お金の悩みを解決!マネープランクリニック/40代独身の人のお金の悩み

47歳一人暮らし貯金830万円。今後どうしたいか希望も目的もなく過ごしてきてしまいました

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、賃貸住宅で一人暮らしをしている47歳の会社員女性です。特に目的がなく過ごしてきたとのことで、漠然とした不安があるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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遠方の親に認知症の気配があり、介護の金銭的支援が必要になるかもしれません

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、賃貸住宅で一人暮らしをしている47歳の会社員女性です。特に目的がなく過ごしてきたとのことで、漠然とした不安があるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
将来に漠然とした不安があります

将来に漠然とした不安があります


■相談者
ココアさん
女性/会社員/47歳
東京都/借家
 
■家族構成
一人暮らし
 
■相談内容
いつも深野先生の的確で温かいアドバイスを楽しみに拝見しています。現在独身で、賃貸住宅に一人暮らしです。今後どうしたいか希望も目的も特になく、ダラダラと過ごして今まできてしまいました。正社員でずっと働いているため、お金に困るということは感じていませんが、将来に漠然とした不安があります。また、遠方の親に認知症の気配があり、介護の金銭的支援が必要になってくるかもしれません。iDeCoやつみたてNISAもよく理解できていないまま、なんとなくやっていて、これが正しいのかも不安です。このまま賃貸住まいでも老後は大丈夫なのか、今の投資で大丈夫なのかアドバイスいただきたいです。
 
■家計収支データ
相談者「ココア」さんの家計収支データ

相談者「ココア」さんの家計収支データ


■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
特別用途は決まってなく、帰省や家賃更新料など特別支出が発生したときのために現金貯蓄になります。年末や夏のセールで服をまとめ買いするのでその支払いに回ることもありますが、そのまま普通預金に貯蓄となっています。
 
(2)貯蓄について
貯まった貯蓄をつみたてNISAとiDeCoに回しています。今のところ投資以外では、年100万円貯蓄ができています。
 
(3)投資商品について
外貨預金は、キャンペーンで始めて今のところプラスなのでなんとなくそのまま継続しています。つみたてNISAは、ネットなどで調べて評判がよさそうなものを選びました。

外貨預金は毎月の積立額1万円、つみたてNISAは毎月の積立額3万3000円、iDeCoは毎月の積立額2万3000円。

・つみたてNISAでの投資先は以下、
全世界株式:月1万8333円
米国株式(S&P500):月1万円
日本成長株:月5000円

・iDeCoは、バランス型だとほったらかしでも大丈夫だと聞いたので、
グローバルバランスファンド:月2万3000円
 
iDeCoやつみたてNISA以外にも投資信託や個別株を始めてみたいのですが、本業の仕事と勉強が忙しく、時間がなかなかとれません。iDeCoは現在マイナスとなっていて、買い換えたほうがよいのか迷い中です。
 
(4)家計収支について
年収分の現金が貯蓄できたら投資を始めようと思い、貯蓄できたので、まずはつみたてNISAを、その後iDeCoを始めました。なので、投資分は貯蓄から出しています。銀行の積立定期は、まとまったら金利の良いネットバンクに移しています。毎月の平均支出は平均20万円ぐらいです。
 
(5)加入保険について
・終身保険(死亡保障300万円、就労不能・介護50万円×5回、入院手術保障100万円、入院日額5000円、がん特約、通院特約、積立ファンド1000円)=毎月の保険料7000円
 
(6)趣味娯楽費について
基本的にインドアで、外出することが少ないです。読書が趣味ですが、図書館で借りているのでお金はかかっていません。仕事が忙しく休みがとれないのもありますが。今は収入にゆとりがあるので、基礎化粧品を高めの品(化粧水が1万円など)を購入していますが、収入が下がれば安いものに切り替えるつもりです。
 
(7)働き方について
職場は60歳定年で、再雇用は不明です。ただ技術職のため、退職後も専門知識を生かした再就職(パートなど)はできるのではないかと思います。仕事は好きなので定年退職しても何らかの形で働いていきたいと思っています。退職金はありますが、金額は不明です。
 
(8)公的年金について
92万43円(基礎年金44万5763円、厚生年金47万4280円)
 
(9)親について
現在、遠方で父親が一人暮らしですが、今は特に援助はしていません。父親は月に5万円程度の基礎年金収入しかなく、事業に失敗しているので、貯蓄もほぼありません。家も借家で細々と暮らしています。今は病気もなく一人でもなんとかなっていますが、足腰の弱りと軽度の認知症の気配があります。近隣に住む兄が何かと面倒を見てくれてはいますが、兄も経済的に大変なので、動けなくなり介護が必要になったら金銭的に立ち行かなくなるのは間違いないと思っています。
 
施設に入る金銭的余裕はありません。兄も同居は経済的に厳しいと言っています。私は帰ることは考えておらず、こちらに父を呼ぶことも難しいので、いざとなれば月2~3万円の援助を考えています。
 
