けたいですね。 お酒と一緒に冷菜や点心を堪能したら、〆には麺やお粥、そしてデザートには胡麻団子「豆沙芝麻球」(460円)や「鴛鴦杏仁豆腐」(520円)といったスイーツを。
ちなみに、人気麺のひとつプリプリのエビを包んだワンタンがゴロっと入ったワンタン麺「鮮蝦雲呑麺」(930円)には、香港で食べたことがある人にはお馴染みの、あの細くコシの強い麺をわざわざ特注しているそうです。
老若男女問わず幅広い年齢層に支持されるこのお店。最近ではソロ活で訪れる人も増えているとのこと。香港ファンはもちろん、そうでない人も気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょう。 <DATA>
■香港バル213
住所:東京都世田谷区三軒茶屋2-13-17
TEL:03-6805-3923
Twitter:https://twitter.com/hongkong_213
Instagram:https://www.instagram.com/hongkong213
高級その1:予算8000円
名店「福臨門」の焼き師による本格“焼味”がここに!
言わずと知れた香港屈指の広東料理の名店「福臨門」。かつて銀座にあった支店で腕を振るっていた焼き師が、2018年、九段下にオープンしたのがこの「錦福 香港美食」。“焼味”の専門店として、多くの美食家を唸らせています。“焼味”とは下味をつけた、豚、アヒル、鶏などの肉を釜でローストした料理の総称で、代表的なものには、チャーシュー「叉焼」や焼き豚「焼肉」があります。また、広東料理レストランの厨房では、焼味を作る専門の焼き師がいて、この店のオーナーシェフはまさに一流店の焼き場で腕を磨き続けてきた料理人なのです。 もし焼味を食べるのが初めてなら、代表格の2つはマストで注文を。一つはたっぷりの蜜を塗りローストしたチャーシュー「蜜汁叉焼」。上品な甘さがやわらかな肉の旨味を引き出す一品。
もう1つは、同じ豚肉でも、食感の違いを楽しめるクリスピー・ポーク「脆皮焼肉」。皮をこんがり焼いた豚バラ肉は、パリパリの表面と肉汁滴るジューシーなお肉の食感のコントラストがたまりません! これらを食べずして香港グルメは語れないと言っても過言ではないくらい定番の焼味です。お腹に余裕があれば、香港式ロースト・ダック「港式焼鴨」や蒸し鶏「貴妃鶏」などもぜひお試しを。 伝統の技法を守った本格焼味は、ワインとの相性も抜群です。チャーシュー「蜜汁叉焼」やクリスピー・ポーク「脆皮焼肉」には、ブルゴーニュの赤がぴったり。蒸し鶏「貴妃鶏」には白ワイン、ロースト・ダック「港式焼鴨」には、ワインも合いますがここはひとつ紹興酒でいただくのがおすすめです。
ディナーは1人8000円前後でワインと料理が楽しめますが、料理のクオリティを考えたらかなりのコスパの良さです。 <DATA>
■錦福 香港美食
住所:東京都千代田区九段北1-9-12
TEL:03-3511-2202
高級その2:予算8000~1万円
ヘルシーで独創的な広東料理を提供する「南青山エッセンス」
ヘルシー路線から香港料理にアプローチするなら、やはり薬膳。2007年に青山の一等地にオープンした「南青山エッセンス」は、食通や健康志向の女性たちの絶大な支持を集めるレストラン。薬膳スープをはじめ、身体に良いこだわりの食材を使った料理の数々がいただけます。ベースとなっているのは香港で愛される広東料理で、医食同源の発想に基づく料理として知られています。
薬膳と聞いてすぐに思い浮かぶのはスープ。香港では各家庭にスープ専用の電気鍋が普及していて、家族の体調によって煮込む具材を考えたり、通勤・通学時に駅のスープ専門スタンドに立ち寄ってその日のコンディションに合わせた一杯を注文したりと、薬膳スープは日々の健康管理に欠かせない存在です。そんな身近な存在のスープですが、このお店のものはレベルが違います。1番人気の烏骨鶏のスープは、檜原村の烏骨鶏を使い、覇王花、白キクラゲ、枸杞子、准山、龍眼、火腿、陳皮、生姜、豚肉を加えて煮込んだもので、一口飲めば「これぞ薬膳!」と感じる滋味深い味わいです。 お店はランチタイムも営業していますが、おすすめしたいのはやはりディナー。アラカルトも良いですが、人気は2週間に一度の頻度で更新されるコース料理です。
横浜中華街の名店「菜香新館」で香港人シェフに本場の広東料理を叩き込まれたオーナーシェフによる料理は、伝統の調理法を守りながらも独創性があり、上品で洗練された盛り付けはまるでアートです。 食材は日本のものにこだわり、信頼できる生産者から取り寄せたものや、自らの畑で育てた野菜を使用。もちろん化学調味料は一切使っていません。技術、盛り付け、食材を、固定概念にとらわれずに優れたものを取り入れているのが、多くの本物思考の人々を惹きつける魅力のようです。 <DATA>
■南青山エッセンス
住所:東京都港区南青山3-8-2サンブリッジ青山1F
TEL:03-6805-3905
WEB:http://essence.tokyo/