今後結婚する予定はなく、住居にこだわりもないので賃貸で良いと思っていましたが、自分の老後を考えると不安になってしまいました。投資も中途半端でほったらかしです。不安なのは自分の人生計画が明確ではないからだと思うのですが、考えても今はぼんやりしたままでそうこうしていたら親の介護がちらついてきました。健康でできるだけ長く楽しく働こうとは思っているのですが、何か他にできることがありますでしょうか。アドバイスよろしくお願いいたします。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 家計に無駄がなく、今の生活、貯蓄をキープできればOK
アドバイス2 60歳以降は支出相当分、65歳以降は年金不足分の収入を
アドバイス3 貯蓄と投資は五分五分のバランスになるように調整を
 

アドバイス1 家計に無駄がなく、今の生活、貯蓄をキープできればOK

一人暮らしで、将来に漠然とした不安を感じられる気持ちは理解できます。でもご相談者の家計データを拝見する限り、無駄がありませんし、やりくりをしっかりなさっているのがうかがえます。必要以上に不安に思われることはないでしょう。
 
年間で100万円は貯蓄できているとのことですから、定年の60歳になるまでの13年間で1300万円貯めることができます。現在ある貯蓄と投資の830万円を加えれば、2130万円になります。車も所有されていないので、この先、よほどの大きな出費がない限り、老後資金としては十分な金額を残せるでしょう。
 
さらに、ボーナスは特別支出用ということですが、全額使うこともないでしょうから、その分も残っていくでしょう。仮に半分の40万円を意識的に貯蓄すれば、520万円が積み上がります。合計2650万円。これに退職金の額は不明でも、いくらかは出るとすれば、およそ3000万円にはなります。
 
今の生活をキープして、貯蓄ペースを維持できれば、金銭的には何の不安もないでしょう。
 
もし、終身保険を払い済みにして、最低限の医療保障を共済で確保するようにすれば、月5000円は浮かすことができます。貯蓄に回してもいいですが、食費に上乗せしてもいいですし、趣味の読書のために、図書館から借りるばかりではなく、たまには購入してもいいのではないでしょうか。
 
今の生活をキープしていくための息抜きもどこかで必要だと思いますよ。お金を貯めると当時に、楽しみのために使うこともメリハリのある生活を送るコツだと言えます。ご相談者の場合は、使うことに罪悪感があるかもしれませんが、老後資金は十分準備できますので、今現在の生活を楽しむことも考えてください。
 

アドバイス2 60歳以降は支出相当分、65歳以降は年金不足分の収入を

定年退職後は、専門知識を生かした働き方ができるとのこと。素晴らしいですね。無理のない範囲で働くことができれば、生活にハリが出ます。ぜひ、仕事を続けてください。ただ、収入は支出額に相当する分で大丈夫ですから、ご相談文に書かれているようにパート的な働き方でもいいでしょう。
 
65歳からは公的年金の支給が始まります。おそらくその頃には支給額が増えていて、年間150万円ほどになっていると思われます。月の不足分は5万円、年間60万円程度です。貯蓄から取り崩していっても50年持ちます。働くペースを落として、不足分の5万円ぐらいの収入が得られれば、貯蓄からの取り崩しも最小限に抑えられます。
 
いずれにしても、60歳以降も、特に金銭的な面で問題になるようなことは考えにくいでしょう。
 

アドバイス3 貯蓄と投資は五分五分のバランスになるように調整を

そこで、今現在、整理しておいたほうがいい点を2つ述べます。
 
1つは投資についてです。外貨預金はなんとなく継続しているようですが、このまま続けても外貨預金は節税メリットもありませんし、現在は円安傾向にありますので、利益が出ているなら解約してすっきりさせてしまったほうがいいでしょう。つみたてNISAは、投資対象が重複していますので、全世界株式と日本成長株の2本にまとめてしまったほうがいいでしょう。iDeCoは現在のバランス型で大丈夫です。
 
ただし、毎月の貯蓄8万6000円のうち5万円以上が積立投資です。預貯金は3万円。できれば貯蓄と投資は五分五分のバランスになるように今後調整していってください。何かあったときに使える現預金が1000万円あれば安心でしょう。
 
もう1つは、住宅購入についてです。購入予算にもよりますが、おそらく住宅ローンを組んで無理なく返済していくことは可能でしょう。ただ、あまりおすすめしません。ご相談者の家計から性格を推測すると、住宅ローンを抱えることで、そのために働くという意識になってしまうように思います。買ったら買ったで、ずっと返済し続けられるだろうかと、不要な不安を抱えてしまうように思います。
 
今は、高齢者だからといって、賃貸契約ができない時代ではありません。今の生活を十分に楽しんでください。
 
その上で、できる範囲で親御さんの支援をしていけばいいのではないでしょうか。自分の人生を大切になさってくださいね。
 

相談者「ココア」さんから寄せられた感想

深野先生、アドバイスありがとうございます。今のままの生活で問題ないとのこと、安心しました。投資と貯蓄のバランスも改めて考えていきたいと思います。ご指摘の通り、不安だけが先行してしまいお金の使い方が下手くそだなと感じていました。貯めることと使うこと、これからの生活を楽しみながら生きていけるように先生からのアドバイスを参考に頑張っていきます。温かいお言葉、胸に沁みました。本当にありがとうございました。


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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  

 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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